【ノンセンス・プロンプ】黛冬優子コミュ感想──バカバカしくて大切な嘘
はじめに
よろしければ、この記事を読む前にこちらの感想記事を読んでいただくことを推奨します。
私は、こちらの感想記事を以下の文章で締めくくりました。
思ってたより早かったなぁ!!!!!
2024年02月08日enza対応ゲームアイドルマスターシャイニーカラーズにて、P-SSRアイドル【ノンセンス・プロンプ】黛冬優子が実装されました。
こちらまごうことなき【三文ノワール】のアンサーコミュです!!!
【三文ノワール】は黛冬優子を今後プロデュースする上で、非常に重要なコミュでしたが、アンサーコミュを恒常でかつ確定ガシャありで実装はえらすぎ!
サンキュー高山!一生憑いていくぜェッ!!(283プロに取り憑く悪霊)
【三文ノワール】のコミュを読んでないと、なんだかわからない部分もあるかも知れないので未読の方は周年の限定セレチケでゲットしてください!!
端的な感想ですが、【三文ノワール】のアンサーとしては必要十分な内容だったかと思います!
そして同時に、うわあ、なんだか凄いことになっちゃったぞって感じです。
詳しい感想は以下で長々と書かせていただきます。
※この記事を読み始める前に
当記事は私個人の感想や考えを長々書いたものです。書かれてもいないことを読みすぎな内容なのでご留意ください。
重ねて、当記事は以下についてのコミュ内容などの盛大なネタバレを含みます。問題ない方のみ閲覧いただければと思います。
イベントシナリオ「Wintermute,dawn」
P-SSR【三文ノワール】黛冬優子
イベントシナリオ「Straylight.run()」
P-SSR【starring F】黛冬優子
P-SSR【Be red】ルビー
黛冬優子GRADコミュ
P-SSR【オ♡フ♡レ♡コ】黛冬優子
P-SR【ザ・冬優子イズム】黛冬優子
黛冬優子Landing Pointコミュ
黛冬優子【'23Xmas】スペシャルコミュ
黛冬優子STEPコミュ
S-SSR【二律背反sweet】黛冬優子
コミュタイトル
P-SSR【ノンセンス・プロンプ】黛冬優子のコミュは以下の5話で構成されています。
壊れゆく鏡像と冬優子の答え
「我我何時」が時計の針音から始まるように、今回のコミュは「時間」をモチーフとしたアイテムがいくつか登場します。
「我我何時」では、冬優子の狂ったスマホの時計。
「異化憧憬」ではサルバドール・ダリの「記憶の固執」と、冬優子の壊れた時計。
「鏡像去来」で、冬優子は壊れた時計を紛失したこと気づきます。
そして、今回仕事の舞台となるレトロな遊園地。
冬優子はこの遊園地のリポートの仕事を依頼されます。
これらのモチーフには「時間の経過」「時間のズレ」「経年劣化」など時間に関する要素が見られます。
冬優子のスマホや時計は、時間のズレや故障により正確な時間を刻まなくなり、それらが原因で冬優子は遅刻や美術館への長時間の滞在をしてしまいます。
また『記憶の固執』は、一説にはアルベルト・アインシュタインが構築した一般的相対性理論に影響を受けていると言われており、一般相対性理論では重力場を持つ地球などの巨大な物体の近くにいるほど時間の進み方は遅くなるといいます。
重力といえば直近のストレイライトのイベントシナリオ「Wintermute,dawn」でもキーワードとして登場しています。
冬優子はリフレッシュのために美術館を訪れており、これは仕事ではなくプライベートな時間であるため、他の何かに囚われることのない無重力な状態だったと言えます。
また特殊相対性理論では静止している状態では、動いている状態と比べて時間が速く進むといいます。冬優子は『記憶の固執』をその場に静止した状態で鑑賞しており、これらは比喩的なものではあれど、それぞれの相対性理論における「時間経過が速く進む状況」と矛盾しません。冬優子は自身の体感よりも長い時間、美術館に滞在してしまいます。『記憶の固執』はそのモチーフとしてチョイスされていると思われます。
そして冬優子がリポートを担当するレトロな遊園地の園長は、以下のような話をします。
特殊相対性理論における「静止している状態では、動いている状態と比べて時間が速く進む」現象は俗に「ウラシマ効果」と呼ばれています。開業して久しくバブルの頃の最盛期と比べて来場者数も激減しているこのレトロな遊園地は、動き続けた結果、経過した時間に置いていかれた、消費された存在です。
