学生さん向け・お薦めデザイン書籍【書体編】
学生さんのポートフォリオ、基本的な文字組ができていない部分が少なからずあります。表紙のタイトルや見出しの字間が不揃いだと、内容以前に「この人のスキルはこの程度なのかなぁ…」、と推測してしまうので、もったいないなぁと。
デザインの、特に書体に関しては色々な本が販売されていて、個人的にとても勉強になった!というものが本当に多い。
授業するより本を読んで自分で勉強したほうが何倍も効率がいいのでは笑、と思ったりもします。
1.『欧文組版: タイポグラフィの基礎とマナー』
書体に関する1冊目は『〔増補改訂版〕 欧文組版: タイポグラフィの基礎とマナー』欧文書体について網羅的にまとめられていて、この一冊を読んで実践すればかなりの部分はカバーできるはず。
基礎的な用語から歴史、組版の練習課題やきれいな欧文組版の例まで載っています。
また名刺や封筒、レターヘッドなど実際のアイテムにレイアウトする際の基本的な考え方と見本、そのほか英語圏における表記の例(英語での住所の書き方や、名前と肩書きの位置など)の詳細な説明もあり、基礎から実践まで幅広いフェーズで活用できるのもいいです。
増補改訂版は2019年の7月5日に発売とのことで、さらに内容が充実するのではと期待しています。
僕がもっているのは改訂前のものなのですが、あまりにいい本なので、うちには2冊あります。(間違えて2度買った)
2.『デザイン解体新書』
2冊目は工藤 強勝さん監修の『デザイン解体新書』。
書体だけでなく、図解の方法やサムネールの実例、本のつくりに至るまで、とにかく出版物にまつわる事柄を幅広くカバーしてくれている。
「デザイナーの暗黙の了解を形にする」ために書かいたとのことで、デザイナーの暗黙知(暗黙の了解はこのニュアンスかと、、、)が言語化されていて、その事自体もすごい!と感動しました。どんな人でもデザインルールを読み解けるように、はじめての人にもわかりやすく細かいステップで説明がされていて、とてもありがたい。
本としては少し前に出版されたものだけど、普遍的な内容なので今でも(というか今後も)使えるのでは。
最近出同じく工藤さんの『文字組デザイン講座』も出版されたようで、判型が大きく見やすいのでこちらもおすすめですが、内容的に網羅性がある方の『解体新書』を取り上げてみました。
どちらも実際の作品写真の隣に、サイズや書体、紙、印刷方式などの仕様が書かれていて眺めているだけで楽しい。
3.『欧文書体2 定番書体と演出法』
文字を組むための原則やルールを色々勉強していくと、ルールに則らないと!とかルールがこうだからこれはやめよう、、、みたいに考えがちになっていくんですよね(僕がそうだった)。
でも書体ってもっと楽しいものだよ、あまり厳密なルールに縛られず色々試してみよう!(意訳)ということを教えてくれたのは小林章さんの本でした。
書体に関する3冊目は小林章さんの『欧文書体2 定番書体と演出法』。
冒頭欧文の書体が海外でどのように使われているか、多くの写真や図版を用いて紹介されています。それらを通じて、書体がいかに自由に、のびのびと使われているかを実感できる。
また、高級感、親近感などの身近な印象で分類した章もあり、わかりやすく誰にでも読みやすい内容になってます。
後半にはHelvetica や、Garamond といった定番の書体の詳しい成り立ちなどがまとめられてます。よく目にする書体って、こんな背景や歴史があったんだ!と新たな発見もあって楽しみながら学べるのでは。
何度か小林章さんの講演会にも行って話を聞いたけど、ご本人の話もとてもわかりやすく、丁寧に話される方で、ほんと書体みたいな人だなぁ(称賛)と思いました。(TEDxKyotoに出てくれないかなぁ、出てくれると嬉しいなぁと、個人的に思っている方です。)
小林章さんの書体にまつわる本は他にもいくつかあるので、どれもお薦め。
4.最後に
本の紹介にあたっての基本的なスタンスは、
・質が高く体系的に学べる
・現在も販売されている
・高価すぎない
の3点を重視しました。
デザイン関係の本は、古くて絶版になったものに良書が多い事もあるのですが、入手が困難な上に高価である場合が多いので、今回ははずしました。
あくまで「今デザインを学んでいる学生さん」が簡単に入手できるもの、という観点で選んでいます、よければ参考にしてみてください〜。