
男、イベランに挑む
季節は移り、始めてから2ヶ月、毎日やりこみにやりこんで立派なSランクPに到達し、MASTER難易度の譜面の攻略にも手を出し始めた私は、ここからさらに事務所を拡大すべく、一大プロジェクトを立ち上げる。それが、「イベント2000位以内取るまで全部走る大作戦」である。
お気に入りの「[ぴかぴかのさくらぐみ]市原仁奈」を携え、スカチケ購入などで恒常仁奈SSRを入手、プラチナガシャで当たった恒常よしのんSSRを編成に組み込み、イベランによって仁奈のファン数上げと音ゲー技術の向上を両立しようと考えた。(当時は放置編成の存在すら知らなかった)
そうして始まったイベント、「きゅんきゅんまっくす」では、ひたすらにスタミナドリンクやスタージュエルを消費し、「ぴにゃリクエスト」をこなし、アイテム、ファン数、イベントアイテムを稼ぎ、イベントアイテムが貯まったらイベント曲を叩くというムーブを1日5時間程度設けた。
学校では、当時身体測定や健康診断などで授業がなく、暇な時間も多かったため、非常に走りやすく、技術の向上に惜しみなく時間を割けた。
しかし、学力は落ちた。プロデューサーとしては優秀だったかもしれないが、友達もおらず、成績も地の底だったので当時は人としてかなりカスな立ち位置だったかもしれない。アーメン。
そうしてイベントを終える
と、イベント順位はこうなった。
まぁ、初めて走ったにしては悪くなかった。問題としては、前半にあまり走れなかったことだろうと予想がついた。ので、次回は前半からしっかりイベントアイテムを貯めていく作戦に出ることにした。
私にとって、ひとつの思い出になったイベント、
「Max Beat」
これ以降、私はイベント全話開放程度にしかイベントを走らなくなってしまったくらい、ここに思いをぶつけることになる。当時は同属性SSRカードを編成に5枚揃えることすらままならない貧弱な事務所だったが、ここで走ることに確かな意味があった。
それは、同じデレステを愛し、戦う者が確かにいることを知る意味、戦った先には、上位報酬という特別なアイテムが待っており、これを得る意味。これを持たずして、これを経験せずして、プロデューサーは語れないと思った。だから、SSランクのプロデューサーになる前にイベントを走ることにしたのである。
高総体と被ったスケジュールであったため、暇な時間を全て注ぎ込んでひたすら譜面に立ち向かった。何度Max Beatを叩いたか覚えていないほどに。
もちろん、上位者が人間離れしたイベラン生活を送っていることくらいは知っていたが、2000位切りを目指すだけでも、こんなに時間と労力が要るのかと手に汗握った記憶がある。
そして、1週間の死闘の末に…
確かな勝利の味と一皮向けたような気持ち。これがイベランだとじーんとした。
イベントを走りながら、なりたいプロデューサー像を思い描いていた。
本当にプロデュースしたいと思ったアイドルを、
周囲に流されずに決めて、自分の手で育てていく。本当に強いアイドルは、かくして生まれると。そうして育てたアイドルは、輝きが違うと。そう信じることにした。
後に始まる第8回シンデレラガール総選挙に、淡い期待と緊張が走る。