冬優子はリポートのための事前見学で、遊園地内のパンダカーに試乗します。(↑の画像検索で出てくるようなやつだと思われます)パンダカーはハンドルの効きが悪くなっており、これは冬優子の時計と同様に劣化しており、また冬優子にとっては幼い頃に乗ったことのある「懐かしいもの」経過した時間に置いていかれた存在として象徴的なアイテムです。
そんな自身の状況を知らず、去る者へ再度来訪を期待するパンダカーの音声は、物悲しく聞こえます。
序盤のコミュではこうした時間が経つにつれて消費された存在、それらを象徴するアイテムが数多く登場します。
時間の経過と消費された存在といえば、当然ながら【三文ノワール】での映画監督の時間への抵抗としての映画。そして対比される消費型コンテンツとしてのアイドルの話が嫌でも想起されます。
【三文ノワール】コミュにて、監督は冬優子のような才能ある人間が、流行として消費されてそして忘れ去られていく消費型コンテンツに対する欺瞞と、そこで闘いながら消費される才ある者たちへ口惜しい想いがあり、そうした経過する時間への抵抗として映画を撮っていると語ります。
アイドルの寿命は短いといった定説があります。もちろん、その定説を覆すほど長年に渡って活躍されているアイドルの方も実在してはいますが、それはほんの一握りの存在で、それ以外の多くのアイドルは流行り、消費され、廃れ、そして時間の経過と共に忘れ去られて行く。
アイドルの道を進めばいずれ訪れる死が待っている。【三文ノワール】では、そうしたアイドルの一面的な事実に伴う冬優子の未来への不安、そしてそうならないための冬優子のアイドル以外の可能性が示されていました。
ただアイドル以外の道を選ぶならば、それは必然プロデューサーとの別れでもあるとも暗に示されていました。
読み手としては、どうすりゃいいんだ!!!!!(無自覚アプリオリ)
という感じで終わったのが【三文ノワール】のコミュでした。
ズレたスマホの時計、壊れた時計、ダリの『記憶の固執』、レトロな遊園地、パンダカー、これらはいずれ消費され忘れ去られるアイドルである冬優子の鏡像です。既に狂っているもの、壊れているもの、劣化しているもの、流れ行く時間とのズレの象徴、それらが冬優子の前に鏡映しのように提示されています。
とはいえ、冬優子がそれらを前にして諦めているかと言えば、別にそんなことはありません。
冬優子はリポートの仕事に対して、全力を尽くすつもりです。
未来への不安はあれども、今後どうなるかは自分次第。それは今回リポートを担当する遊園地もそうですし、冬優子自身の行く末も含まれています。
この話は、本当に今さらなのです。何故なら【三文ノワール】で冬優子は、既に未来への不安に対しての答えを示しています。
【三文ノワール】の監督の話については、冬優子も自身の経験も踏まえて頷ける点は多かったはずです。それでも冬優子は、冬優子の理想である、かわいくて、かっこよくて、キラキラしてて……そんな特別な女の子を体現しながら、「トップアイドル」を目指し、あくまでアイドルの世界で抵抗していくと決めています。
黛冬優子は現実主義者で、その上視野が広く、先々のことも考慮した客観的で中長期的な視点を常に持っている人間です。なので自身の所属している業界、ひいてはシビアな世界の現実というものを自身の経験からもよく理解しています。そういった一面は色々なコミュで既に描かれています。
ただそんな世界を、冬優子は自身の責任において、自らの努力と技術や工夫を以て、自身の身に起こる理不尽や不幸を乗り切っていこうとしています。これはアイドルになる以前から冬優子が持っている信条と、実際に乗り越えてきた過去に裏打ちされたものです。その信条は「我我何時」での遅刻の件についての話からもうかがえます。
「駅で腕時計を落とした中学生の手助けをしていた」「時間の確認はしていたが、スマホの時計がズレていたことで、自身の認識と実際の時間に差異があった」遅刻の原因は複数の事象が重なった結果であり、再犯性は低く、弁明しようと思えばいくらでもできますし、情状酌量の余地も十分にあるのですが、冬優子はそれらを決して口には出さず、ただ自身の落ち度であると、潔く謝罪します。(武士か?)
