10.ナイスファイトだぜ

退院してから、街で妊婦さんや子連れの方に遭遇した時に、自分はどう思うだろう。

想像も出来なかった。

貧血もまだまだひどくて、家の階段すらまともに上がれない。

貧血、ナメてた。
自分の身体が自分のものではないくらい重く感じる。
1週間くらい家にひきこもらざるを得なかった。

久々に外出した駅で赤ちゃんを抱っこしたママに会った。

あー、私が知らないだけで、この親子もいろんなこと乗り越えて来たんだろうな。
赤ちゃんもママもナイスファイトだよ!
それを支えたパパもお疲れさん!

これが私の素直な気持ちだった。

自分の子を失って、生まれてくるまでにいくつものハードルがあることを知った。
無事に生まれて来るのは当たり前じゃない。

あんなに不妊治療、頑張ったのにな。
何で私なんだろう。
そう思ったこともあったけど、身体の回復と供に消えていった。

何度も繰り返される出血の勢いで、いつ流れ出ちゃってもおかしくなかった赤ちゃん。そのくらい、私の出血は酷かったし、医師もそれを一番心配していた。
でも、最後の最期まで、お腹にしがみついていてくれた我が子を誇りに思う。

お腹に命を宿すことはナニモノにもかえられない幸せだってこと、教えてくれてありがとう。

君がママに幸せを与えてくれたように、
今度はママが君にこの世は幸せで満ち溢れてることを教えてあげる

だから、待ってる。早く帰っておいで

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