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限られた時間を駆け抜ける
言い訳はいろいろあった。
怪我があっただの、出場時間が短かっただの。
実際それはその通りだし、誤魔化しの為のウソだというわけでもない。
だけどそれが事実だとして、結果的にそういう事実に甘えて、流されて、短い出場時間を疎かにした結果が今の息子の現状だと思う。
どういう現状か。
ライバルにポジションを奪われるという現状。
ベンチ外だった同級生が新チームでは息子より先に交代出場の声が掛かるという現状。
例えばある試合で上級生のスタメン組が点差をつけて下級生と代わる。
点差がついたことで、チームには楽勝ムードが漂いリラックスした雰囲気になる。
息子はその雰囲気に流され、終了までの時間を無難に過ごすだけの流すようなプレイをしてしまう。
Aチームのベンチ入りしてから、大差の試合に出してもらった息子がそういうプレイをしているのを何度か見た。
こちらとしては見ていて面白くはないが、息子だって真面目にやってないわけでもないし、短すぎる出場時間に諦めの念もあるから、まぁそんなもんか、と思っていた。
監督・コーチも別にそういう息子を咎めたりはしなかった。
だけど息子からポジションを奪ったライバルや、交代出場の序列で息子を抜いた子たちは、そういった短い時間を疎かにせず、積極的にプレイしていたんだよな、いま思い返すと。
息子が右SB、ライバル君は左SB。
最初は同じようなタイミングで終了間際とかに試合に出ていたはずが、ここ最近は少しずつ出場時間に差がつき始めていたことに息子もおれも気付いてはいた。
それでもチーム状況とか試合の流れとかポジションの違いを言い訳にして自分たち(俺と息子)を誤魔化していたが、遂に直近の試合じゃ本来左SBのライバル君が息子の右SBでスタメン出場ですよ。
しかも、ただの試合じゃなくて、地域リーグの天王山的な試合ですよ。
結局ライバル君は68分出て勝利に貢献。
一方で息子は勝負の決まった残りの2分だけライバル君と交代で出場。ボールタッチは2回だけですよ。
まったくトホホである。
トホホではあるが、息子を責めるつもりはない。
別にサボっていたわけでも、テキトーにやっていたわけでもないからな。
ただちょっと意識が足りなかったのかな。
性格の違いというのもあるとは思う。
息子は5点差で勝ってて、6点目を狙いに行くような性格ではない。
良いか悪いかは別にして。
元々勝ち気というわけでもない性格と、あとは本来ならもっと緊張感のある試合という場を、勝利が決定的なリラックスした雰囲気で、しかも愉快な仲間たちと迎えるんだから、緩むのも無理はない。
だから起きたことはもうしゃーないとして、問題はここからどうするか、だ。
短い出場時間をどう消化するか。
いかに自分の良さを出すか。
もっと言えば練習のときからだな。
わかりやすくドリブラーであるとか、ストライカーであるとか飛び道具がない息子が、どうアピールするのか。
これはこれでチャレンジだなあ、と。
置かれた場所で、どう自分の力を発揮するか。
考えること、イメージすること、クリエイトすること。
そういったことが必要になる。
そしてそれはサッカーだけに限らず人としての成長にも繋がるんじゃないかなあ、と。
どうなるか見ていようと思う。
ちなみに、ライバル君にわかりやすくポジションを奪われた次の試合。
また残り数分ほどで出てきた息子。
今までなら中盤の選手に繋いだら最終ラインに残ってノンビリしていた場面で、ボールを保持しているサイドハーフをダッシュで追い抜くオーバーラップ。
だよな。
ここで変わらなきゃいつ変わるんだよな。
その走りを見て、妙におれは満足してしまった笑
別に何も特別なことはしてないんだけどさ。
その走りが出来れば大丈夫。
そう思えた。
この走りを見れば監督だって息子を使ってくれる、チーム内の序列もまた変わる。なーんて甘いもんじゃないのはわかってる。
ただ単にセオリー通りサイドを駆け上がっただけで、パスも来なかったし、別に何も生まれてない。
シビアに言えば、今まで通りオーバーラップせずに最終ラインに立ってた時と結果としては変わらんわけだ。
たげど、これから息子が努力して、いつか実力でレギュラーを獲れたとしたら、その第一歩はこの日のプレイだった、と言えるような走りだった。
意味があるのかないのか、それを決めるのは息子次第。
良い方にも悪い方にも少しずつ息子の中学サッカーは動き始めたのかな。