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【ノンセンス・プロンプ】黛冬優子コミュ感想追記──いつか本物になるまで
はじめに
この記事は、↑前記事の追記になります。
私の妄言を長々書いた記事をお読みいただきありがとうございます。
この記事は、妄言度合いがさらに上がっているのでご留意ください。
※この記事を読み始める前に
当記事は私個人の感想や考えを長々書いたものです。書かれてもいないことを読みすぎな内容なのでご留意ください。
重ねて、当記事は以下についてのコミュ内容などの盛大なネタバレを含みます。問題ない方のみ閲覧いただければと思います。
P-SSR【ノンセンス・プロンプ】黛冬優子
P-SSR【starring F】黛冬優子
黛冬優子WINGコミュ
黛冬優子GRADコミュ
P-SSR【三文ノワール】黛冬優子
イベントシナリオ「Run 4 ???」
イベントシナリオ「Straylight.run()」
P-SSR【オ♡フ♡レ♡コ】黛冬優子
P-SSR【multi-angle】黛冬優子
追記すること
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【ノンセンス・プロンプ】TRUE ENDのモノローグで語られる「嘘」とは、プロデューサーの言う「永遠みたいなものよりも、長い長い今」を指している。
そのため、冬優子は皆を騙し、そしてさらにプロデューサーは自身で気づかないまま冬優子を騙す。冬優子は「バカバカしい」嘘に騙されていると気づきながら、その嘘を信じ続ける。
今後のプロデューサーと冬優子は、互いに騙し合うという、大きな矛盾を孕んだ関係性になった。
と前回の記事で書きました。
これについて、現時点では特に訂正する点はないのですが、
あまりにも"濃い"関係性に脳がやられて「業が深ぇ~~たまんねぇ~~~~~」という感情で筆を走らせたので、
2人の新たな関係性を語る上で、書き加えた方がよかったかも、と思ったことを追記したいと思います。
そもそも、黛冬優子にとって「嘘」とは
「嘘」とは、事実ではないこと。人を騙すための言葉。偽り。正しくないこと。誤り。適切でないこと。望ましくないこと。
という、非常に悪い意味を持つ言葉ですが、黛冬優子にとって「嘘」とは決して悪い意味しか持たない言葉ではありません。
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P-SSR【starring F】で描かれますが、冬優子にとって『ふゆ』という「嘘」の仮面は、世渡りのために磨き上げてきた処世術で、無駄なトラブルを避け、気持ちよく過ごすために必要なこと。
冬優子にとって「嘘」とは生きていくための「手段」でした。
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原点であるWINGコミュにて、冬優子は本来偽りである『ふゆ』の仮面を貫き通す選択をしました。
「嘘」を是とし、本来の自分ではない姿で表舞台に立ち続ける。それは茨の道です。
アイドルとしての自分が大きくなればなるほど、本来の自分とのギャップも大きくなっていくでしょうし、「嘘」がバレれば積み上げてきたものが全て崩れ去る危険性も孕んでいます。
在り方としてはどうやっても歪で、常にどうしようもない矛盾を抱えています。
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冬優子は自身の矛盾について、非常に自覚的です。
ですが、生きるための「手段」であった「嘘」は「理想の自分」であり、冬優子にとっては、もう既に「本物」となっています。
だから冬優子は、常に痛みと幸せを両方感じながら、信念と覚悟を持って歩んでいます。
このように、あまりにも邪道な手段で王道を歩む黛冬優子とって「嘘」とは「理想」であり、貫き通すことで、いずれ「本物」になるものです。
ちょっと疲れた冬優子
そして黛冬優子にとってのアイドルの原点は、現実のアイドルではなく、幼少期に憧れたアイドルアニメ「魔女っ娘アイドル ミラクル♡ミラージュ」にあります。そのマスコットを愛用していることから、冬優子にとっては今でも大切な価値あるものであることがわかります。
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P-SR【ザ・冬優子イズム】でもあったように、初期の冬優子は「ミラ♡ミラ」が好きなことを誰にも言っていませんでした。それは冬優子にとっては「ミラ♡ミラ」が大切であっても、他の人にとってはそうではないかもしれないからです。
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冬優子は「自分が当たり前だと思っていることが、誰かにとってはそうじゃない」という現実を、過去でも現在でも経験しています。
