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SOFT BALLET『relics』収録の未発表2曲を歌詞ききとり掲載およびレヴューしちゃうよ (Part 2:TOKIO BANG!)

TOKIO BANG! (DEMO)
(作詞・作曲・編曲:SOFT BALLET)


Into the break down, TOKIO BANG BANG
We give a that of joy, TOKIO BANG BANG

人の波 顔の海
朝もや浮かぶその目には
あてもなく星もなく
抜け殻だけが遠のく

まばゆい世の中の
無力な人の渦
互いに絡みあう
組み込まれると知らずに

狂いはじめる
あやふやな言葉に
失いはじめる
きらめく街はHow Exciting?

1999 TOKIO BANG BANG
明日にすべてを託すなら
1999 TOKIO BANG BANG
すべて捨てよう TOKIO BANG BANG

光る波 叡智の海
同じ色の波に飲まれ
あてもなく星もなく
黒いニュースむさぼる

時は流れてゆく
ひしめく人すり抜けて
きらめき移りゆく
争う声も届かず

それぞれの手に
それぞれの生き方
従うことなく
争う街はHow Exciting?

1999 TOKIO BANG BANG
明日にすべてを託すなら
1999 TOKIO BANG BANG
救いの扉を開けたなら
1999 TOKIO BANG BANG
自分を少し感じたら
1999 TOKIO BANG BANG
やがて訪れるその時は
1999 TOKIO BANG BANG

Into the break down, TOKIO BANG BANG
1999 TOKIO BANG BANG

……はい。
 こちらは一気にインディーズ。そのため音と遠藤の声の若さに驚くに違いない。
 この時代には都合10曲が残されており、その多くはYouTube検索すれば聴くことができる。以下、それを列記してみよう。

「TOKIO BANG!」「PLANET FUNK」「SEE YOU」「AD-1999」(デモテープ)
「SOMETHING AROUND」「BORDER DAYS」(オムニバスLP『太陽の子供たち』)
「HEAVEN」(TVスポット放送)
「BODY TO BODY」「L-MESS」(シングルCD)
「LAST DOLL」(ライヴのTV放送)

 このうち、現在は「HEAVEN」だけ探せなくなっている。1分程度の短いスポットなんだけど異様に音質がよく、スタジオ録音を映像と合わせて流していたように思える。
 また、そこまでの7曲は完全英語歌詞。しかし音質がよろしくないのでききとりは難しい。
 デモ4曲は印象がどれも似ていて、聴けるだけいいですよねという曲。
 太陽レコード所属バンドのオムニバス盤収録の「SOMETHING AROUND」は後にライヴ常連曲となるが、残念ながらスタジオ音源はこの時期だけで、再録音はされなかった。歌詞が微妙に変わっている。「BORDER DAYS」は『EARTH BORN』収録の日本語歌詞の原型といった感じ。
「BODY TO BODY c/w L-MESS」はファンの間でも有名な、太陽レコードからのリリース。「BODY TO BODY」は編曲がやや異なり、後の『MOVIE』収録のライヴ・アレンジに近い。「L-MESS」はエンディングや、ほんの一部の歌詞が違う。
 残る「LAST DOLL」はそれ以後の「『TWIST OF LOVE』パターン」の原型になったとも言えそうな、一聴してわかる森岡ポップ。スタジオ収録されていないのが残念なぐらいの佳曲。
 ほか、ライヴのみの楽曲が数曲あったようだが、現在までに確認できているインディーズ時代限定音源は上記10曲である。

 というところで。
 今回の「TOKIO BANG!」なのだけど、今までに確認できていたデモは英語歌詞。それがきれいな音質にリマスターされただけかと思いきや、何と日本語歌詞! また効果音なども加えられ、まったくの別テイクになっていた。こんなのあったのか、である。
 冒頭が金属的なノイズから始まるので、CDで聴いていると「仮題:血管(MILLION MIRRORS)」と似ていると感じてしまいそうだが、ちょっと違う。もっと言うなら『3 -drai-』収録の藤井曲「MUCH OF MADNESS, MORE OF SIN」冒頭にそっくりで、昔からのファンはびっくりするだろう。
 そこから一気に初期の常套手段「ギター+テクノ」。しかしクリアな音で聴くと、YouTubeで聴ける英語デモとまったく印象が違う。中間部には琴の音色のサンプリングや笑い声のギミックなどが入り、試行錯誤が見られる。
 曲のデキとしては「まぁこんなものか」「時代だなぁ」だけど、資料として重要だ。ソフバ研究の(また言うか)。

 歌詞はその後の「小難しい抽象路線」ではなく、淋しい都会を歌っている。90年代だなぁ(笑)。
 映像ソフトの『JACK IN』で、遠藤が今後表現したいことについて「内外を問わず社会問題とか」と言っていたのは、きっとこういう歌詞のことだったんだろうなぁ。でもこの方向だったらきっとすぐに解散していただろう。

 おそらく、今回の発表は「 (DEMO) 」と但し書きされているが、英語デモと日本語デモのうち、日本語デモをブラッシュアップしてリマスターしたものだ。冒頭のノイズなんて間違いなく「あとから足している」もの。
 そう考えると、他の曲にも期待が持てる。もとい、期待が持てないわけでもない。ソフバ、というより唯一活動中のメンバーの藤井か、音信不通の遠藤が了承さえすれば、今回のような発掘音源が出てくる可能性がある。当時のままではなく、きれいに加工されて。
 そういう意味ではインディーズ時代の音源ということもあり、これから何かが始まりそうでワクワクする。
 この音源で、あなたも見たことのない若いソフバに出会えるよ!

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