小学生ハンドボールクラブを作るのに必要な3 + 1つのもの:「ヒト」
「ヒト・モノ・カネ」+1
クラブ(少年団)を作るために必要なものが三つあります。「ヒト」「モノ」「カネ」です。「ヒト」は、メンバー、指導者、運営協力者で、いわばソフトウェアの部分です。「モノ」はボールや練習用具はもとより「会場」も含まれ、いわゆるハードウェアの部分です。「カネ」は、運営に関わる費用です。スポーツ少年団のような規模で収益化を目指していない場合は、会費などで賄われるものですが、NPO法人化などの事業化を目指す場合は資金ぐりの計画が必要となるでしょう。これはクラブチームに限らずプロジェクトや事業全体に言えることですよね。
これに加えて大事なプラ1が、「方向性」。何を目指しているクラブチームなのか、です。ここでいう「何を」というのは全国大会優勝などの刹那的な目標ではなく、「ここで子供がどのように成長するのか」という中長期的な目的のことです。練習の頻度やオーガナイズ、声の掛け方、保護者の協力度合い、などクラブのカラーが大きく左右されますし、それによりどんな子供に来てほしいのか、という訴求する層が変わってきます。方向性の特徴は、実際に指導を受けてみるまで顧客はわかりません。そして上手く刺さった時に、最強の宣伝手法である「保護者の口コミ」で広く知られることになります。指導者自身の成長や心境の変化にも左右されるものですが、迷った時の礎になるものなので、何のためにクラブチームを運営するのか、常々考えておく必要があります。
「ヒト」を集める
クラブ(=指導)のコンテンツを体験してもらう
世間のほとんどの人はハンドボールをやったことがありませんし興味もありません(ここが大事)。なので、まずはハンドボールを体験してもらわないことには始まりません。ですが、マイナーなので体験教室をやみくもに宣伝しても、人はほとんど集まりません。例えば「カバディ体験会」とか「アルティメット体験会」とかのチラシが来ても「え?何?」って思うでしょ(私は面白そう!って思う口ですが)。
これまで立ち上げたクラブの場合、まず最初に以下のような形で自分の指導を体験してもらいました。
部活動のある中学の地域を対象にした体験会で
当時外部コーチをしていたハンド部の顧問に全面的に協力してもらって、体験教室を開催しました。部員の保護者や弟妹が友達に声をかけてくれる場合が多く、比較的人が集まりやすいです。
自分の子供のイベントとして
自分の子供が保育園や放課後児童クラブに通っていた時に保護者会の役員をやっていたのですが、そこで行事として「ボール投げ教室」と銘打ってハンドボールを紹介しました。一度縁ができ、内容が好評ですと、自分の子供が卒園・卒業した後も継続して実施できます。
また、保育園のママ友つながりで「子供たちまとめて遊ばせますよー」って声をかけてハンドボール遊びをしました。
自治体や協会の事業として
自治体には、スポーツ教室の開催を公募している場合があります。その場合は予算や会場も確保してくれるので、非常に有効です。以前、つくば市のスポーツ教室に開催に応募したことがあります。その時は不採用でしたが(面接まで行ったのですが)、後日「小学校のPTAの行事でボール運動を取り上げたい」と斡旋されました。
札幌市では公営の体育施設を管理する団体がいろんなスポーツ教室を開催しており、その種目にハンドボールが実施されています。このような場合は「指導員やりたいです」と申し出てみるのも良いと思います。というか、申し出ました。
自分の指導で子供たちが喜び保護者が満足してくれれば、「次も来よう」「〇〇ちゃん家も誘おう」という流れができます。「くちこみ を おぼえた!」です。そのためにも、体験会でどれだけ子供と保護者に満足してもらうか、が非常に重要です。それについてはまた別の記事で書きます。
仲間や家族に「チーム作ろうと思う」とまずは口にする
指導や運営に協力してくれる方も並行して集めますが、まずは仲間にチームを作りたいって思ってる、ということを語り続けるのがいいです。ずっと言い続けていると、ふとしたきっかけで一気に動きだすものです。3番目のチームについては、知り合いのハンドボール協会の方にちょこっと話しただけで、一気に会場や人の工面がつきました。
おろそかにしてはいけないのは、家族(特に配偶者)の同意です。クラブ運営では、練習や遠征で頻繁に家を空けることになります。子供が小さいなど大変な時は、家事育児に配偶者がワンオペになってしまうと、肉体的にも精神的にも大きな負担を強いることになります。特にあなたが男性で、これをもって「イクメン」気取りをすると、「自分の趣味に子供を利用している」「単なるいいとこ取り」と取られても仕方がないです(とっても痛い体験談)。
教員はマストメンバー
関わってもらうと圧倒的に良いのが、学校関係者、教員です。教員は、会場確保やメンバー集めの点で非常に有利です。私の場合は、各地で外部コーチとして活動していたことで顧問の教員の協力が得られ、会場確保やチラシの配布で便宜を図っていただきました。ただし、教員の協力が得られない場合も多々ありますが、そこで絶対に無理強いはしないよう。教員の労働環境はただでさえ過酷です。
コーチは割と勝手に集まってくるけど
コーチは比較的自然に集まります。というのも、ハンドボーラーで教えたいと思う人は結構多いのです。また、近くに体育系の大学があれば、そこに応援をお願いするケースもあります。
ただ、子供相手の指導に不慣れな場合がほとんどです。言葉の使い方や練習のオーガナイズに特化した技術が必要、ということを認識していない場合も多いです。一概には言えませんが、「プレイが上手な選手ほど子供の指導は苦手」と経験上感じてます。ですので、立ち上げ最初のうちは自身の指導方針を染み込ませ、メンバーが増えてきたら次第に一部のお手伝いをお願いする形が良いです。指導に慣れて来た時点でカテゴリー別に分担する、というような流れが良いと思います。
「カネ」のところで述べますが、指導してくれる方にはそれ相応の対価を支払うべきだと思ってはいます。知り合いのクラブでは、学生指導者には一回につき数千円の謝金を支払っています。私のところでは財政基盤が安定していないため(後述)、ボランティアとして無償で行ってもらっているのが現状です。
協力的な保護者が必ず現れる
クラブが立ち上がった後の話ですが、保護者が積極的に協力できるように運営に組み込んでいく方が良いです。規模が小さい時は指導者単独でも大丈夫ですが、次第に規模が大きくなったり遠征などが入ったりすると、指導者だけで全部取りまとめるのは非常に大変です。特に子供は、具合が悪くなった時などのトラブルに一人で対処できません。なにより指導者単独で運営していると、その指導者自身にトラブルがあった場合、クラブが立ち行かなくなります。
「子供がハンドボールを通じて成長していく」というコンテンツは保護者も一緒に楽しみたいものです。PTAの役員決めと違って、保護者が何らかの形で関わりたい、と申し出てくれるケースが多いです。私が立ち上げた3つのクラブでも「運営に協力したい」と申し出てくれた保護者が必ずいました。 一つのクラブは私が単身赴任で離れてしまいましたが、熱心な保護者の方々に申し出ていただき、運営や指導を今では保護者の方々が行ってくれています。