【浮遊回帰線】黛冬優子コミュ感想──迷光を纏わぬ少女たち
はじめに
2023年7月22日、23日に開催された283PRODUCTION SOLO PERFORMANCE LIVE「我儘なまま」最高でしたね…………(冒頭の挨拶)
283フェス以来のソロ曲中心のライブイベントで、中には3rdツアー以来であったり、ゲリラ披露以来だったり、初披露となるソロ曲もあり、本当に26人全員が主役のライブで、何より朗読劇を絡めた演出が見事。
また当時、急遽無観客での公演となってしまった3rd東京day2でのソロ曲歌唱メンバーを座長、メインキャストとして抜擢する企画も"粋"でした。
ライブの告知では、アニメのプロデューサーのボイスも初公開、シャニソンの事前登録もスタート、新作コミカライズやコラボ企画、5.5th LIVEの告知、新ユニットCoMETIKの発表と、盛りだくさんでしたね。
これから先もシャニマスから目が離せません。
そんなライブの熱も冷めやらぬ最中の2023年7月31日にenza対応ゲームアイドルマスターシャイニーカラーズにて、P-SSRアイドル【キン・コン】樋口円香とS-SSR【浮遊回帰線】黛冬優子が実装されました。
今回はS-SSR【浮遊回帰線】黛冬優子のコミュの感想を書いていきたいとお思います。
結論から言うと、コミュがめっちゃ良かった。サポートコミュと言えど侮るなかれです。
※この記事を読み始める前に
当記事は私個人の感想や考えを長々書いたものです。書かれてもいないことを読みすぎな内容なのでご留意ください。
重ねて、当記事は以下についてのコミュ内容などの盛大なネタバレを含みます。問題ない方のみ閲覧いただければと思います。
S-SSR【浮遊回帰線】黛冬優子
黛冬優子W.I.N.G. , G.R.A.D.コミュ
P-SSR【メイ・ビー】和泉愛依
P-SSR【starring F】黛冬優子
イベントシナリオ「Run 4 ???」
P-SR【アンコンシャス35→80】黛冬優子
P-SSR【名モナキ夜ノ標ニ】黛冬優子
コミュの内容について
S-SSR【浮遊回帰線】黛冬優子のコミュは↑の3話で構成されています。
簡単に内容を紹介すると、今回ストレイライトは海での撮影のお仕事。
コミュ1「選」では、撮影以前の冬優子と愛依、
コミュ2「逃」では、撮影以前の冬優子とあさひのエピソードが描かれます。
撮影前、相変わらず冬優子は準備を怠りません。
今回の撮影衣装がクラゲをモチーフとした水着であることから、クラゲについて調べたり、海での紫外線対策について、愛依とあさひにアドバイスをしたり、買い出しにも付き合っています。
コミュ1、2は相変わらず仕事熱心な冬優子の姿勢と、相変わらずメンバー2人(特にあさひ)にペースを乱される冬優子が(申し訳ないが)面白いです。
本当いつもお疲れ様。労いたい。
そして今回特に良かったのがコミュ3「遊」
撮影当日、主に撮影終了後の三人の様子が描かれます。
撮影は順調で予定時間よりも早く終了。現場のスタッフにも大好評で、今回も完璧な仕事をしてくれた様子がうかがえます。
三人はスタッフから予定してた撤収まで時間があるので自由行動の許可を貰い、海に遊びに行きます。
(水着で遊ぶ三人はS-SR【腹が減っては遊びはできぬ】芹沢あさひのコミュを思い出します。初期はよく言っていた「ふゆはパス」も最近はとんと聞かなくなりましたね……)
ここで珍しいのが、一応スタッフの目があるので、最初は冬優子も愛依も『ふゆ』と『愛依サマ』でいるのですが、わりと早い段階で素の自分のまま楽しむことにシフトしていく点です。
遊ぶ三人の様子は撤収作業をしているスタッフの目に止まり、
その中で、カメラマンのスタッフが機材の片付けを遮りシャッターを切ります。
ここが今回、個人的に非常に感動したシーンでして、
これは要するに、カメラマンがアイドルとしての仮面を纏わない素顔のストレイライトに非常に魅力を感じてくれた、ということで、
特にこれまで度々言及されていたありのままの黛冬優子、和泉愛依に、作中の人物がそのアイドル像以上に心惹かれたという、今までにない現象が発生しています。