決して他責的思考に陥ることなく、自身の行動の結果は自身の責任として受け入れる。
冬優子は、アイドルになる以前から、冬優子自身の責任において自らの歩む道を決めています。その道に不安や痛みはあれど、違えることはないのです。
【三文ノワール】での問いに対して、冬優子の中で答えは既に出ています。
なので【三文ノワール】の問題の焦点は、プロデューサーにあります。
プロデューサーの【ノンセンス・プロンプ】と原点回帰
【三文ノワール】の感想記事にも書きましたが、
私はコミュ「向上の出口」での以上のやり取りで、プロデューサーと冬優子の間に明確な断絶が生まれてしまったように感じました。
冬優子の問いに対し、プロデューサーは「カメラの中」(何年経ってもずっと映画の中の「素敵な幽霊」として生き延びられるかもしれない)にまでは一緒に行けないと言い、冬優子の提案を断ります。
何故なら、冬優子とプロデューサーの関係は「アイドルとプロデューサー」でしかないからです。
であれば、冬優子がアイドルを辞める時、それは同時にプロデューサーとの別れの時になるということではないか。
そのように記しました。
ただこれはプロデューサーが、冬優子の問いの真意を汲み取れていないこともあり、意図を読んだ上で明確に拒絶した、というわけではありませんし、
そもそも「冬優子が将来アイドルから女優になった(あるいはアイドルを引退した)時、プロデューサーはどうする?」というクエスチョン自体が仮定の未来に基づいた話でした。
冬優子の未来がどのような結果になるか、それはわかりません。個人的には決して希望がない、などということは言えないと思いますが、【三文ノワール】ではその不安が強調して描かれていました。実際プロデューサーがどうこうしようと、その不安は完全には拭えません。
ただ、二人三脚で共に歩んでいく担当アイドルの冬優子が抱く不安に対して、プロデューサーは明確な答えを返せていない。
【三文ノワール】の問題の焦点は、ここにあると思います。
コミュ「周縁回帰」では、既にロケの収録は終了し、撤収までの時間を利用して、冬優子はプロデューサーの提案で園内の観覧車に一緒に乗車します。
仕事の手応えについて冬優子は「やれることは全部やった」と言います。冬優子は今回の仕事にも全力を尽くしました。ただ、言い換えれば「冬優子にできることは、もう他に何もない」という状況で、良い結果が伴うかどうか、後は蓋を開けてみないことにはわかりません。当然、不安はあります。
そうした話をしている最中に、2人の乗る観覧車は停止してしまいます。
直接的に自分も同じだと明言はしていませんが、冬優子はレトロな遊園地の古い設備を暗に自身の立場と同列化し「いつか来る終わり」について、悲観的な私見を述べます。そしてこれは【三文ノワール】の「発火1/2」コミュでの問いと同じ内容です。
これから先の未来で、流行り、消費され、廃れたコンテンツの実例。そういった未来の自分の鏡像である場所にいる。今回のコミュで登場したダリの『記憶の固執』は、時空のひずみを象徴しており、時間の中のさまざまな一時停止した瞬間(未来、現在、過去)を同時に描いているのかもしれないといいます。とすると【三文ノワール】で監督が語った、過去生きた人間たちをフィルムの中で生き延びさせる映画と同様に、絵画は未来に形として残っていくものだと言えます。そうしたモチーフとしてチョイスされたのが『記憶の固執』だったのでしょう。
こうした悲観的な未来は、消費型コンテンツの枠組みの中で闘いながら消費される才ある者たちの大多数に当てはまるものです。そうした未来が、この先自身に当てはまるものである可能性を、視野の広い冬優子はどうしても拭うことができない。
しかし、ここでようやくプロデューサーからの反論が入ります。
世の中の多くの人間は、流行りに飛びつき、また次の流行に移っていく。コンテンツを消費し、廃れたら忘れ、去っていく。そうして時々、思い出した時にだけ「懐かしい」「楽しかったな」と既に「終わったもの」として訪れる。ですがそれは当たり前のことです。諸行無常。盛者必衰。流行り廃りは世の常。ただ、それでもよっぽど思い入れのある人間が、少なくともひとりだけは残るかもしれない。
あー、はいはい!わかりました!
当然、お前は最期まで一緒にいるよなぁ、プロデューサー!!!!
