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生活の建築知識.43

おはようございます。

建築をクライアントに提供するにあたり、仕上げ材の提案や全体のプラン提案はとても大切な要素です。
それらはきっとクライアントとしても注視するポイントだと思います。
プランと仕上げが決まれば概要が見えてきますので、出来上がりが楽しみになるかと思います。
しかし、住宅において実際に重要なポイントはディテールです。
オフィスや店舗であれば行動が限定されるため、ある程度の広さがあれば什器レイアウトで調整していくことが大切になります。
狭かったり、動きのある作業頻度が非常に高い場合は例外となりますが、どちらかと言えば広さと設備が決め手になります。
一方、住宅は人の行動全てが考慮される必要があり、何かに特化し過ぎても削ぎ落とし過ぎても良くなるとは言えません。
もちろん人それぞれ暮らし方が異なるため全てとは断定出来ませんが、身体の構造が同じであるゆえ極端に異なることはなかなか考えられません。
行動をいかに妨げず、心地よくするかはディテールに依存します。
しかしそれはどんな点を見ていけば良いのか簡単に説明します。

わかりやすいところから言うと、建具の形式をまず気にしてみてください。
建具の開閉の仕方には種類があり、片開き・片引き・戸袋・両開き・引き違いなどがあります。
部屋の用途や出入りの仕方によりそれぞれ適した形式があります。
つい片開き扉としてしまいがちですが、そこには別の種類もあることを確認してください。

次にコンセントの位置です。
これは残念なことに私のクライアントからもよくお話しがあります。
コンセント増設出来ませんか?と。
ある程度は計画段階で想定されます。
しかし実際どのように使われるかはやはりクライアントの生活次第となることが多々あります。
多めに設定し過ぎてもお金がかかり、美観も損ないかねませんので最小限で、尚且つ適切な位置にあることが大切です。

最後に水廻りの各寸法にも注視する必要があります。
水廻りは多くの場合、作業が伴う空間と言えます。洗面台周り・洗濯機周り・トイレ周り点キッチン周りは細かな寸法を検討していくことが重要になります。
各種リモコンの位置やタオル掛けなどのアクセサリーの高さ、カウンターの高さなどは人それぞれ微妙に使いやすい寸法が異なります。
一般的な寸法を採用すれば問題なく使えますが、身長が高めの方とかではもしかしたら少し違和感を覚えるかもしれません。
現に海外メーカーなどでは寸法が異なることがよくあります。
ご自身の身体にフィットした水廻りとなるかショールームなどを見てみるのをおすすめします。

ディテールは設計者によってもかなり違いがあり、特に住宅を頻繁に実施していないと目が届かないこともあり得ます。
それは不備というわけではなく、もっとこだわれば良かったということが入居後にわかってくることが本当に多いです。
様々な提案はきっと受けることになると思いますが、最終決定者はクライアントであるご自身になります。
ご自身の生活をよく見直してみて、新居でどのように生活するだろうかということを想像して頂ければ、ディテールが鮮明になってくると思います。
想像はしたけど、具体的にどうすれば良いかわからない場合は設計者にその内容を伝えてみてください。
そうすればよりクライアントに対する理解も深まりますので、設計者としても貴重な情報となります。

まだ空間がないところで想像するのは決して簡単な作業だとは思いませんが、身の回りに置いてあるものやよく使う機器類に目をやり、使いやすい環境を考えてみてください。

では、また。

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