アイドル『ふゆ』は、冬優子にとって努力して作り上げた「理想の自分」で大切な「嘘」ですが、
それが冬優子にとっての価値とは無関係に、いつか「消費され、忘れられてしまう」と言われているのが【三文ノワール】コミュの内容です。
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冬優子にとっての価値あるものが、他の人にとってはいずれそうではなくなる。
それは価値観の相違であったり、時間の経過であったり、そうした現実が存在します。
冬優子は自身の価値観とは別に、他者からの評価にも重きを置いています。これも冬優子が初期から抱える矛盾のひとつであり、冬優子が抱える未来への不安の源泉です。
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さて【三文ノワール】で提示された「永遠」とは、結局何なのかと言われると、未来永劫失われない他者からの評価ではないでしょうか。
絵画や映画は形として残り、未来でも評価を受けます。それに対し、アイドルは引退して活動をしなくなれば、今まで応援してくれていた人たちは去っていきます。
他者の評価にも重きを置く冬優子にとって、失われない評価とは羨望の対象でしょう。
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ですが、冬優子は評価だけを求めて、本来の「自分にとっての価値」を見失うことはありません。現実の中で、常に痛みと幸せを両方感じながら、歩んでいくしかないのです。
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【ノンセンス・プロンプ】で冬優子は、遊園地のパンダカーを「懐かしい」と評します。
その後の園長さんの話で気づいたのでしょうが、これこそが「誰かにとっての価値」が「他者にとってはそうではない」という、冬優子が抗わなければいけない現実そのもので、そして冬優子自身が、誰かにやられたくなかったことなのです。
そのタブーを、自ら犯してしまったことで、時間には抗えない、という現実を痛感したのだと思います。
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【三文ノワール】から、自身の在り方について考えるいくつかの経験をし、ロケを終えた冬優子は、自信が揺らいだ「ちょっと疲れた」状態だったのでしょう。
そこにプロデューサーが【ノンセンス・プロンプ】を差し挟んだのです。
プロデューサーの「嘘」は、偽りか
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プロデューサーの言う「永遠みたいなものよりも、長い長い今」は、本質的には【三文ノワール】で語った「大事な今が、ずっと続けばいいな」という思いと変わらないと思います。
ロマンチストのプロデューサーが「こうなればいいな」と思っている信じ続けたい「願い」ですが、叶うはずのない「願い」は「嘘」と同じです。
ただその「願い(嘘)」は、プロデューサーの本心であり偽りではないはずです。
プロデューサーのやるべきことは、今生きているアイドルを輝かせること。
だから、プロデューサーにとっては「永遠みたいなもの(未来の幽霊)」よりも、冬優子のプロデューサーである「長い長い今(を生きてること)」が大事なのです。
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監督の評価は、冬優子自身を評価してくれるものでしたが、
プロデューサーの主観では、冬優子自身と冬優子の「理想」という輝きは、未来永劫価値あるものです。
そしてプロデューサーの「嘘」は、その輝きがずっと続けばいいな、という「願い」になります。
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とは言っても、やはり「永遠より長い今」「今がずっと続くこと」など、現実には存在しません。
叶うはずのない「願い」は「嘘」と同じです。
故に、プロデューサーの「嘘」は、冬優子が「本物」にした「嘘」よりも、遥かに現実離れした「理想」だと言えます。
現実主義者の冬優子からすれば「バカバカしい」でしょう。
ですが冬優子は、他者からの評価なくして、アイドルとしては生きていけません。
プロデューサーは冬優子自身と冬優子の「理想」を評価する者であり、
同時にプロデューサーの「嘘」の通りに「今がずっと続く」ならば、冬優子の価値あるものは失われない。
そうすれば冬優子はこれからも現実に抗っていけるでしょう。
