生活の建築知識.38
おはようございます。
もし、ご自宅で工事をすることとなれば当然どのように進むか把握したいものですよね。
工事を実施する立場としてもそれは同じで、どのように進めれば効率が良いかを常に気にしています。
1週間未満の短期工事であれば文章でも事足りるかもしれませんが、複数の工程を踏まえるとやはりそれをまとめる資料が必要です。
工務店などの施工業者は工事を実施する前に工程表を作成することで、クライアントへの説明や各業者との連携を図ります。
現地の状況や工事内容によって違いはあるものの、基本的な流れはあります。
今回は細かい条件などは触れずに一般的な工事の流れについてご説明していきます。
先に大きな流れを下記にまとめます。
・解体
・配管、配線
・下地造作
・配管、配線
・造作
・仕上げ
・器具取付
・クリーニング
以上となります。
では、少し噛み砕いて説明していきます。
・解体工事
まず、造る前には既存を壊さなければなりません。
1番最初は解体工事から始まります。
計画において新規にする箇所は基本的に解体の対象となります。
当然全てやり変えるとなると全て解体をしていきます。
工事計画の前にすでに解体が済んでいる場合もありますので、その時は解体工事は除外してください。
解体工事は始める前に周辺を養生することから始まります。
戸建であれば必要に応じて敷地を囲うようにシートを張りますし、マンションなどであれば共用部や既存を残す部分などが対象となります。
そしていざ解体がスタートするわけですが、必ず大きな音が発生します。
場合によっては火花が散ったり、振動を伴うこともあります。
近隣に対して迷惑をかけることは間違いありませんので、事前に声掛けをして理解を得ることが大切です。
・配管、配線
解体が終われば、次に配管と配線を行なっていきます。
実際には、既存の状態を確認して計画に対してどのように繋ぐかの下準備の方が合っているかもしれません。
マンション改修であっても、一部配管・配線を行うまでとなります。
全て行わない理由は、次の工程である下地がない状態だとそれぞれの配管・配線が固定出来ないためです。
・下地造作
ここから本格的な造築・造作作業が始まります。
下地造作と記載しましたが、躯体の造築もここに含ませてもらいます。
新築であれば、まずは基礎→土台→躯体と徐々に建ち上がっていきます。
躯体が終われば窓の取付、外装、断熱工事を経て内部の下地造作に移行していきます。
この辺の流れは同時進行のこともありますが、一つずつこなしていくなら概ねこのような流れです。
・配管、配線
再びの配管、配線になりますが、ここは間違いなく下地造作と並行して行われます。
ずっと設備系の業者が常駐しているわけではないですが、次の造作に入る前に行わなければ出来ない部分もあることから、ちょうど良いタイミングで実施すれることが必要です。
・造作
下地造作が終わり、配管、配線も終われば造作工事に移行します。
建具枠やカウンターの取付、仕上げとなる造り込みを行い、その後壁面の石膏ボードを張り巾木や計画された器具類などを取り付けていきます。
一般的には、ここで長く現場にいることになる大工のような造作をする業者は完了して、次の業者が入ってくる準備になります。
・仕上げ
造作が完了すれば仕上げが実施されます。
仕上げの種類が多ければ複数の業者が頻繁に入れ替わり、作業場所に人が密集しないように調整が必要となります。
また、仕上げ同士が取り合うような箇所が多数出てくるためその順序を整理する必要も出てきます。
仕上げと言っても、仕上げ用の下地を作ることから始まります。
よくあるのはパテを打って仕上がり面を平滑にする作業です。
基本的には全ての仕上げ下地を作り切ってから仕上げの実施をするため、現場内の広域に及んで同時進行で仕上げが進んでいきます。
ちなみに仕上げの段階にスムーズに移行出来れば、その現場は順調に進んでいると言えるでしょう。
逆に移行時に造作がまだ残っていたり、複数の仕上げ業者が密集していると順調とは言えないと思います。
ただ、工期が短かったり計画自体の難易度が高いものであればそう容易く順調にいくものでもありません。
さらに、改修であれば予期せぬ問題が発生することは珍しくないため、随時工程を修正しながら現場を進行させることになります。
・器具付け
仕上げが無事終わればあとは衛生設備、電気設備、弱電設備、ガス設備などの器具付けが進められます。
この段階では機材や什器が大量に現場内に納品され、なおかつやはり多くの業者が出入りします。
・クリーニング
器具類の取り付けも終われば、廃棄物を処分し養生も剥がしてクリーニングとなり、これで一連の工事が終わります。
この後、是正内容があれば実施して完了となります。
一概には言えませんが、工事の一項目ずつを考えれば単純でそれほど難しく考えることもありません。
しかし建築工事での作業項目は非常に多く、異なる作業が関連しており、他業者が入れ替わり作業を進めることで造り上げていくため全体の進行は複雑になっていき、順序を間違えるとやり直しが必要になるケースもあります。
クライアントとしては、実物を確認しながら随時微調整として変更をしたいと考えになることもあるかと思いますが、そのタイミングはかなり初期の段階でしか難しいのが現実です。
各作業自体は現場で行われますが、事前に資材の発注や図面作成をしていきながら問題がないかを確認した上で作業に至ります。
内容にもよりますが、一つのことを変えただけのつもりが実は他の作業にも影響があったり、すでに作業の準備が終わっているため追加金額が発生してしまうこともあります。
後で調整していけば良いと思い、最初の計画確認を怠ってしまうと後戻りできない事が多々ありますゆえ、工事内容を理解することと進行の流れを把握することは非常に大切だと言えます。
また、着工前の確認はとにかく念入りに実施することが肝要です。
項目は多岐にわたり、耳慣れない言葉も多いとは思いますが、わからないことがあればどんどん設計や施工業者に聞いてみてください。
今回の説明はかなり省略した内容であり、実際にはかなり細かいことまで確認が及びます。
大変ストレスがかかる事だとは思いますが、その苦労は無駄にならず、成果物にちゃんと反映されます。
モノづくりを間近で確認できる貴重な機会にもなると思いますので、楽しみながら確認するためにも工程表をよく読み込んでもらうことをおすすめします。
では、また。