何故感動したかというと、これはストレイライト、そしてプロデューサーに対する一つのアンサーでもあるからです。
二面性故の知られざる素顔
ストレイライトというユニットは、メンバーそれぞれがアイドルとしての仮面を被っています。
(全くの別人格というわけではないので、個人的にはアイドルとしてのフィルターを通して変換出力している、といった表現がより正確かなと思っています)
冬優子は、自身で作り上げた理想である、誰からも愛されるキラキラで可愛い『ふゆ』
愛依は、プロデューサーと共に作り上げたクールでミステリアスな『愛依サマ』
あさひは、2人とは違い意識的に仮面を被ってはいませんが、ステージ上では普段の天真爛漫さとは打って変わって、圧倒的なパフォーマーとして豹変します。
ストレイライトは、各メンバーがそれぞれ本来の自分と、それとは別のアイドルの顔という二面性を持ち合わせているユニットです。
この二面性は、決して邪な想いから作られたものではなく、各々が抱える理想や問題、本人の性質から生まれたもので、作中でも肯定されるものとして描かれます。
が、それ故に冬優子と愛依の素顔は世に知られることはありません。
あさひは逆にどこでもあさひのままですが、その独特の感性と「最短距離を行く」姿勢から誤解されてしまう側面はあるかと思います。(現に学校のクラスメイトとの関係にはずっと溝がある)
ストレイライトの素顔は、アイドルとしての彼女たちに負けず劣らずそれぞれ非常に魅力的です。それは作中で常々描かれています。
ですがその魅力は作中の世では知られることがない。
特に冬優子と愛依については、アイドルとしての在り方故に知られてはいけない。とても魅力的なのに。
これはストレイライトが常に抱える矛盾なのです。
今回、そう来たか!と膝を打ったのは、素顔を知られることが禁忌のストレイライトが、その素顔を、仮面を被っていることなど知る由もない人物に肯定されたことです。
恐らくカメラマンはある程度の距離から3人を撮影したことと、海で遊んではしゃいでいる様子の3人から、普段のストレイライトとのギャップについては疑問を覚えなかったと思います。
2023年08月11日追記
普段と素顔のギャップについて、カメラマンが疑問を覚えなかった根拠については、以下の作中描写が該当するかと思います。
後述しますが、海で遊ぶストレイライト=海の中を浮遊するクラゲであると読み取れます。冬優子はどんな時もいつもの『ふゆ』でいたい、それは全部を騙くらかすために必要なことです。なので人前で汗をかきたくない、日焼けも含めて対策に万全を期すわけですが、各コミュでの愛依やあさひとの会話は、水中(海)に入ってしまえばわからない、という話で、つまり多少ハメを外したところで、『ふゆ』と冬優子、『愛依サマ』と愛依の違いなど端からはわからない。冬優子と愛依の作り上げた『本物』は多少のことでは崩れない。そして冬優子の完璧主義は彼女の熱意故の美徳ですが、時には肩の力を抜いても良い。という描写が、上記の各コミュのシーンになるのかなと思います。
「遊」のラストシーンは、隠している素顔を知られることなく、彼女たちの素顔の魅力が知られる。この矛盾しそうな2つの事象が矛盾せずに共存した。見事なシチュエーション設定だと思います。
同時によく二次創作で見かけるストレイライトの素バレネタに近い状況なのに、こんなにポジティブな描き方があるとは!脱帽しました。
彼女たちの誇りを傷つけずに、彼女たちの等身大の姿を肯定する。
アイドルとしてのストレイライトも、素顔のストレイライトも同時に肯定して良い。
だってだって どっちの世界も現実(ホント)なんだもん
今回のコミュは、ストレイライトが常に抱える矛盾に対する一つのアンサーであるように感じました。
そして何より、いつも頑張っているストレイライトに対する愛情に溢れたとても優しい話だったと思います。
読み終わった後には余韻がじわじわ押し寄せてきて、なんだか救われた気持ちになり普通に泣いてました。
