![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/19485873/rectangle_large_type_2_c7b229b7eb79d1954b0566d50ddb4788.jpeg?width=1200)
突然少年
半分寝ながらラジオ「深夜の馬鹿力」を聴いていたら、この曲が流れてきて目が覚めてしまった。
耳鳴りがまだ止んでくれない
あのメロディーが離れてくれない
ライブハウスで鳴らして
変わりない日々を
日常を抜けて 非日常に逃れて
きっと今日から眠れない夜が来る
「フロムアンダーグラウンド」突然少年
なんだこの歌、なんだこの感じ。寝ぼけて空っぽの頭の中に突然飛び込んできたこの歌が気になって、radikoをタイムフリーにして曲を始めからもう一度再生する。
この歌い出し、この歌詞、グッと引き込まれる音、そしてそこに漂う瑞々しさ。
若手のバンドだろう。“突然少年”というバンド名だけは聞いたことがある。どうせ今時のオシャレなバンドだろう。自分には関係ない。そんなバンドを聴いている暇なんかない。でも歌とメロディーが耳から離れない。どんなバンドなんだろう。
すぐさまYouTubeでこの曲を探した。MVを見たら、そんなにオシャレな感じのバンドじゃなかった。ボーカルはメガネをかけた三四郎・相田さんみたいな雰囲気で、お前がフロントマンなのか!と思わず心の中でツッコんでしまった。
MVは疾走感溢れるドラマチックなもので、その青臭い、泥臭い感じは好感が持てた。なんかすげーいいな。こういうのを素直にいいと思える心が自分にはまだ残っていたんだなと、ひねくれた大人になってしまった人生をぼんやり思い返しながら聴いていたら、気づいたら泣いていた。
恥ずかしい。若手のバンドの曲を聴いて夜中に泣くなんて恥ずかしい。いや、夜中だからなのか。
バンドのインタビューをチラッと読んだら、メンバーは1997年生まれの23歳だった。1997年なんて最近じゃねえか!とまではいかないけれど、1997年のことをそれなりに知っている世代の自分は、1997年生まれの世代が生み出す音楽に感動してしまったことが恥ずかしくて、それを恥ずかしいと思う変なプライドを未だに持っていることが情けなかった。
年下のバンドの曲をまともに聴けない。自分が無駄に生きている気がして、劣等感に駆られて、苦しくなるからだ。なので大人になってから好きになったバンドといえば、フラカン、ピーズ、エレカシ、イースタンユース…など、わかりやすくあの辺りの世代だ。若手のバンドや流行りのものは、自分の人生にはもう必要ない。
今日もずっと宮本浩次のソロ曲を聴いていた。「ハレルヤ」と「夜明けのうた」を繰り返しフルボリュームで聴いて、行き詰まる日常を吹っ飛ばしていた。
大人になった俺たちゃ
夢なんて口にするも野暮だけど
今だからこそ追いかけられる
夢もあるのさ
Please 高鳴る胸をかかえて
そんな俺にもう一丁祝福あれ
ハレルヤ
「ハレルヤ」宮本浩次
ドラマの主題歌で耳にした時は軽快な曲だなぁくらいにしか思わなかったのに、ラジオで流れたのを録音して聴いているうちにハマってしまった。MVで歌詞を追いながら、聴けば聴くほど良くなっていく「ハレルヤ」
歌えっこなさそうな曲なのに歌いたくなる。挑みたくなる。高ぶってくる。歌がいい。音が気持ちいい。MVがべらぼうにカッコいい。
宮本浩次の「ハレルヤ」も、突然少年の「フロムアンダーグラウンド」も、MVに手書きの歌詞が出てくる。走り書きしたようなその、宮本浩次の字は味のある大人な字で、突然少年の字は不恰好な子供のような字だ。それがYouTubeという同じフィールドに並んでいて面白い。
とは言え、ネットを通して手軽に音楽を探して聴けるようになった今でも、ラジオで曲を耳にした時の衝撃はすごい。思わずボリュームを上げる。
真っ暗な部屋の中で、鼓膜なんて破れてもいい!明日なんか来なければいいのに!と自傷行為に近いような聴き方をしていた10代の頃を思い出す。ヘッドホンやイヤホンを外した時に耳鳴りがするあの感じ。
今日も心の隙間を埋めるように
ラジオや音楽をひたすら聴いている。
眠れない夜が明けていく。