ランダンプレーの末に

6月の大会を最後に引退し、受験勉強に移った3年生を送り出すイベントとして、夏休みの最後に新チーム対3年生のOB戦が組まれるのが、我がJ中の慣例だった。
ブルペンキャッチャーという切り口からメンバー入りを目指した私は残念ながらこの試合のベンチには入れず、二塁塁審を務めながら試合展開を追った。試合は髪の伸びた3年生は和気あいあいと、新チームの2年生は真剣に試合に臨んでいた。そして、同期の有望株であるショウヘイが試合途中からセカンドに入ったことが私の運命を変えることになる。
ショウヘイが守りに入ってすぐ、出塁していた3年生が二塁と三塁の塁間に挟まれ、いわゆるランダンプレーの状態となった。できたばかりの新チームであるゆえ、スムーズにアウトは取れず、セカンドのショウヘイは三塁ベースにまわってボールを待った。そこへランナーがスライディングをせずにベースを目指したことで、ショウヘイとランナーが交錯し、ショウヘイが負傷して退場してしまうことにった。
私は二塁塁審だったため、三塁ベース上のプレイについてはよく見えていなかったのだが、軽くぶつかった程度に思っていた。ショウヘイは試合を抜けて、そのまま病院に行くことになったが、翌日届いた報せは衝撃だった。なんとショウヘイの顎が折れていたらしく、しばらく入院することきなったというものだった。そして監督が私に言った。
「今日からセカンドでノックを受けろ」

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