カード名【浮遊回帰線】について
浮遊
1.空中や水面に浮かびただようこと。
2.先を定めないで旅をすること。
カード名の意味合いとしては、今回のコミュのモチーフになっているクラゲを指しているかと思います。
あとは、海で遊んではしゃぐ3人の様子も表現してるかもですね。
また浮遊を『ふゆ』と掛けているかもしれません。
回帰線
北緯または南緯23度26分の赤道と平行に引かれた等緯度線のこと
太陽が真南の方角で一番高くのぼったときにできる「南中高度」が90度になる地点は、北回帰線と南回帰線の間を毎日少しずつ移動しているそうです。
カード名の意味合いとしては、南中高度の90度地点が毎日少しずつ移動する範囲であることから、後述のクラゲが浮遊する場所、と同時に太陽の下であるという意味を含めたワードチョイスかなと思いました。
コミュ全体で太陽がガンガン照ってますし。
また回帰が「一周りしてもとに戻ること」という意味なので、
ストレイライトとしては、仮面を脱いだ自然体の状態を指す意味を含んでも良いかもです。(コミュ2「逃」であさひを探し回った後、事務所に戻って来るのとかもあるかな)
モチーフ「クラゲ」
クラゲは、遊泳能力を持たないため水の流れに逆らえず、水中で浮遊生活を送る浮遊生物(プランクトン)の一種だそうです。
またクラゲは脳を持たない生物なので、自分で考える能力がないそうです。
ある種、究極的に自然体の生物とも言えるかもしれません。
浮遊回帰線
以上のことから【浮遊回帰線】とは、クラゲをモチーフとして、
太陽の下で遊ぶ自然体のストレイライトを例えたタイトルではないかと考えます。
ありのままの黛冬優子
今回、ストレイPで冬優子担当Pとしては、冬優子の相変わらずの万全の状態で仕事に臨もうと準備を怠らない姿勢も素敵でしたが、やはり海ではしゃぐ冬優子がすげー良かったです。
何故なら人前ではしゃぐなんて、昔の冬優子ならほぼ絶対にしなかったこと(P-SR【水×天カイヤナイト】黛冬優子のコミュみたいに、プロデューサーの前ではしゃぐことはあった)かと思いますし、
常に考え周囲を観察し気を配り続けている彼女なので、良い意味で周囲を気にせずいられる機会があることは、非常に大切だと思いますし、
同時に我々が非常に魅力的だと感じているありのままの冬優子を、冬優子自身が昔ほど否定せずにいられるのかなと思うからです。
そしてやはり今回、冬優子の素顔が肯定されたのは非常に嬉しかったです。
しかも撮影の仕事となると、思い出すのはW.I.N.G.コミュ
そして今回改めて感じたのが、トワコレ以降の冬優子のコミュでのフォーカスの変化です。
P-SSR【幕間、沸々と高温】黛冬優子、所謂トワコレ冬優子以降に実装された冬優子のカードは2023年7月の時点で5つあります。
その中でS-SR【MUGEN BEAT】と、S-SSR【とある日の】は、ライブのキービジュSRだったり、コラボ企画のSSRなので除きますが、
以下の2つのカードと今回の【浮遊回帰線】のコミュには共通した要素が見て取れます。
【アンコンシャス35→80】
P-SR【アンコンシャス35→80】黛冬優子のコミュでは、普段は意識的に振る舞うことの多い冬優子の、無意識的な振る舞いを描いた話が主だったかと思います。
(アンコンシャス(unconscious)意識していないさま。気づいていないさま。無意識的な。という意味)
カメラを意識していない姿の冬優子が写真に撮られたり、無意識的にプロデューサーを探す冬優子などが描かれています。
TrueEndは、P-SSR【オ♡フ♡レ♡コ】黛冬優子「静寂の頃はまだ遠く」で、少しだけありのままの冬優子の一面を見せたシーンを思い出します。
ちなみに35→80という数字は、スマホのカメラが題材なので焦点距離のことかと思われます。
カメラのレンズは焦点距離の長いレンズになると、同じ場所からでも被写体を大きく写せるらしく、焦点距離を考える基準が35mm換算と言われるらしいです。
