初・英語字幕なしで完走できたドキュメンタリー
『モンスターズ: メネンデス兄弟の物語』
いままでのわたしの英語レベル
いままでの私の英語レベルは、字幕があれば映画は見れるけど、ドキュメンタリーは字幕があっても無理!だったんですが、先月、うちにホームステイしていた英語ペラペラになった19歳のチリ人の子(母語はスペイン語)が「全部見なくても、10分だけ字幕なしで見るっていうのを毎日やってみたら」というので、その日から字幕なしでなんでも見るようになりました。
このドキュメンタリーの英語度
【単語レベル】難。裁判用語になるとぼーんやりして、最後の2〜3エピソードは寝落ちたので、翌日みなおしました。
【おもしろさ】高。新聞好き、事実好きなら「結局、動機は?」「結局、判決は?」が知りたくて、なにがなんでもゴールまで見よう!となります。しかも、完走したあとにnetflixが別立てで作ったガチのドキュメンタリー(”The Menendez Brothers”)まで見てしまいました。(リアルを見ると俳優さんの再現率に驚きます)
【おすすめ度】普通の方はあまり見ないほうが…。
netflixが、暴力、流血、児童虐待、近親相姦、性加害のフルコンプリートタグをつけています。
【おはなし】なんか怖そうだから見ないけど内容は文字で知っておきたいという方や、「メネンデス兄弟」のwikipediaが英語しかないんですけど…という方のためにあらすじを5行で…!
あらすじ
アメリカで実際にあった殺人事件で、加害者は現在も刑務所で生きています。事件の表側は簡単で、約40年前のアメリカで、超絶富裕層の20歳代の兄弟が両親を自宅リビングで銃殺し、最初は自分たちがやったことではないと言っていたけれど、警察が証拠の銃を見つけ兄弟を逮捕し、裁判で無期懲役が決定したという話です。
なぜ今メネンデス兄弟が再注目?
なぜ今netflixが投資してドラマまで作ったのかというと、兄弟が両親を殺害した理由が「父親が僕たちをレイプしていた(兄は小学生のころ。弟は子供〜20代まで)」だったからなんですね。今なら、兄弟が被る刑は無期懲役ではなかったのではと多くの人が考えるようになっているそうです。
両親を殺害した本当の動機は。
今では、親からのパワハラは子供に「逃げられない」「死ぬしかない」という選択肢の狭さを与えるものだというのは理解が得られつつある考えだと思います。弟さんは、6歳から父親を殺害する一週間前?まで父親から暴力を受けていたそうです。(わたしの英語があやしいので正確なこと知りたい方はぜひ、ねっふり課金を…)そして、自宅から遠距離の大学に受かったので、父親から正当な理由で離れられる!と喜んだのもつかのま、地元の大学に行けといわれて、僕の人生は詰んだ…となり、兄と共謀して両親を殺害となったとのことです。(なんで母親まで銃殺したのかは、どうも母親は父子相姦を知っていて知らないふりをしていたらしいことも関係しているっぽいです)また、弟さんのほうは、裁判中にも一般市民裁判員から「もう大人なのになぜ逃げられなかったんだ?」と指摘されてたんですが「父親から逃げるという考えすら思いつかなかった」と言うぐらい病んでました。40年前の一般市民感覚だと「二十歳超えてなぜ父親から逃げないんだ?」になるのはしょうがない…んですかねえ。
今ならメネンデス兄弟は正当防衛では?
現代の米国で父子レイプが原因の両親殺害事件があれば、この二人は正当防衛が認められたんじゃないかというふうに人々の感覚が変わりました。2000年代になって、女性によるme too運動(私も性加害を受けたことある運動)があり、2015~6年には、歴史的な放映、オプラ・ウィンフリーの番組で「僕もこの年齢のときに男性から性加害を受けました」という男性が顔出しで、ずらっと壇上に並ぶという番組がありました。
40年前は「父親からレイプされていた」ということは誰にも言えることではなかったし、40年前の一般市民裁判員の感覚も「死刑から逃れたい一心で演技してるんでは?児童虐待があったとしても銃殺は無期懲役一択」だったのに、今、同じ裁判したらどうなるんでしょうね。
こういう時代の変化を受けて、この兄弟のいる刑務所宛てに、子供のころ性虐待を受けたという男性たちからの手紙が集まるようになり、刑務所内でも性被害を受けた男性の相談にのったりしているそうです。兄弟は刑務所でオンライン大学を卒業したり、めっちゃうまい絵を描いたりして30年ほど過ごして迎えた昨年(2023年)、自分たちの無期懲役をどうにかしてもらう手紙を政府だかどこかに提出し、返事を待っているところです、で、ドキュメンタリーは終わりました。
裁判ものは英語の勉強に最適
…というふうに内容は重いです。かなり重い人には重いのでは…。
ただ、英語の勉強になるかならないかといえば、米国裁判ものは断然!勉強に!なる…!ドキュメンタリー好きなのに、環境破壊とか芸能ゴシップとかサイコパスや経済・政治ものはついていけなかったので、フィクションをがんばって見てたんですが、裁判ものは今後もいけそうな気がします。あと4年か5年たてば、きっと英語に不自由しない人になっている…はず…!