新聞が読めるようになるニュース解説#2「G7 サミット」
こんにちは。あひる編集長です。今回はG7とサミットについて解説します。
・G7=主要7カ国、サミット=主要国首脳会議
G7を日本語で言うと「主要7カ国」。世界に大きな影響力を持つとされている7つの国のことで、いずれも先進国であることから「先進7カ国」とも言われる。具体的には、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、そしてわれらが日本を指す。
この7か国の首脳(大統領や首相など国のトップ)が集まり、さまざまな国際問題について話し合う会議が「主要国首脳会議」、いわゆるサミットだ。サミットとは英語で「山の頂上」という意味で、首脳を山頂に例えてこう呼ばれるようになった。
サミットは年1回、各国持ち回りで開かれるが、昨年(開催地はアメリカ)は新型コロナウイルスの感染拡大のため中止された。今年の当番はイギリスで、6月にロンドンで開催の予定だ。
ちなみに、サミットの前に各国の調整や予備会議を行う人のことをシェルパと言うが、これはネパールに住む少数民族のシェルパ族に由来する。シェルパ族は観光客を相手に、ヒマラヤ山脈の登山ガイドや荷物運びに従事しており、サミットのサポートをする人たちを彼らになぞらえたという。
・首脳以外の会議もある
それでは、新聞記事を見てみよう。
G7「北の非核化」一致
先進7か国(G7)外相会議が3日夜(日本時間4日未明)、3日間の日程でロンドンで始まった。初日の協議では、北朝鮮の完全な非核化を目指すことで一致した。4日は中国への対応などが議題となり、G7各国が対中国で協調することを確認する見通しだ。<5月5日読売新聞1面>
今回は6月のサミットに先立ち、外務大臣が集まる会議が始まった、とのニュース。北朝鮮の非核化や人権問題に対し、各国が協力していくことを確認した。日本からは茂木敏充外相が出席し、日本人拉致問題の早期解決について訴え、各国の賛同を得たという。さらに、アメリカがライバル視している中国、ロシアについても、結束して対抗していく構えをアピールすることとなりそうだ。
・きっかけはオイルショックによる不況
ここからはサミットの歩みについて振り返ろう。そもそもサミットってどうして始まったのか?
サミットの第1回が開かれたのは1975年。当時は中東の政情不安定(第4次中東戦争)による原油価格の高騰(オイルショック)により、世界的に不況に見舞われていた。そこで、フランスのジスカールデスタン大統領の提案で、パリ近郊の小都市・ランブイエに集まって解決策を話し合おうよ、ということになった。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ(当時は西ドイツ)に加え、欧米以外から日本を呼ぼうということになり、さらに半ば無理やり押しかけてきたイタリアを加え、6か国、つまりG6の枠組みでスタートした。第2回でカナダが加わり、G7がそろった。
日本が初めて会場となったのは、第5回の東京サミット。その後、第12回、第19回と東京で開かれたが、第26回の九州・沖縄サミットで初めて東京以外が会場になった。近年は北海道の洞爺湖(34回)、三重県の伊勢志摩(42回)と、東京以外での開催が続いている。
上の建物は、九州・沖縄サミットの会場となった沖縄県名護市の万国津梁(しんりょう)館。ちなみに写真はあひるが新婚旅行の時に撮影したもの。まさかこんな形で役立つとは思わなかったぞ。
また、一時ロシアが枠組みに加わることとなり、G8となったが、2014年から事実上の追放状態となっている。隣国ウクライナへの軍事介入や、ウクライナ領だったクリミア半島への侵攻が原因で、ロシア以外の国(特にアメリカ)が「弱いものいじめする国を入れておくわけにはいかん!心を入れ替えるまで参加させん」となり、現在は元のG7で活動している。
・地位が低下していくG7
「世界の優等生」とも言えるG7だが、最近は影響力が低下している。
G7以外にも、21世紀に入り中国やインド、ブラジルなどの大国が台頭。さらに韓国など新興国と呼ばれていた地域も、先進国に負けないくらいの経済力をつけてきた。これらの国とG7との差はどんどん埋まっていき、G7の地位は相対的に地位は低下していったのだ。
確かに、あひるが子どもだったことはサミットという言葉をよく耳にしたし、テレビのニュースでも外国から記者や特派員が中継をしていたと記憶している。今は正直あまり耳にすることはないなあ、と感じる。
現在はむしろG7よりも、G20という枠組みのほうが多く使われている。参加国はG7と中国、インド、韓国などの新興国で、G7を追放されたロシアもいる。国ではないがEU(ヨーロッパ連合)もメンバーに連なっている。
中国、韓国、インドなどの新興国が力をつける中、国際社会で日本がどれだけ影響力を放つことができるのか。これからが試されるといえよう。