#11 後世に残したいバレエ/コンテンポラリー作品特集!
数百年前に上演された「ジゼル」や「白鳥の湖」「くるみ割り人形」など、多くの素晴らしい作品が今も踊り継がれていますが、個人が自由に表現をできる今の時代、自主公演で1回限りの上演という作品は少なくありません。
そこで、バレエメイトは【あなたが後世に残したいバレエ/コンテンポラリー作品はなんですか?】というお題でInstagramのストーリーにてアンケートを実施。沢山のコメントをいただきましたので、その結果を発表していきます!
どんな作品が名を連ねているのでしょうか、早速見ていきましょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
①緑のテーブル|クルト・ヨース
1番人気が高かったのが、スターダンサーズバレエ団のレパートリーでもある、クルト・ヨース振付の『緑のテーブル』。1932年に初演。「反戦」をテーマに描かれ、同年のパリ国際舞踊コンクールで一等を受賞。舞踊史に残る傑作と評されている作品。運営者もまだ観たことのない作品なので、ぜひ観たい作品の一つ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
②牧神の午後|ジェローム・ロビンズ
『ウェストサイドストーリー』や『王様と私』の振付を担当したことでも知られるジェローム・ロビンス。ABTでダンサーとして活躍した後、ニューヨークシティバレエ団の副バレエマスターに就任中の1953年に手掛けた作品。
場所はスタジオ。見えない鏡の中で絡み合っていく2人の視線と踊り。とても美しいデュエットにうっとりです!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
③Liebestod-愛の死|金森穣
Noismの芸術監督の金森穣さんが2017年に作った作品。音楽はワーグナー作曲のオペラ『トリスタンとイゾルデ』の終曲に使われる「愛の死」。この曲を初めて彼が聞いたのは18歳のころで、ベジャールの『M』に使用されていた。聞いた瞬間、衝撃が走り、魂を掴まれたそう。「いつかこの曲で作品を作りたい!」とずっと温めてきたものを42歳で形にした渾身の一作。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
④SHOKU|黒田育世
国内外問わず数多くの賞を受賞し、Noismや野田秀樹などの様々なアーティストとのクリエーションを通じ、ジャンルを超えて支持されているコンテンポラリーカンパニー BATIK主宰・振付家・ダンサーの黒田育世さんが2004年に発表し、それ以降も何度かバージョンを変え上演されている作品。「触」が導く内と外。ちょっと過激で、身体を極限まで追い詰めるダイナミックなパフォーマンスは世界感がすごい!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
⑤ガーシュイン・モナムール|深川秀夫
2020年9月に永眠された振付家 深川秀夫さん(享年73歳)は、ヴァルナ国際バレエコンクールやモスクワ国際バレエコンクールで受賞し、シュツットガルトバレエ団に入団後はジョン・クランコに指導を受けるなど、日本バレエの先駆者でした。こちらの作品は1990年代にバレエスクールのために振付られた作品だそうです。今日では数多くのお教室へと受け継がれています。
ちなみに2021年、新国立劇場がLIVE配信を行った『ニューイヤー・バレエ』で、池田理沙子さんと井澤駿さんが踊られた「ソワレ・ド・バレエ」も彼の作品です。美しいデュエットに心奪われた方も多いのではないでしょうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
⑥バッハ組曲Ⅱ|ジョン・ノイマイヤー
こちらは運営者が調べた限りでは、ローザンヌ国際バレエコンクールの2008年・2009年に登場した、ノイマイヤー振付のコンテンポラリーの課題曲です。フルートの細かな指の動きに合わせるように、休みなく続く踊りは、テクニック的にも肉体的にもとてもハードな作品。今注目の若手ダンサー石崎双葉さんが踊られているものをご紹介します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
⑦ディエゴのためのソロ|リチャード・ウェアロック
こちらも2014年以降のローザンヌ国際バレエコンクールのコンテンポラリー課題曲として度々登場する作品。ちなみに、黒鳥のGPDDのアダージョの曲に合わせて、ソックスを履いた女の子がお茶目に踊りまわる作品も記憶に残っている方も多いと思うが、それもウェアロックの作品。今回は、この作品を踊って1位を受賞した二山治雄さんが踊られているものをご紹介します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