>最初の客には、最期の客である権利と義務がある
プロデューサーは、アイドルの一番最初のファンだもんなぁ!!!
責任取らなきゃなぁ!!
>辞める気はさらさらない
>観覧車が回ることをやめようとしないかぎり
プロデューサーそれ言ってたねぇ!!
【三文ノワール】で!!既に!!!
「永遠」よりも「長い長い今」
これがプロデューサーの改めての回答になります。
「永遠」は【三文ノワール】の映画の中の台詞でもありました。
そして「今」についても【三文ノワール】で既に言及しています。
なるほど、完全に理解しました!!
【三文ノワール】の最初のコミュで、既に答えは出ていたんですね!!!
では、ここでP-SSR【オ♡フ♡レ♡コ】黛冬優子のTRUE ENDを改めて見てみましょう。
冬優子は、たったひとりでも応援してくれる人がいる限り「応援しててよかった」と思ってもらえるアイドルで在る。
そして、プロデューサーは、冬優子の一番最初のファンだから、最期のファンである権利と義務がある。
冬優子がその気持ちを胸に秘めて、アイドルとして在り続ける限り、
永遠よりも長い今を、プロデューサーは冬優子と共に在る。
永久機関が完成しちまったなアア~!!
これでノーベル賞はプロデューサーと冬優子んモンだぜ~!!
プロデューサーがアイドルの最初のファンである、という文句はアイドルマスターではお決まりですが、そのことについてはP-SR【ザ・冬優子】でも触れられています。
冬優子の一番最初のファンであるプロデューサーは、冬優子がトップアイドルになるまでサポートする権利と義務があるのです。
まぁ、とは言ってもね。
現実的に考えて、それで「いつか来る終わり」が回避できるわけではないです。「永遠より長い今」というのはプロデューサーの主観であって、プロデューサーの言っていることは現実的な答えになっていない誤魔化しです。
結局、不安が完全に拭えるわけではないんです。
でもこれはアイドルマスターシャイニーカラーズ自体にも言えることですし、なんならこの世のありとあらゆることがそうなので。
だから冬優子がアイドルを辞めた後に訪れるプロデューサーとの別れなどという、仮定の未来に基づいた話なんてノンセンス!!(意味ねえ!!)
冬優子がアイドルで在る限り、プロデューサーは共に在る。
やたらシビアな問いに対するアンサーとしては、凄まじく剛腕ですね。
でも黛冬優子役の幸村恵理さんも5thライブDAY2のMCで仰っていました。
「プロデューサーさんが、これからも心の中で冬優子をずっと愛してくださる限り、アイドルふゆは止まりません」と。
案の定、冬優子にもツッコまれてます。
とはいえ、自分がアイドルで在り続ける限り、プロデューサーはずっと共にいてくれる。【三文ノワール】で言っていたことと同じなので、当然明確な答えではないですが、少なくともそこまでは関係性が確約されているという安心感はあります。
観覧車と整備士、アイドルとプロデューサー、「コインの表と裏」
【三文ノワール】「発火1/2」からの引用が多すぎる。
よく見たらテストの問題用紙に解答まで書いてあったような気分になります。
ただプロデューサーの答えの裏付けは、P-SSR【オ♡フ♡レ♡コ】やP-SR【ザ・冬優子イズム】というアイドル黛冬優子の原点のコミュにありました。
そのため【三文ノワール】での内容より説得力があります。
だから「発火1/2」での冬優子の衣装は【オ♡フ♡レ♡コ】だったんすねぇ……気づかなかった……。
流石にこの構成は美しすぎる。
プロデューサーの答えが、冬優子の問いに対する現実的な答えにはなっていないことは事実ですが、普段から非常に心配性な彼が、案外漠然とした将来の不安に対しては楽観的に構えているように見えたのは、彼としては「冬優子がアイドルとして在る限り、プロデューサーとして在る」と、自身のやるべきことが完全に定まっていて、何より冬優子への信頼が厚いが故だったということでしょう。
思い返せばLPコミュにおいて、プロデューサーもまた冬優子と同様に誓いを立てたのでした。今さら彼にも不安や痛みはあれど、進む道を違えることはないでしょう。
今までと変わらず冬優子を最期までサポートし続ける。
改めて、プロデューサーから回答が出ました。
これでいいかどうか、あとは冬優子次第でしょう。
