今こそ、己に問う。茅原実里は声優界の亀井善行「さん」だったのか。

2021年10月23日、1人のプロ野球選手が、キャリアに区切りをつけた。

読売ジャイアンツ、亀井善行選手。背番号9。20年以上このチームを応援してきているが「記憶に残る」という点でこの人の右に出る者はそう居ない。今でこそ発声が躊躇われる世になった。しかし、代打で出た時のビジタースタンドの歓声は、阿部コーチや高橋前監督のそれにも全く劣らないものだったと確信している。苦しいときの方が長かったかと思われるが、これからじんわりと、この名外野手を失った重みを感じる世界が始まるのだろうか。これまで、本当にありがとうございましたと言いたい。

“亀井選手は茅原さんと同世代。まず前提として、人気がある。バッターとしての打つ力ももっている。外野手で肩も強い。投げているのはマジのボールだけれど、茅原さんもサインボールが遠くまでいくので、なんとなく似ている。”

さて、この記事を書いた日を思い返してみよう。先ほど調べたところこの日は阪神に16vs4で大勝し、茅原実里さんツアーSPIRALがアニマックスで放送された日だった。あぁ楽しかったことだろう。未来に期待していたことだろう。そのツアーが、現状最後のものになるとも知らずに。

昨年の失意など、今や関係ない。

歌手活動を休止する。これは自分のなかで「引退」を宣告されるに等しい絶望だった。2ヶ月半をきった今でもそれは変わらないし、未だに撤回してほしいと(そこそこ本気で)思っている。「ファンからの愛されかた」という側面からこの記事で亀井さんを持ってきたのだが、実に失礼な結果になるほどのファン離れ、いや運営離れ。

最近曲すら聴いてないわ。カラオケにもいけなくなったし。

しかし、それでもだ。

涙ながらに詫びたサマチャン2020

前年のノウハウが活かされ、かつ商品化も決まったSCF

誕生日当日に歴戦のクリエイターさんが集結したミニアルバム

配信も決定的になっている年末のライブ

全部、届けてくれている。それを選ぶか選ばないかは、こちらに託してくれている。ありがたい話だと、いま改めて思う。

亀井選手の引退試合となった今日は、本拠地最終戦。誰ひとり「亀井さんの引退試合のチケットをとった覚えはない」はずだ。自分だって来年またバンテリンドームで会えると思っていた。

茅原さんを亀井さんに見立てきれない部分があるとすれば、そうしたファンの心の準備ではなかろうか。加えてもうひとつは「個人」か「チームの一員か」というところ。

朗読劇やヴァイオレット舞台挨拶に参加できた経験は確かにある。しかし、それらはあくまでも「音楽活動のおかわり」という感覚のモノでしかなかった。ジャイアンツは来季も目標に向け戦うが…(茅原さんも考えての決断であろうが)ファンクラブが「6月終了」だった事実を自分はかなり重く受け止めている。期待以上の盛大なフィナーレへの喜びに、あらぬ勘違いを起こさぬよう自戒を込めている節もある。

信じる気持ちと諦める気持ちが延々と戦うのだろう。そして、最後に後者が勝つ。歌手活動なくしてこの人は語れない。今日、花澤香菜さんのオンライントークに参加させていただいたが、今回の茅原さんのリリースは、ご本人と話せるラストチャンスくらいの認識でいる。今後はそれを企画しうる組織も、その実施目的も思いつきにくくなると感じているからだ。

このnoteが公式さんにみつかってもいい覚悟で本音を書くが「ラスト」と銘打ち区切りをつけるなら、ファンと顔を合わせるぐらいしてほしい。(外したら当然めちゃ悔しいけど)自分が落選してでもいいから、30秒でかまわないから「みんなの、ありがとう」を受けとめるだけの器量をみせてほしい。絶望を知って、年甲斐もなく泣いて。残る決意をして。今がある。自分なりの意地がある。スケジュール、場所、セッティング。タダじゃないことは理解している。情勢をみて対面がかなわないなら全力で回線を用意する。Tシャツもタオルもリストバンドも全部眠っている。今後これ以外に使うタイミングがあると胸を張る者がいたら是非教えてほしい。活動休止を、軽くみないほうがいい。お休み、ではない。歌手活動休止から帰還したスフィアが化け物なだけだ。会社があり、資金があり、クリエイターがあって初めて「推し」が成立するんだ。資金はさておき、会社がなくなる。なんと恐ろしいことか。天に誓って「休止を撤回して!」と言い放ったりしないから自分を「引退」させるための時間を、機会を少しだけください。


節目を勝利で飾り、チームが未来を繋いだ亀井さんの試合をみて、そう願わずにはいられないのです。