黛冬優子STEPコミュ感想──憧れとはちょっと違う今
はじめに
生来のオタク気質で担当アイドルのシナリオの深読みばかりしている。マイコレ実装の時分わけのわからぬ哲学書を斜め読みして一週間以上かけて怪文書を書いた事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。コミュを読んだものの内容がよくわからなかったのでSNS(X(旧Twitter))で感想を漁ったが、皆が皆一様に、わからん。わからん。と呟いていて「もう自分で考えるしかねぇかぁ」となったからである。STEPが実装された時、コミュ一覧に〈我-汝〉というタイトルがあり「マイコレのアンサーコミュが来た!!???」と、コミュタイトルだけで悲鳴を上げ、副業はテキトーに放ったらかして早速拝読すると、これまた良いコミュだったので限界になったから、また怪文書量産(アウトプット)しなきゃなぁと思った。
ということで今回もシャニマスコミュの感想文です。
2023年10月19日にenza対応ゲームアイドルマスターシャイニーカラーズにて、黛冬優子「S.T.E.P.」プロデュースシナリオが実装されました。
STEPのプロデュースシナリオは各アイドルの過去編と銘打たれたシナリオで、アイドルとプロデューサーが出会う以前、出会いの場面、出会った直後などのストーリーがアイドルの視点から描かれます。そういった特徴から、WINGプロデュースシナリオの補完的役割もあるシナリオです。
と、先日書き散らかしたWINGコミュを見返した感想記事でも書きました。
冬優子の過去を描いたシナリオとしては既にP-SSR【starring F】などがあり、どういったことを描くのか長いこと気になっていましたが、WINGコミュは見返しておいて良かった。冬優子に限らずですが、やはり実装される直前にWINGの記憶を新しくしておくと、STEPの内容がより味わい深くなるのでオススメです。
※この記事を読み始める前に
当記事は私個人の感想や考えを長々書いたものです。書かれてもいないことを読みすぎな内容なのでご留意ください。
重ねて、当記事は以下についてのコミュ内容などの盛大なネタバレを含みます。問題ない方のみ閲覧いただければと思います。
黛冬優子S.T.E.P. コミュ
黛冬優子W.I.N.G. コミュ
ホーム会話
イベントシナリオ「WorldEnd:BreakDown」
S-SSR【なるんじゃん?】和泉愛依
黛冬優子Landing Pointコミュ
P-SSR【名モナキ夜ノ標ニ】黛冬優子
黛冬優子G.R.A.D.コミュ
コミュの内容について
黛冬優子「S.T.E.P.」プロデュースシナリオは↑の6話で構成されています。
簡単に内容を紹介すると、
「動くかげ」「不快想定線」がプロデューサーと出会う前
「FI」がプロデューサーとの出会い
「模範照度」と「自我包囲網」がプロデューサーと出会った後
「<我-汝>」が現在
と、他アイドルのSTEPと構成としては似た感じになっています。
「FI」「模範照度」「自我包囲網」については、WINGコミュとも関連した内容になっているので、見返しておくのがオススメです。
アイドルになる前
動くかげ
シナリオは冬優子の自室からスタートします。
出かける準備をしている冬優子は、マスコットのほつれに気がつきます。
場面は変わって、冬優子が通っている学校へ
学校!!!!!!????