それではこのコミュで挿入されるガシャ演出をご覧ください。
このプロデューサーを見つめる冬優子の表情から、
少なくとも、冬優子の不安は和らいだと思います。
未来のことはわかりません。
でもシビアな現実に対して、そこまで悲観的になる必要もありません。
寿命の短いアイドルとはいえ、別に急ぎすぎなくていいし、絶望もしなくていいのです。
だからプロデューサーの「冬優子がアイドルを続けるかぎり、ずっと一緒にいる(すごい意訳)」などという【ノンセンス・プロンプ】で丁度良いのではないでしょうか。
と思っていたんですよね、ここまでは。
ところがTRUE ENDの内容について考えてみたら、
事はそう単純ではないのではないか、ということに思い至りました。
嘘という原子
今回の冬優子のリポートがきっかけで、件の遊園地には来場者が増えているようです。冬優子の仕事は良い結果に繋がりました。プロデューサーの言う通り、冬優子の頑張りが報われて嬉しいです。
とはいえ、4コマでの冬優子が言う通り、これは一時的なこと。次の手を打たないと、そのうちお客さんは離れていくことでしょう。遊園地の未来がどうなるかは、まだまだこれから次第です。
そして冬優子が紛失した時計は、プロデューサーが忘れ物として保管していました。壊れたと思っていたのも、電池を交換すると直ったそうです。故障したらそれでおしまい、というわけではなく、キチンとメンテナンスをすることで、まだまだ現役でいられます。
それは冬優子が愛用する「魔女っ娘アイドル ミラクル♡ミラージュ」のマスコットのように。
時間の経過には抗いようがなく、どうあっても悲しい未来しかない。そのように悲観する必要は決してなく、まだまだ希望があることがこのTRUE ENDでは示されました。
冬優子はプロデューサーの書類仕事を切り上げさせ、プロデューサーが提案した打ち上げへ行くよう、自らハンドルを握ります。
昨年のクリスマスコミュでもそういった場面が見られました。
冬優子からのアテンドである映画を見終わり、どうだったか結果を見届けた後、冬優子は「あんたの番」とプロデューサーへハンドルを渡します。このコミュのようにプロデューサーと冬優子は相互にハンドルを握り、止まることのない時間の中で、二人三脚でこれからも進んで行きます。
それはまるで、コインの表と裏みたいに。
と、話はキレイにまとまったと思いきや、
このTRUE ENDには、STEPコミュと同様に合間に冬優子のモノローグが挟まります。
これまた文面と音声の内容が一部異なるという、シャニマスお得意の演出になっておりますので、一旦内容をまとめてみます。
()が音声の内容です。
ここからは推測となります。
完全な妄言の可能性があるので、参考程度に見ていただければと思います。
まず結論から述べると、このモノローグで語られる「嘘」とは、黛冬優子が被る『ふゆ』という仮面を指すのではなく、プロデューサーの言う「永遠みたいなものよりも、長い長い今」を指していると考えます。
冬優子がこの先、アイドルとして生きていくためには「バカバカしくて、だからこそ大切な酸素(嘘)」が必要なのだと言うことです。
冬優子がついた嘘ではないので「────してみせて」「ちゃんと騙されてあげるから」と、冬優子が騙される側の視点で語っています。
そして「その嘘が尽きるまで」「箱はまだ開けない」「まだ開かない。(その嘘が尽きて)勝手に開くまでは」
「箱」とは、途中で猫の鳴き声が挟まるところから、恐らくシュレディンガーの猫を指すと思われます。
箱の中の猫は、蓋を開けて観測するまで生きた状態と死んだ状態が重なり合っています。つまり、観測するまで物事の状態は確定しない、ということです。
冬優子がこのままアイドルの道を歩み続けるならば、その未来は、トップアイドルになる輝かしい未来と、消費され尽くしアイドルとして死ぬ未来、2つの未来が可能性として残されており、その状態は今は確定していません。
「夢に近づくと、あんまり安全なものじゃないね」は、本気で夢に挑み続ける冬優子の実感のこもった言葉だと思います。
そして冬優子は「騙くらかして(騙し続けて)ずっと」と願います。
これは「永遠みたいなものよりも、長い長い今」という「バカバカしくて、だからこそ大切な嘘」を吐いたプロデューサーへの願いです。
