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生活の建築知識.66
おはようございます。
世界情勢の影響や価格上昇の圧力によって、ここ数年ほぼ全ての建材は価格が高騰しております。
今見積もりしても半年後にはまた変化があるような状況なので、一概に価格設定を説明することは難しいことです。
しかし、そもそも建築を実施する際の金額相場として利用されることがある坪単価というものがありますが、これは信用に足るものなのかを今回ご説明していきたいと思います。
まず坪単価とは、全工事金額を全延床面積で割った値で、つまり1坪当たりの工事金額を指します。
1坪は約3.3㎡となりますので、坪単価を3.3で割れば平米単価ともなります。
新築住宅ですと、インターネットの情報を抜粋しますが30万/坪〜100万/坪と幅がありで、60万/坪〜70万/坪程度がよくあるハウスメーカーの相場に近いということでした。
改修工事では概ね30万/坪前後が相場であると言われます。
リノベーション工事が多いのでそちらを例にしますが、66㎡の物件でリノベーション工事を行うとする時、坪単価を30万/坪で設定したら約20坪×¥30万/坪=¥6,000,000ということになります。
これらの数字には偽りはないのですが、いくつか問題点もあります。
まず第一に、実際の見積もりは項目を積み重ねて作成されていきます。
それは実施内容が多ければ増えるし少なければ減るわけですから、それらの集計が最終的に工事金額となっていきます。
しかし、坪単価で計画をしていくと条件を何も考慮していないことから実際の見積もり金額と比較したときにズレが生じてきます。
さらに説明すると、見た目が全く同じ部屋があったとしても、片方は下地にお金をかけなければいけない場合、2つの部屋は違った工事金額となります。
わかりやすいからわざとやってるのだと思いますが、広告などでは〇〇万/坪と謳いながらその仕様についても紹介しています。
しかし、実際は条件でいくらでも変わってしまうので参考にするには心許ない目安となってしまいます。
もし参考にするのであれば〇〇万/坪〜と見るべきでしょう。
次に坪単価は工事金額を面積で割っていることから、均した数字であることです。
オフィスなどでは面積も大きく、均等な空間が構成されがちなため、割と坪単価と内容が合う傾向がありますが、住宅はそうでもありません。
住宅の場合、どうしても水廻りに工事金額が集中しがちで、洋室・寝室などは比較的安く実施が可能です。
ここから洋室・寝室が多ければ坪単価は薄く伸ばされ低くなりますが、洋室・寝室が少なければ高くなる可能性があります。
もちろん、大きいお宅ほどグレードの高いキッチン・浴室などが入れることも想定出来ますし、そのことで大きかろうが小さかろうが、坪単価は近いものとなる可能性はあります。
ただ、そこまで考えると部屋の大小で工事の内容も変わってきており、もはや坪単価が何を意味するのか勘繰ってしまいます。
まとめとしては、よく耳にする坪単価はあくまで1番最初の予算をイメージするために用いるまでとされることをおすすめします。
坪単価を参考に、この予算内でここまでは出来ると決めてしまうと、条件が揃わなかったとき途端に計画破綻してしまいます。
予算はクライアントにとっても、実施する私たちにとっても1番重要なポイントでありますが、条件により大きな影響を受ける部分でもあります。
わかりやすい予算を大きく広告されるとイメージ出来たように思えますが、現実との乖離もあるため、まずは冷静に各条件をまとめてもらうことが大切だと思います。
上限予算、下限予算、広さ、部屋数などある程度決めたら何が実際に出来るかはプロに早く相談してしまいましょう。
実際の条件も照らし合わせながら、予算上妥協すべき点も出てくるかとは思います。
そこまでいって初めて検討ということでも良いと思います。
声をかけてしまう時は、もう決断の時と思ってしまう方も多いかもしれませんが大きな買い物ですのでまずは検討することにお時間をかけてほしいですし、検討するための条件を揃えてから予算に対しても考慮してもらえればと思います。
では、また。