知床へ流氷を見に行こう①
2月後半の北海道。
降る雪は重たく、冬の底。
それでもふと厚い雲から差し込む日差しや空気の色味からほんのり春の気配が覗くようになった頃、私はなんとなくそわそわするようになる。
「今年も流氷がやってくる…」と。
こうなると生活の諸々が手につかなくなるので、荷物をまとめて知床にゴーしてきました。
2/23
私が住んでいるのは流氷の接岸するオホーツク海とは真反対の太平洋側。
夜の22時に車で出発、休み休みの約8時間で日の出の道東、オホーツク海に到着した。遠いわ〜!!
新千歳空港から女満別空港に飛行機で飛ぶ(所要1時間弱)という手もあるが、太陽が昇り切る前の雪に光を吸われた青い景色の中を走りながら眺めるのがとても好きなのだ。しんどさを押してでも見る価値のある美しい色だと思う。
北海道を縦に貫通。
紋別市・オホーツク流氷公園に到着。
快晴。
座席の形に固まった身体をほぐし、まぶしい朝陽を眺め、でっかい蟹ハサミのオブジェと再会する。
ここで海を見てハッとする。
流氷がない・・・?
昨年・2023年2月11日に来た時の海はこんな感じ。観光砕氷船のガリンコ号が湾内にたまった薄い氷を割りながら進んでいた。
観光船の受付の方に訊いてみるとここ数日の暖かさで一帯の流氷は一気に沖の方へ後退したらしい。船に乗ってもおそらくその場所まで到達できないとのこと。
そらしゃーない!ということで
隣接する道立オホーツク流氷科学センターへ。
近海に生息する生物の標本や極地圏の環境に関する展示をみる。マイナス20度の世界を体験できる展示室があったが、今朝方は屋外で普通にマイナス15度を切っていたので風がないだけ室内の方がまだマシだった。
オホーツクの沿岸を沿いながら知床・羅臼方面へ移動。途中の常呂(ところ)という町に美味しい海鮮が食べられるお店があるとの情報を得てお昼ご飯とする。
常呂 松寿し
本…当!に美味しかった 海老、ほたて、たこ、数の子、サーモン、どの魚介も丁寧に仕込みがされているのがびしびし伝わってくる。ほんの薄く漬けにしてあるにも関わらず素材の甘みが溢れてくる。これはまごうことなき宝石箱。
追加で注文したホタテフライもサクサク、あつあつ、じゅわっと染む旨み、最高だった…このまま食べ続けたい、永遠に…と願いたくなるようなお店でした。
またひたすら移動。
サロマ湖。
「サル・オマ・ペッ(葦のあるところ)」
北海道で一番大きな湖。全長26kmにも及ぶ砂州によってオホーツク海から切り離された汽水湖。縄文時代には海と隔てる砂州がなく、サロマ湾として海水を湛えていた。湖として生まれ変わったのは今から約1000年前と言われている。
昭和30年代にホタテ貝の養殖技術を確立させ、現在では海水の栄養を含んだ汽水で育てた稚貝をオホーツク海をはじめとした道内の海に放流している。
冬季は湖全体が完全に氷結している。
この辺りの船は冬場操業できなくなるので、湖が凍り切る前にみな陸に揚げてしまう。
網走到着。
ここまでくると海岸に打ち寄せる流氷のかけらが散見されるようになってきた。道沿いのガラス工芸館に少し寄る。網走港の流氷をみながら黙々とガラス作品を仕上げていく女性。窓の外の冷たさと炉やバーナーの熱さの対比で顔がぼうっとする。
本日宿泊地近辺の網走湖まで到着。
網走湖では湖面の氷にコリコリと穴を開けてワカサギ釣りができる。近隣の施設からレンタル品を使ったり、玄人はそれぞれのお気に入りの装備をソリにのせて、テントを立てて釣りをする。その場で釣れたてを食べる人もいるらしい。いいね。
スノーシューを履いて散歩する人もいた。辺りは本当に静かで、話し声さえも雪に吸われて、聞こえるのは自分の呼吸とミシ、ミシ、たまにパキ…と雪に隠れた湖氷を踏みしめる足音だけになる。陽が山の向こうに暮れると気温が一気に落ちる。−10℃くらいか。外気にさらされた頬が切れるように冷たい。風がないのがありがたい。歩き続ける氷のさらに数十センチ下の冷水の中では魚たちが泳ぎ回っている。ひび割れのような足音の変化に軽いスリルがある。
泊まったペンションのロビーには薪ストーブ。焚かれた薪の甘いような煙の香りを胸の奥まで吸い込む。上に置かれた大きな鍋のなかでコトコトと料理が煮込まれている。夜は熱々のとろりとした温泉で冷え切った身体を芯から温めた。
こんな感じで一日目の日程は終了。
二日目は知床、ガッツリ流氷見に行きます。
続く!