⑧牡丹灯篭|池上直子
コンテンポラリーダンスカンパニーDance Marché主宰の池上直子さんの作品。こちらは2020年の大和シティーバレエSummer Concert想像×創造で初上演されました。運営者も拝見しましたが、とても怖い怪談話なのに、米沢唯さん演じるお露の気持ちを想うと苦しくて切なくて涙がこぼれる...そんな美しい作品に仕上がっていました。今のところ再演がないのが悲しい。
個人的な意見ですが、彼女は群を抜いて物語を伝えるのが上手い振付家。「コンテンポラリーをどう見たらいいのか分からない」という方はぜひ、彼女の作品を観てほしいなと思います。きっと価値観が変わると思います。
※5分8秒あたりから牡丹灯篭
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
⑨ホフマン物語|ピーター・ダレル
英国が誇る振付家ピーター・ダレルの大傑作バレエ「ホフマン物語」。プロローグ、エピローグ付きの全3幕で英国らしいドラマティックな作品となっています。主人公ホフマンが心奪われる3人の女性たちは、プリンシパルや劇場の推しダンサーたちが演じており、美しい彼女たちの踊りを1つの作品の中で堪能できる貴重な作品です。またいつか上演してほしいですね!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
⑩ボレロ|モーリス・ベジャール
バレエをやったことがなくても知っているベジャール振付の『ボレロ』。舞台の中央で舞う『メロディ』を踊れる人は、ベジャール(バレエ団)から許可を得たものだけ。運営者が調べる限り、日本では過去に首藤康之さん/高岸直樹さん/後藤晴雄さん、現在は柄本弾さんと女性ではただ一人、上野水香さんが踊られています。『メロディ』というと男性をイメージされる方も多いと思いますが、初演は女性が踊っていたそうです。今回は有名なジョルジュ・ドンとシルヴィ・ギエムのボレロをご堪能ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
⑪セレナーデ|ジョージ・バランシン
1933年~1934年にかけてジョージ・バランシンが渡米して初めて手掛けた作品で、彼の代表作とも言われる。実は同年に彼が設立したスクール・オブ・アメリカン・バレエの生徒のために作った作品で、今日ではニューヨーク・シティ・バレエの恒例レパートリーとなっている。他にも50以上のバレエ団がレパートリーに持ち、すでに後世に引き継がれている作品の一つ。日本でも東京バレエ団、東京シティ・バレエ団、新国立劇場、スターダンサーズ・バレエ団などが上演している。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして、最後!個人的に運営者が好きな作品を一つ。それがこちら。
⑫ザ・グラン・パドドゥ|クリスティアン・シュプック
現チューリッヒバレエ団の芸術監督で、2023年からはベルリン国立バレエの芸術監督に就任することが決まっているシュプックの作品。笑えるのにテクニック盛沢山のこちらの作品は、正確には分からないが2005年には既に踊られていた。清純で美しいバレリーナが眼鏡をかけ、お尻を観客に向けたり、投げられたり、引きずられたり(笑)。最初見た時は本当に衝撃でしたが、国を超えてみんなが見て楽しめる素晴らしい作品です。まだ観たことない方はぜひご覧ください!
(題名の日本語表記は「ザ」なのですが、本来は「Le」が使われています。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、いかがでしたか。あなたが後世に残したいバレエ/コンテンポラリー作品はありましたか?運営者的にはもっともっと挙げたいのですが、キリがなくなってしまうので、それはまたいつかの機会に。ストーリーにコメントしてくださった皆さま、ご協力ありがとうございました!もしこれを読まれている皆さまもおすすめの素敵な作品があればコメントくださいね!
いつの時代も若い振付家が生まれては、新しい作品をどんどんと生み出す。どんなに小さな作品でもその中から良いものはしっかりと後世に残していきたいなって思います。そしてそれがいつの日か古典(クラシック)と呼ばれ、誰かが受け継いでいく…。そんな日が来たらいいなって思います。
最後までお読みいただきありがとうございます!
この記事がいいなと思った方は、スキやフォロー、サポートをどうぞお願いいたします。バレエメイトはこれからもたくさんの役立つ情報や学びを配信していけるよう頑張ります!!