【BAL】彗星の如く現れたセットアッパー・Yennier Canoって何者?
はじめに
みなさまこんにちは!BAL担当のもくろーです。
本日は表題の通り、BALに所属するリリーフピッチャーの1人である
Yennier Canoについてお話ししようと思います。
事の始まりは、先日より一部MLB界隈にて話題となった彼の異次元の成績です。それがこちらになります。
11試合を投げて防御率は0.00、そしてイニング14を上回る16奪三振。
そして何よりもWHIPが脅威の0.14と異次元の成績を残し、開幕から快進撃を続けるBALのリリーフ陣を支えています。
しかしながら開幕前、彼は特に注目される選手ではありませんでした。
そこで、今回noteにて彼がどういった選手なのかをまとめるに至ったという経緯になります。どうぞご一読頂けますと幸いです。
※2023年5月20日、記事を更新しました。
経歴
基本情報
出身 :キューバ 🇨🇺
生年月日:1994年3月9日(現29歳)
身長 :193cm
体重 :83.9kg
キューバ時代
出身地の通り、最初はキューバリーグにてそのキャリアをスタートさせました。2013年に19歳の若さでデビューすると、2016年まで同リーグに所属していましたが、その後ぱったりと出場記録がなくなります。
これは、彼がよりレベルの高いリーグへと挑戦しようとキューバ政府に渡航許可を求めたところ、承認されるどころか制裁を受け、丸1年間も野球場に出入り禁止となってしまったためです。
彼は野球場に入ることができない期間、ランニングや自宅でのウエイトトレーニング、そして路上や中庭でピッチングをすることで、そのパフォーマンスを保つように努めました。
アルゼンチン時代
そんな中、年が明けた2018年に彼の元に1通の招待状が届きます。
それはキューバリーグの元投手だったAmaro Costaからであり、彼をアルゼンチンでのトレーニングに招待したいというものでした。
カノは制裁が解除されるとすぐに妻を連れ、飛行機でアルゼンチンへと向かいました。ここで彼はCostaの下でトレーニングを積み、今の彼の最大の武器であるチェンジアップを学んだとのことです。
翌年2019年3月にはアメリカのマイアミへと渡り、ショーケースへと参加した彼は多くの注目を集めることとなります。その後ドミニカ共和国でも別のショーケースへと登板した彼は見事MINと国際FAという形で75万ドルで契約しました。
ちなみに、以前のnoteでも書いた通り、国際FAでは超有望株は解禁年である16歳になってすぐ球団と契約するケースが非常に多く、25歳という年齢は非常に珍しいケースと言えます。
MIN時代
その後は傘下のルーキーリーグでアメリカでのキャリアをスタートさせると、新型コロナウイルスによってマイナーリーグが開催されなかった2020年を挟み、2021年にはAAAまで昇格します。
そして2022年、彼にとって大きなチャンスが訪れます。AAAで好成績を残すとDanny Coulombeの負傷に伴い、5月11日にMLBデビューを果たしたのです。
すると同月16日にはOAK戦で2イニングを0点に抑え、見事嬉しい初勝利を挙げました。
しかし、このまま勢いに乗ってとはいかず、その後は打ち込まれ10試合で防御率は9.22と苦しんでしまいます。
BAL時代
ですが、TDLのタイミングで、当時守護神を固定できずにいたMINがBALの守護神であったJorge Lopezを獲得、そのトレード相手としてBALへ移籍することになります。移籍後は3試合に登板したものの、4.1回で被安打9与四球5で9失点、防御率18.69、結局この年は13試合で防御率11.5と散々な結果に終わってしまいました。
しかしながら、奪三振に関しては登板回数18イニングを上回る21個を奪っており、マイナーでも21年は69.2イニングに対して86個、22年は40.1イニングに対して45個と、その奪三振能力は当時より大きく光るものがありました。そこに今年の活躍の光明があったのかもしれません。
ピッチング
さて、ここまで彼の経歴をお話ししてきましたが、ピッチングについてもお話しできればと思います。彼の球種は①ストレート②チェンジアップ③スライダーの3種類になります。
武器はなんといっても②のチェンジアップです。やや横手から繰り出されるこの球種は、シンカー気味に横に大きく滑り右打者にとってはインローに食い込み、左打者にとってはアウトローに逃げていく独特な軌道となっており、執筆時点では48球を投じてなんと被打率は脅威の0です。
この球種が彼の生命線ともいえ、今季の異次元の成績を叩き出す要因となっていることは間違い無いでしょう。
最後に
4月はチーム最高記録の18勝を上げるなど、最高のスタートダッシュを決めたBALですが、彼は間違いなくその躍進を支えた1人と言えるでしょう。
しかし、彼にとっては今年が実質1年目のシーズンと言えます。
長いシーズンを戦う中で疲労が蓄積し、相手にも研究され、いつかは苦しい時期が訪れるでしょう。
しかし、それを乗り越えてこそ一人前のリリーバーだと自分は考えます。
怪我に気をつけて、多くの壁を乗り越えて、これからの長くチームに貢献してくれることを願っております。