なまもの、ガラパゴス諸島へ行く6 〜果ての地で会おう〜
今日でサンクリストバルともお別れ。
島間高速船は1日2便のみなので、朝7時発の1便に乗る。
オーナーのAlfredoとは別れのbeso(頬キス)をし、日本から持ってきたお土産のハッピーターンを渡す。あなたからもらった幸せがあなたに帰ってきますように。
船着場に我々を下ろしたあと、何度も振り返って手を振って家へ帰って行った。
4つの有人島を結ぶ高速船はいずれも所要時間2時間で、片道20ドル程度。
更に、高速船は船着場へ直接着港できないため、小型ボートで乗り継ぐ必要がある。
この渡し船に片道1ドル。つまり1回の航路に2回の渡し船代2ドルが必要になる。
ネットの噂では揺れが酷く船酔いがすごい、と言う話だったが
季節が良かったのか(人によって多少の差はあるが)ひどい船酔いになる人はいなかった。
今日は有人島の中で最も新しく大きいイサベラ島へ渡るが
どの島も最も栄えているサンタクルス島としか直接行き来できないため
まずサンタクルス島へ渡る。
各島を乗り継ぐ際には荷物検査を受け、生態系を脅かすようなものや貴重なガラパゴスの天然物(生物も無生物も)の持ち出しがないかを確認する。
係の人がバンビのバッグの中にあった物体を「ワーワー」言いながら回し見しだした。
黄緑色のイボイボの。
それはトリガーポイントボール。健康器具。
許してもらえたのか返してもらえた。
サンクリストバルよりもずっと都会。大きなお店や観光案内所まである!!
そして突然にめちゃくちゃ暑い!!
観光案内所のコインロッカーに大きな荷物を預けて次のイサベラ島への夕方の船までサンタクルスで過ごす。
この島で今日やる最も大切なこと、それは
日本からやってくる追加メンバー”ひごっち”と”Kちゃん”との合流
2人は仕事や家庭の事情もあって後から合流することになっていたのだ。
無事エクアドル本土まで到着していることは確認できていたが
夕方の船に間に合うように船着場で集合することになっている。
今はまだ9時すぎだし朝は早かったのでまずは朝の腹ごしらえ。
お店もサンクリストバルよりもたくさんあって迷う。
腹ごしらえが終われば、かの有名な生物研究者、チャールズ=ダーウィンの名を冠した「チャールズダーウィン研究所」を見に行くことにした。道中の可愛いお土産屋に目移りしながら。
研究所の中まで見るにはどうやら定時に出発するツアー(無料)に参加する必要があるみたい。
スペイン語と英語のツアーがあるようだけど、イサベラ行きの船に間に合うのはスペイン語ツアーのみ。残枠1名。
まあ、うちらはまたイサベラから戻って数日サンタクルスを拠点に過ごすので
一足早く、サンタクルスには帰国前の一晩のみしかいられない”ボナ”に参加してもらって
残りの4名は研究所付属の小さな資料館とお土産屋を周りのんびりと街を散策しながら港へ向かった。
そうこうするうちに港での合流時間が来た。
サンタクルスの空港は市街地から遠く離れており、タクシーできたとしても1時間近くはかかる。バスは交通事情次第。
先発隊はミッシェルに、後発隊は2人ともeSIMを入れて通信可能にしておいたので
随時連絡は取れるようにはしており、空港に無事到着し、バスに乗った!
というところまでは連絡がついていたがやはり渋滞のためか遅れているらしい。
電波もところどころ悪いようで間に合うのか?とハラハラする。
お互い土地勘がないのでうっかり合流し損ねないよう
先発隊は荷物番、2人と後から来るボナを見落とさないように目を見張る係、そして高速船のチケット交換受付係。状況が混み合ってきた。
道路の向こう側に見覚えのある、しかし15年ぶり(卒業以来)のひごっちと数年ぶりのKちゃんの姿が見えた時にはとても安堵したものだ。
久しぶりの異国の地、絶海の孤島での再会を7名で喜びあい、ほっとするのも束の間。
一向に現れないチケットカウンターの係と迫り来る乗船時間にヤキモキしながらバンビは待ち続けた。
今思えば、船が早朝と夕方にしかないのはシエスタのためなのかもしれない。
スタッフがシエスタ(と勝手に思っているが)から戻りようやく乗船することができ、船は出航した。
後発隊の2人がグアヤキルまでにあった色々やガラパゴスに入ってからバスで辿り着くまでのことを聞き、連日の移動の疲れでみんなが眠りに入った頃。
バンビは1人窓の外を見ていた。
波間に舞う座布団。
フライングマンタ。
あ!とみんなに伝えようかと思ったけど、もうマンタは飛ばなかった。
3つ目の島、イサベラ島に着いた。
これまでの港と打って変わって閑散としている。お店は何もない。
相変わらず浜辺にはウミイグアナとアシカがくつろいでいる。いつもよりゆったりと。
上陸して皆が荷物を受け取るがバンビの荷物だけない。
船のスタッフに伝えると下ろし忘れたから取ってくる!というのだ。
待っている間にトイレに行きたくなったのでみんなには船着場で待っていてもらいトイレを探しに行く。
戻ってくると船着場には謎の水の道ができており、みんなが青ざめた顔をしていた。
「バンビの荷物は無事だったけど、他の人の荷物が海におっこちたんだよ…」
ぞっ!水の道はその荷物を引きずった痕らしい。
バンビのカバンは幸い防水仕様だけど、防水じゃなかったら大変なことだ。
皆、見ず知らずの旅人の気持ちを想像してゾッとしていた。
イサベラ島は船着場と市街地が離れており、その市街地の最も端にあるホステルに滞在する。
部屋からは海が間近に見え、うつくしい日没を眺めた。
その晩は、久しぶりの再会を祝して少し豪華にロブスターを頬張った。