終わりとはじまり1

私の6月は嵐のような激しさだった。

5月の中旬に体調崩した祖母がよいよ、何も食べれなくなったと聞いて、急遽予定をキャンセルし、実家に日帰り帰省したのが、16日のこと。

もともと華奢な身体が更に細くなっていたけれど意識はシャンとして、何か懸命に言っている。
入れ歯の入ってない口元は頬がくぼみ、言葉はよくわからないけど、熱意は伝わる。
大好きなお煎餅を食べる!と言い、ペロッと舐めてみたけど、口が乾燥していてそれ以上は無理だった。

ありがとう、ありがとう、私、きっとママになるから。おばあちゃんの命は繋いでいくからね。

細くて筋ばった手を握り、何度も何度も心の中でつぶやく。

この手で、この細い身体でたくさんの苦楽を越えてきたんだろうな。

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