なので、プロデューサーと冬優子の無意識的な心の距離の縮まりみたいな表現かなと思いました。
【名モナキ夜ノ標ニ】
P-SSR【名モナキ夜ノ標ニ】黛冬優子のコミュについては、以下リンク記事で感想・考察(妄想)を書かせていただいています。
https://note.com/bald_pierr0t/n/n9d034b436c5f
と言いつつ、追記も兼ねて↑の記事で書いていないことを書くのですが、以前拝見した他の方の感想内容で、
TrueEndのプロデューサーを待つ冬優子は、ほんの一瞬だけアイドル黛冬優子でも、『ふゆ』でも、『ふゆ』に対する素の冬優子でもない、それらを意識しない黛冬優子に戻ったような感覚を、冬優子は感じていたのではないかと捉えた方がいらっしゃいました。
(素の冬優子も、本音を言わなかったりするので、ありのままとか素顔とは少し違う)
【名モナキ夜ノ標ニ】のコミュでは、全体通して1度も『ふゆ』が出てこなかった点(TrueEndのモニターの中以外)と、「この舟は高くつく」では(冬優子ではなく)プロデューサーがアイドルかのように囲まれる話が描かれていた点。
これらの要素から、ソロ曲の収録という大きい仕事が一段落したこともあり、一瞬ふと気が抜けて誰を意識することもない、ありのままの自分になっていた、という解釈もできそうだ、とのことでした。
そして今回の【浮遊回帰線】では冬優子含めストレイライトの素顔についてのコミュが描かれました。
なので、P-SSR【幕間、沸々と高温】より後に実装された冬優子のカードコミュは、自然体のありのままの黛冬優子にフォーカスを当てているように思われます。
P-SSR【幕間、沸々と高温】黛冬優子のコミュは、冬優子の優しさ、可愛さ、したたかさ、強さ、気高さ、信念、プロデューサーとの信頼関係など、今現在のアイドル黛冬優子のあらゆる魅力を描いた良さみの詰め合わせみたいなコミュでしたが、
そうなると、じゃあ次は仮面で覆われていない黛冬優子を切り取ってみよう、という方針なのかも知れません。
終わりに
ラストの写真にプロデューサーはGOサインを出すのでしょうか。
もちろん、ストレイの皆に確認を取った上で、でしょうが、果たして冬優子はOKを出すのでしょうか。
冬優子は写真を見て何を思うだろうか。はしゃぎすぎた、油断しすぎたと自省するのか、小言を言いつつも悪くないと思うのか。
このへんは解釈の余地ってやつですね。
にしても今回のコミュ、冬優子のサポコミュでトップクラスに好きかもしれん……。
他に冬優子のサポコミュで好きなのは【@ストーリィズ】【One,Two…♡】【二律背反sweet】【<IF>】……多すぎ
しかし先日の「我儘なまま」で冬優子の作り上げた素晴らしいステージを観せておいて、
直後の実装コミュではクラゲのように自然で、ありのままの冬優子を描くなんて、
本当に『ふゆ』も冬優子も魅力的で、G.R.A.D.でプロデューサーが言ってたことが大正解なんだなって改めて思います。
ストレイライトは、夢を、理想を、誇りを「本物」にするユニットです。
特に冬優子は、本当の自分を誰にも悟らせない。それがファンを騙している自身の義務だと思っており、私もそれが冬優子の理想であるならば、常に完璧に「本物」であって欲しいと思っています。
ただ、偶像となった彼女たちの仮面のほんの僅かな隙間から、迷光を纏わぬ少女としての顔を覗かせる瞬間があって、それを偶然目撃した人の眼にその素顔が魅力的に映ってくれたとしたら、それはそれでとても素敵なことではないか。
ライブイベント開催の度に、よく見かける「ステージの『ふゆちゃん』から一瞬、冬優子が垣間見える」という意見。今回のコミュはこれに近いのかなと思います。
最後に、2023年08月09日にはストレイライトの新曲が収録された
THE IDOLM@STER SHINY COLORS “CANVAS” 05が発売予定です。
以下は公式楽曲情報サイトのリンクです。
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