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SOFT BALLET『relics』収録の未発表2曲を歌詞ききとり掲載およびレヴューしちゃうよ (Part 1:血管)

仮題: 血管 (MILLION MIRRORS)
(作詞・作曲:遠藤遼一/編曲:SOFT BALLET)


地上に落ちたOddity
裸のまま 海の(中)
片足 左手に乗せて
死にゆくまで 手を踏んで

傷は肺になら
(Ich Der Weil)
目を閉じてさらば
(Existenz)

In the Million Mirrors
Loving your own sight
To hide and seek
Dust to Dust

In the Million Mirrors
Loving your own sight
To hide and seek
Love in a Mirror

聞こえる 消えそうな声は
壁の中で祈る(まま)
右手で 片手をずらして
身を任せて ひとつになる

傷は肺になら
(Existenz)
目を閉じてさらば
(Ich Eins Dann Nicht)

In the Million Mirrors
Loving your own sight
To hide and seek
Dust to Dust

In the Million Mirrors
Loving your own sight
To hide and seek
Got to Dust

……はい。
 というわけで、ききとりなので正確さはありませんが。特にドイツ語部分はわかりません。しゃーないよね。
 でも漢字表記とか遠藤っぽくしてみたので、おおよそ合ってると思うぞ。

 この曲は『MILLION MIRRORS』のアウトテイクで、デモなどの表記がないところを見ると、おそらく完成したのにお蔵入りした音源。しかも作詞・作曲が遠藤遼一! ソフバ時代で遠藤が作曲というのは、この曲と「FLOW」しかないので、そういう意味でも貴重だ。つまりこの曲が発表されるまで、遠藤がソフバで作曲したのは1曲だけ状態だったわけだ。わーお。ついでに言えば「この時点では」ソフバ初の日本語タイトルだ。仮題だけど。
 まったくの推測になるものの、仮題は「血管(MILLION MIRRORS)」だし、そのアルバム・タイトルも連呼されるし、同じく「MILLION MIRRORS」という歌詞があるアルバム冒頭の「FRACTAL」と対になって、アルバムの最後を飾る予定だったのではないだろうか? ところが藤井が「THRESHOLD」という海外シングルにもなる超弩級の傑作曲を作ってしまい、さらにそのミックス違いまで制作。それをアルバム最終部に持ってくることで、この曲はボツになったような気がする。いやこれ全部推測ですけど。
 それでも惜しいから、僕は個人的に「MEDDLER」の次に入れて楽しんでいる。そのつながり具合もよく、終了後は「THRESHOLD」2連発で終わる、という形で違和感がない。

 足音から金属的なノイズがかぶさり、一気に重苦しいストリングス。マーチのようなスネアに雫が落ちる効果音的な鍵盤。いきなり冒頭からリリシズム全開である。曲としても決して悪くはなく、むしろ良い。森岡・藤井初共作の微妙曲「HYSTERIA」なんかより、この曲を入れればよかったのに(笑)。
 遠藤の歌声も伸びやかで暗黒のロマンスを感じる。まさに「暗黒王子」が凝縮されたような曲と世界観だ。それこそ「FLOW」は藤井に手伝ってもらった曲だが、こちらは遠藤が全編を作曲し、音の印象からすると森岡の手伝いが多いように感じる。だからこそリリカルで、重く暗くしかし明るく、美しい。
 ソロ(エンズ)になると別人になってしまうので、この曲こそ「ソフバの遠藤」そのもの。だから個人色を強めただけの「FLOW」よりも貴重だ。研究材料としても(研究て)。

 なお、この曲がボツになっても遠藤は忘れることができず、エンズになってからミニ・アルバム『spacy』で「無限の鏡」という曲にリメイクしたらしい。画像検索していたら当時の音楽雑誌にそのように発言している画像を見ることができた。
 暗黒路線の「血管」に対して「無限の鏡」は市場の狂騒のような民族色の強いものになっている。歌詞も全部違うしまるで別物なのだけど、最初の歌メロ(の進行)だけ、ごくごくわずかに残っている。その記事の画像を見なかったら気づきもしなかったなー。

 そんなわけで。
 この曲はファンであれば必聴です。一気に「その時代」に戻れる魔力を持ってるぞ!

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