とうとう冬優子の学生生活が描写されて、期待はしてたけどビックリしました。通ってる学校は、代◯ニとか呪◯高専とかではなさそうです。溶接とかフォークリフトの運転とかもしてないよ。
不快想定線
可愛くて、かっこよくて、キラキラしてて、特別な女の子
これは冬優子の実装初期から登場しているワードです。
今回のSTEPコミュで、初期の黛冬優子が何故アイドルというもの対して漠然とした期待だけを持ち、かつ異様に具体性に欠けていたのかが、おおよそ理解できました。黛冬優子にとってのアイドルは現実のアイドルではなく、子供の頃に見て、今も大好きなアイドルアニメ「魔女っ娘アイドル ミラクル♡ミラージュ」
黛冬優子は、幼少期に抱いた憧れとそのイメージのみを抱えたまま大きくなったのでしょう。
↑の記事でも書きましたが、普段は非常にロジカルなのに、この憧れについて話す時に黛冬優子は「キラキラ」という曖昧な言葉を素で使います。
やはり幼少期から根ざしている感情故、本人の中で明確には言語化していないものなのでしょう。
古くなりほつれ始めたマスコット
無意識的に「ミラ♡ミラ」に寄せてしまったデザイン
そして同級生から出たアイドルへの示唆
いくつかの偶発的要素と、幼少期に抱いた憧れが、黛冬優子をアイドルの道へ誘い始めます。
WINGコミュの時系列へ
ここから話は、WINGコミュの時系列へと入っていきます。
FI
「FI」はWINGコミュでは「ハートフル・フェアリーテイル」と同場面。
冬優子とプロデューサーの出会いの場面です。
ここでコミュタイトルの意味について少し考えを書きます。
「FI」というコミュタイトルの意味ですが、恐らくダブルミーニングになっていると思われます。
ひとつは、シンプルに冬優子(F)とアイドル(I)の頭文字の組み合わせ。
もうひとつは、プログラムにおける条件分岐(条件判定を行い、その結果によって異なる処理を実行する記述形式)
かなと思っています。
if [条件式]; then
分岐処理
fi
シェルスクリプトという言語では、条件分岐は上記のような形式で、対象の分岐処理をifとfiで囲うように記述します。ifからスタートしfiまでの記述が、条件分岐のコードブロック(プログラミングにおける処理のまとまり)となります。
条件式:「今、この瞬間に──────」
TRUE判定!!!!
分岐処理は条件式の条件が成立した場合のみ処理が実行されます。
幼少期の憧れと、いくつかの偶然から生まれたアイドルへの興味。
もしかしたら、この場所の、この瞬間でなければ、冬優子はアイドルへの道を歩み始めなかったかもしれません。
こんなん運命の出会いやんけーーーーーーー!!!!!!
この出会いの後のやりとりは、WINGコミュを参照ください。
模範照度
時系列としてはWINGコミュ「ワンダフルドリーミィデイズ」より少し前ぐらいでしょうか。
場面は冬優子の自宅から始まります。
自我包囲網
時系列はWINGコミュ「台本通りの茶番劇」の直前~同場面になります。
この頃の冬優子は、アイドルに対する認識の甘さ、それ故にアイドルとして目指す理想も固まっていない、誰にも頼らず一人でやり切ろうとする頑なさ、今見れば本当に未熟でした。それでも徹底して『ふゆ』だけを見せるようと努める意識の高さ、上昇志向、この頃から既に冬優子は、武器を持ち合わせている強い子でした。
「いつもの冬優子を見せてやろう」は、WINGにはなかった台詞です。
ですが、この言葉はプロデューサーが今でも変わらず冬優子にかける言葉でしょう。
以下のLanding Pointコミュでのやりとりがその最たる例かと思います。
黛冬優子は、常に理想の『ふゆ』であろうとしている。
そうして作り上げた、いつもの『ふゆ』で観客を魅了できる。
そうできるよう準備をしている。
そして、そうできることをプロデューサーは知っている。
プロデューサーの冬優子への信頼は、この時から、そして数々の試練を乗り越えた今も、そしてこの先も変わらない。
冬優子なら、きっと大丈夫。
憧れとはちょっと違う今
〈我-汝〉
時系列が現在になります。
ってか、コミュタイトル!!!!!!!!!!
コミュを見始める前、このタイトルを見た時点で早々に悲鳴を上げました。
マイコレのTRUE ENDじゃねぇかよぉこれぇ!!!!!
とりあえず落ち着いて、コミュの内容を見てみましょう。
立ち絵の私服がマイコレじゃねぇかよぉこれぇ!!!!!!!!