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だから、ロマンチストのプロデューサーが吐いた「バカバカしくて、だからこそ大切な酸素(嘘)」が必要で、「永遠みたいなものよりも、長い長い今」という「嘘」を信じたいのです。
果たして、プロデューサーの「嘘」は、偽りだと言えるでしょうか。
冬優子が作り上げた「理想」は、既に「嘘」から「本物」になっています。
ならば、永遠なんかより、もっと、もっともっと長く騙し続ければ、
プロデューサーの「嘘」も、いつか「本物」になるはずではないでしょうか。
騙し合う関係とは
プロデューサーと冬優子の関係は、互いに騙し合う関係に変質しました。
これは、今まで皆を騙くらかす冬優子の共犯者であったプロデューサーが、これからは冬優子を騙し続ける主犯者になった、ということです。
決して自覚的ではないにしても、プロデューサーが明確に騙す側のポジションに立つことで、2人はそれぞれ同種の業を背負う立場になり、その関係性は以前よりもさらに対等なものになったと言えるでしょう。
プロデューサーは自身の「願い」を「嘘」と気づかないまま信じています。
冬優子もプロデューサーの「嘘」を「大切な理想」として信じ(騙され)続けます。
互いに騙し合うという、大きな矛盾を孕んだ関係性は、裏を返せば、新たな信頼関係の確立なのです。
プロデューサーの「嘘」という「不斉原子」は、「いつか終わりが来る現実の今」と「永遠よりも長い長い理想の今」の非対称性を生じさせました。
そして「嘘」から生じた2人の新たな関係性にも、この非対称性は当てはまります。
といっても、2人の非対称性は、元を辿ればアイドルとプロデューサーという関係だからです。二人三脚する上で、2人揃って現実主義者になる必要も、2人揃ってロマンチストになる必要もない。これからもお互いに信じ(騙し)合いそれぞれの役割をこなせばいいのです。
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【三文ノワール】では、アイドルとプロデューサーという関係でしかない、という事実が絶望的に感じられましたが、今回確立されたあまりにも"濃い"信頼関係は、アイドルとプロデューサーという、一緒に夢に挑み続ける関係性だから築けたものだと思います。
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「コインの表と裏」とはよく言ったものです。
いつか本物になるまで
今がずっと続く。
そうすれば冬優子にとっての価値あるものは失われることはなく、現実に抗っていけます。
ですが、それは実現可能なのかと聞かれると、まぁ額面通りにはいかないでしょう。
プロデューサーの「嘘」は、遥かに現実離れした「理想」です。
ただ、冬優子がトップアイドルになることで、冬優子にとっての価値あるものが、他の誰かにとっても同価値になり、アイドル『ふゆ』という輝く今は、未来にずっと続いていく。
プロデューサーの「嘘」が、そうした形で「本物」になる可能性は十分あると思います。
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プロデューサーは、自身のその「嘘」にまだ気づいていません。
果たして「その嘘が尽きる」のは、いつなのか。
現実的に考れば、いつかその「嘘」に気づいて騙し続けられなくなってしまうかもしれません。
ですが、いつか「嘘」が「本物」になってしまえば、プロデューサーが気づくことなく、「嘘」は尽きてしまうでしょう。
TRUE END「不斉原子」のモノローグの文面と音声の差異は、現実と理想が重なり合っている表現なのかもしれません。
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シュレディンガーの猫において、箱の中の猫は、蓋を開けて観測するまで生きた状態と死んだ状態が重なり合っています。
冬優子の未来には、トップアイドルになる輝かしい未来と、消費され尽くしアイドルとして死ぬ未来、2つの未来が可能性として残されています。
『ふゆ』という猫が生きているか死んでいるかは、箱を開けて観測するまでわかりません。
遥かに現実離れした「理想」が叶う可能性はあるのです。
それに冬優子は既に「理想」へ挑むための原動力を得ています。
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冬優子には、プロデューサーという、冬優子の一番最初のファンが、最期の時まで一緒にいてくれます。
「たったひとりでも、ふゆを応援してくれる人がいる限り──」という想いを胸に、冬優子がアイドルとして在り続ける限り。
なので、これからも冬優子とプロデューサーが作り上げる輝かしい未来を信じましょう。
「永遠みたいなものよりも、長い長い今」という「嘘」が
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終わり