「幽霊なんていらないから」
これは【三文ノワール】での映画監督の語る「未来の幽霊」の否定です。否定といっても、監督の思想を否定するものではなく、少なくとも冬優子には必要ないということ。
「もっともっと、長く。永遠なんかより、もっと」
冬優子はそれよりもプロデューサーの言う「永遠みたいなものよりも、長い長い今」を肯定し、求めるのです。
「あんた自身(あなた自身)」「まだ気づかない(気づくことのない)その嘘で」
プロデューサーは冬優子に「永遠みたいなものよりも、長い長い今」という嘘を吐きました。そして恐らくプロデューサーは、その嘘に自身で気づいていません。そしてこれから気づくこともないでしょう。
何故ならこれはプロデューサー自身が信じ続けたい願いだからです。プロデューサーが嘘であると気づいたら「長い長い今」という願いは終わります。
現実主義者である冬優子にはそれが嘘だと分かります。でも冬優子はその願いを肯定し、求めます。何故なら冬優子自身も皆を騙くらかす詐欺師であり、『ふゆ』という「嘘」の仮面を被る自身を肯定しているからです。
冬優子も「永遠みたいなものよりも、長い長い今」という願いを信じたいのです。
冬優子は以前よりも冬優子自身を否定せずにいられるようになっています。STEPコミュでの「案外、悪くないわよ。今のあんた」などが分かりやすい例ですが、これまでの積み重ねが冬優子自身の肯定という形で活きてきて、強い説得力を持ちます。
そう考えると、ガシャの台詞演出も、ホームボイスの内容も腑に落ちます。
プロデューサーは、そのまま「長い長い今」という願いを信じて、前を向いていればいい。
これはプロデューサーの「バカバカしい嘘」に「騙されてくれた」冬優子の台詞なのだと。
コミュタイトルの「不斉原子」とは、分子のキラリティー(結晶や分子構造などにおいて、鏡に映した像がもとの構造と重ならない「ねじれた」性質)を生じさせる元となる原子のこと。
要するに、実像と鏡に映した鏡像が、重ねても同じものにならないこと。
それはつまり、「アイドルである今」は騙され続けている限りは「永遠みたいなものよりも、長い長い今」となる。しかし、実際は「永遠よりも長い今」など存在しない。
現実の「今」と、願いという鏡に映った「長い長い今」は重ねても同じものにはならない。
それは「バカバカしくて、だからこそ大切な嘘(ノンセンス・プロンプ)」という原子から生じたものだから。
これは大変なことやと思うよ……。
終わりに
最後のモノローグの内容については、あくまで推測ですので、参考程度に見てください。
今までプロデューサーは、冬優子という詐欺師の共犯者として、冬優子をサポートしていましたが、その関係が危ぶまれたのが【三文ノワール】でした。そして【ノンセンス・プロンプ】からはプロデューサーが冬優子を騙し、冬優子は騙され続けるという関係性に変質しました。
冬優子は皆を騙し、そしてプロデューサーはさらに自身で気づかないまま冬優子を騙すのです。そして冬優子は「バカバカしい」嘘に騙されていると気づきながら、その嘘を信じ続けます。
言うなれば、これからの2人は騙し合う関係になりました。
今まで以上に大きな矛盾を孕んだ関係性です。
うわあ、なんだか凄いことになっちゃったぞ
とはいえ、プロデューサーも冬優子もこれからもやることは変わらないと思います。2人の間にえらいねじれた約束事が増えただけで。
業としか言えんだろこんなん。
冬優子がアイドルでいる間ゎ……冬優子とプロデューサーゎ……ズッ友だょ……!!ぐらいの内容だと思って脳死しとけばよかった……!
とはいえ、本人たちは「スカッとサワヤカ」の笑いが出てしょうがねーぜッ!って感じなので、私が勝手にひとりで「深くない?業……」と思って、うわあ……うわあ……言ってるだけかもしれません。
まぁ、でももうね、こうなったらね、私も「今」が長く長く続くことと、そして未来で開いた箱の中で猫が生きていることを願うのみです。
冬優子は絶対トップアイドルになるし!
へーきへーき
腹をくくります。
わりとどうでもいい話
誰も『ふゆちゃん』って呼ばねぇな?
カレーメシくんしか信じられない。
終わり
追記の妄言です。
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