落ち着きましょう。
ここからBGMがマイコレのTRUE ENDと同じじゃねぇかよぉ!!!!!!
落ち着きましょう。
以下、コミュ内容です。
コミュ内の会話は、冬優子とプロデューサーの微笑ましいやりとりが続きます。
が、この話の本体は合間に入る冬優子のモノローグです。
当初思い描いた姿とは違うし、失敗をいくつも重ねてきたけれど、だからこそ今の黛冬優子がある。今の冬優子から、あの頃の冬優子への言葉でした。
今の冬優子から、過去の冬優子へ、と言えば、
トーゼン、4thライブDAY1の演出が思い出されます。
ライブでの、冬優子の過去への手紙の内容を以下に引用します。
黛冬優子「S.T.E.P.」プロデュースシナリオ、大変良かったです。想定していた通りWINGコミュの補完的役割もあり、今まで描かれなかった通ってる専門学校の描写もあり、過去の冬優子に触れることで、冬優子の成長と変わらない魅力を改めて感じられるシナリオでした。
幼少期の黛冬優子が憧れた、可愛くて、かっこよくて、キラキラした、特別な女の子。アイドルになる以前から、アイドルになった直後まで、冬優子が漠然と抱いていた期待。その時に思い描いていた姿と、今の冬優子はちょっと違うかもしれません。現実主義者で完璧主義者でありながら、その道程は理想とは程遠いものだったでしょう。想像通りとか、すごく楽しかったとか、楽だったとか、そんなふうには間違っても言えない。それでも黛冬優子は、憧れとはちょっと違う今を肯定できる。とても素晴らしいことだと思います。何故なら冬優子自身による黛冬優子の肯定は、黛冬優子が好きな人ならば、ずっとずっと願っていることですから。
黛冬優子は多くの努力を積み重ね、幾度もの挫折を味わいながらも、幸せと痛みを抱きながらも、強い信念と覚悟と誓いを胸に、幼い憧れを、実現できる理想として体現しながら、これからも夢に向かって挑み続けます。
私はその姿を心から応援する者です。
感想は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
蛇足:「我〉-汝〈」と「〈我-汝〉」
以下、ハイパー蛇足です。
コミュタイトルマイコレTRUEのあれじゃん!!私服!!!BGM!!!!などと騒いでおいて、STEPコミュとP-SSR【名モナキ夜ノ標ニ】TRUE ENDの関連性について、考えないわけにはいかないので、性懲りもなく以下に考えたことを書いていきます。
まずコミュタイトルについてです。
STEP最後のコミュタイトルが〈我-汝〉
マイコレ冬優子のTRUE ENDのコミュタイトルが我〉-汝〈
それぞれのタイトルが非常に似ていますが、記号の表記が少し違います。
これは2つのコミュには共通点がありつつ、明確に相違点もある。
そんなふうに読み取れるかもしれません。
P-SSR【名モナキ夜ノ標ニ】黛冬優子のTRUE ENDについては、以下の記事で考えたことを書いています。
2つのコミュの共通点
細かい点をあげればキリがないですが、明確に共通しているのが、過去に思いを馳せる冬優子かなと思います。
STEPコミュは感想でも書いたとおり、冬優子はモノローグで「あの頃の自分」に語りかけています。
マイコレTRUEでも同様に、冬優子が過去を思い返す場面があります。
またプロデューサーの言葉に、冬優子が考えごとをしていてリアクションが遅れる(対人能力や観察力に秀でた冬優子には珍しい)場面がある、というのも共通しているかと思います。
共通点としては、ひとまずこのくらいになるかと思います。
その中で明確なのは今の冬優子から過去へ、という要素。
これが共通のテーマなのかもしれません。
2つのコミュの相違点
これも細かい点をあげればキリがないですが、ポイントとなるのは共通点の中に明確に相違点もあることかと思います。
STEPコミュでは明確に今の冬優子から、過去の冬優子へ語りかけていますが、マイコレTRUEでは、オーディション、ファン、プロデューサーなど、これまでの自分が関わった何か、誰かのことを思い返しています。過去に思いを馳せる対象が異なっている。さらに付け加えると、マイコレTRUEでは冬優子は街頭モニターに映った『ふゆ』に気がついていません。
街頭モニターに映った『ふゆ』は、P-SR【ザ・冬優子イズム】のフェスイラストなので、過去の冬優子と考えてもよいかもしれません。
マイコレTRUEの記事でも書きましたが、冬優子が何に対して違和感を覚えたかというと、ほぼ間違いなくモニターに映った『ふゆ』のことだと思われます。そうなると「考えごとをしている冬優子」は、共通して過去の自分について考えていたと考えられます。
ただ、ここにも相違点があり、STEPコミュでは今の冬優子から、過去の冬優子へ語りかけていますが、マイコレTRUEでは、冬優子は過去の冬優子には気がついていません。
このあたりがそれぞれの違いになるかと思います。
つまり…どういうことだってばよ?
