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生活の建築知識.11

おはようございます。

私の仕事の多くはいわゆるリノベーションと言われるもので、主に住宅を中心に仕事を請け負っています。
戸建ての場合もあればマンションの場合もあり、そうすると必然的にクライアントは個人のお客様ということになります。
人それぞれ求めるものが違えば工事金額もまちまちで、当然出来上がるものは一点ものです。

新しい住まいが出来上がる喜びを感じてもらえればこちらとしても嬉しいのですが、住宅購入や建築工事というのはお客様にとって非常にストレスになることは間違いありません。
最もその要因となるのは金額でしょう。
建築に関わるあれこれは他のサービス・商品と比べても格段に高いのが現実です。
購入した方、これから購入を検討している方どちらも、なぜこんなに高いのかと思うことはあると思います。
もちろん不誠実な対応であれば思われても仕方ないですが、実施をする立場としても金額は非常にストレスがかかる内容です。

今回は建築工事の見積もり構成と、最終的な工事金額がどのように決定されているか、そして減額の余地があるのかを説明していきます。

まずお伝えしたいことは、工事金額の内訳は材料費4割、労務費3割、設備機械1割、その他2割となるのが一般的と言われています。
ご存知の通り、工事を実際に行うのは職人になります。
職人の業種は様々あり、大工・左官・電気設備・衛生設備・空調設備・ガス設備・防水・塗装・クロス・ガラス・家具・建具などと、もしかしたら皆さんが思っている以上に作業は細分化されています。
各工事内容に対して材料代と労務費が計上され、その総額に施工を請け負っている業者の諸経費を加えたものが工事金額となり、先ほどの割合で概ね構成しています。
リノベーションに限ってお話しをすると、設備機械に該当する部分はあまりなく、材料の場内運搬や調査などと考えると労務費に近い要素になるかもしれません。
それを考慮すると、その他を除けば材料と労務費が半々程度で計上されていることになります。

クライアントの立場からすれば当然工事金額が低くなれば良いでしょう。
この構成を考えた時にどのようにすれば金額が増減するかを説明していきます。
材料費は仕上げ材・下地材・副資材へとさらに分けられます。
副資材に関しては、かなり特殊な内容を伴わなければ対象の工事現場の広さや状況にのみ影響される費用と考えられ大きく変化することはありません。
ちなみに副資材とはビスや接着剤など、工事に必要な備品だと思って頂ければ大丈夫です。
仕上げ材に関しては、選定した商品自体の価格が反映されるということで概ね間違いありません。
そして下地材ですが、ここが一番わかりづらくなるポイントで、作業が煩雑になったり、工程が多い仕上げになると増額し、シンプルな造り方になれば減額します。
さらに労務費に関しても同様のことが言えます。
つまり、下地材と労務費は造り方が難しければ高くなり、簡単であれば安くなるのです。

仕上げ材の増減に関してはわかりやすく、コントロールのしようもあるかと思いますが、造り方となるとクライアントとしてはどうすれば良いのかと言いたくなるかと思います。
実際クライアントへの説明で伝えるのが難しいのもここになります。
一見シンプルに見えるデザインほど、下地や労務費がかかるため、そのギャップを伝えるのは非常に困難です。

これに関しては工事が始まる前にしっかりと相談してもらうことが一番確実でしょう。
時間をいたずらにかける必要もありませんが、工事が始まってからでは容易に変更することも難しくなります。
場合によっては、変更が理由で増額してしまうトラブルとなってしまうこともありますので、事前に把握してもらうことが何よりも大切です。
そして納得がいった上でやはり減額をお望みの際は、やり方を変えない限り減額も望めないと思いますので、減額出来る方法を聞いてみましょう。
そもそもシンプルな造り方だとしたら難しいかもしれませんが、こだわった造り方をしているのであれば減額の提案も出来ると思います。
もちろん、仕上がりや性能が全く同じままとはいかないと思われますので、減額案にしたときのデメリットもしっかりと確認しておきましょう。

高額でありながら、一点もので出来上がったときに初めて現物を確認出来ることが、建築の難しさです。
これに対するコミュニケーションの改善は、建築業界最大の課題と言っても良いでしょう。
最終的にはお互いの信頼関係に頼らざるを得ないところもありますが、心配を受け止めてくれる良きパートナーを見つけたら、相談を重ねてみてください。
きっと良い結果となると思います。

では、また。

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