男、担当アイドルを決める
デレステを熱心にプレイし続ける上で欠かせない、「担当アイドル」、いわゆる「推し」というものであろう。
しかし、プロデューサーとして事務所に入社した体の私は、「自分が育てたい」あるいは「自分の目指すトップアイドルになってくれそう」なアイドルを選ぼうと決めた。「推し」を決めるのとは観点を別にした方がいいと思ったのだ。
そんな私(というかプロデューサー全般)にはアイドルの内面に干渉できる場として、非常に多くのアイドルが生きていることを実感させてくれる場、「コミュ」が用意されている。
これこそまさしくアイドルマスターの主要文化といっても良いものであり、プロデューサーとアイドル、アイドル同士、アイドルたちはさまざまな表情を見せてくれる。
しっかりと見始めると、諸星きらりのメモリアルコミュで大泣きしたり、FLIP FLOPのイベントコミュで癒されたり、かなり感情を揺さぶられた。
そんな中、あるアイドルだけ異常に自分のなかに引っかかってくるものがあった。
人気アイドルの1人である塩見周子のコミュを見てもどんな子なのか全く理解出来なかったり、高垣楓のコミュを見ても「確かにすごい人だが何かが違う」という感覚を覚えたというのに。
市原仁奈というアイドルだけ、違っていたように見えた。
優しさ、元気さ、無邪気さ、アイドルを楽しむ姿勢、アイドルとして生きながらもなかなか会えない家族を思い続ける姿、子供目線だからこそ改めて気付かせてくれる、大人たちが生きる世界の不条理さなど。(それはもう関係ないじゃんか)
私が育てたいアイドル像に限りなく近かった。
そして、見た目や曲だけでは分からない、アイドルの内面にこそ含まれる、魅力に気付くことができた。
自分が市原仁奈をプロデュースしようと決断したとき、前触れなくそれは起こった。
「春ですよ!フレッシュスクールガシャ」開催
あっという間に60連爆死した。しかし、ここで当てられなければ何かが終わると思った。
初めて2ヶ月でクライマックスな気分。特訓でスタージュエルをかき集め、もう一押しの10連。それが私のプロデューサー生活の運命を決定づけた。
これこそが答えだった。
市原仁奈担当プロデューサー、ばんびーIIIの誕生である。
ある意味、これが私のデレステ生活の第二の始まりといっても過言ではないだろう。
私はこれを後に「運命の70連」と名付け、忘れた頃にもう一度この言葉を思い出すことになる。