マイコレTRUEの記事で、私は以下のようなことを書きました。
STEPコミュ〈我-汝〉の語り出しは以下のとおりです。
つまり……
STEPコミュ〈我-汝〉は、今の冬優子から過去の冬優子へ
マイコレTRUE 我〉-汝〈 は、過去の冬優子から今の冬優子へ
現在と過去の冬優子が、互い互いに自分へメッセージを贈る話だったんだよ!!!!
な……なんだってーーーーーーーー!!
それぞれの話を合わせて読むと、なんかそんな感じがしました。この解釈に当てはめると、我=今の冬優子、汝=過去の冬優子になるかと思います。STEPコミュ〈我-汝〉では、今の冬優子が過去の冬優子へ語りかけていますので、我と汝は同じ枠〈〉の中に収まっており、マイコレTRUE 我〉-汝〈 では、今の冬優子が過去の冬優子(モニターの『ふゆ』)に気がついていないため、汝は枠〈〉の外にいます。なんかテキトー書いてるわりに筋が通ってる気がする。合ってるかどうかは知らんけど、エモいやんけ~これでいいや~
今は亡きモバマスの特訓で自分自身と向き合おう!!的なやつかもしれません。冬優子にとっては、冬優子も『ふゆ』もどっちも本物ですから。
マイコレ単体では読解が難しかったですが、今回のSTEP実装を以てP-SSR【名モナキ夜ノ標ニ】黛冬優子のシナリオは完成したのかもしれません。
マジで終わり
P-SSR【名モナキ夜ノ標ニ】黛冬優子TRUE END「我〉-汝〈」は、マジで色んな解釈ができると思うので、私の蛇足は参考程度に見ておいてください。マイコレTRUEの記事では、「我〉-汝〈」はマルティン・ブーバーの「我と汝」ではないか、なんてことも書きましたが、実際STEPコミュは冬優子とプロデューサーや、冬優子とアイドルの運命の出会いの話でもありますし、冬優子はアイドルとして大きく成長しましたが未だ道半ばですし、これはこれでいいんじゃあない?とも思います。私以外にも色々な方が冬優子について考えて、そして冬優子のことを応援してくれたら嬉しいです。
【2023年10月22日追記】
皆さん、ご覧になりました……?
THE IDOLM@STER SHINY COLORS 5.5th Anniversary LIVE 星が見上げた空DAY1……
ストレイライトのいつかShiny Days
私は冬優子の歌い出しから曲終わるまでずっとボロ泣きでした。。。
STEP実装直後に、こんなもんお出ししやがってよぉ……
愛依のマイコレだってまだ記憶に新しいこのタイミングでよぉ……
アーカイブ2023年10月30日(月)23:59まで観れるんで、観てない人は買って観てください。
ストレイライトのいつかShiny Days、今後は禁止カードです、強すぎます
サマパも思い出しちゃうしさぁ……
あ、音源と円盤は出してください!言い値で買います!!!!!
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