生活の建築知識.18
おはようございます。
マンションなどの共同住宅に住むとどうしても気になるのが音の環境です。
こちらに悩まない方もいるだろうし、悩んでいる方、もしくは迷惑をかけてないかと心配な方がいらっしゃるかと思います。
建物を共有する住まい方なので、多少の音は必ず響くのは仕方ないことではありますが、ストレスなく過ごせたら良いですよね、
今回は、共同住宅における音環境に関して説明をしていきたいと思います。
共同住宅の音を考えるにあたり、要因となる場所を挙げると、
・床
・壁
・窓
・天井
この4点が挙げられます。
こう考えると全てではないかと思ってしまいますが、その通りです。
しかし場所ごとに度合いは違い、上から順に音の響く頻度が高く大きさも大きいと考えられます。
床の遮音
もし床を含む改修工事を行う計画があると、マンション管理組合から遮音等級を満たした施工を要求されます。
床の遮音について今はほぼ必須の項目となっています。
しかし、過去に施工された床ですと遮音等級を満たしてないケースも多々あります。
ちなみに遮音等級とは、床の遮音性能を計る基準でLL-45、LL-40などがあり、この場合数字が小さいほど性能が良いとされます。
マンション規約を見返すと、LL-40等級の遮音性能を満たすことを記載してある場合があります。
床の遮音は打撃音に対しての処置であり、当然足音も含みます。
この等級を満たしても完全になくなるわけではありませんが、まずはこの性能等級が現在どうなっているかの確認が大切です。
壁の遮音
各世帯ごとの境界は防火の観点から区画されており(防火区画)、それを構成する壁は不燃の材料を用います。
マンションの場合だとコンクリート、古めの建物だとコンクリートブロックとなります。
大きい音だと聞こえてしまうかもしれませんが、通常の生活音はほとんど聞こえないでしょう。
もしそれでも聞こえたり、大きな音への対策をするとなると、区画壁の内側に更に壁を構成して、壁の内部にグラスウールなどの吸音材を施すことで緩和されます。
ただし、打撃音に対しての対策はあまりありません。
※壁は通常叩かないので。
窓の遮音
窓は外部からの音を緩和することが求められます。
ガラス面に遮音シートを貼る(※貼る際には管理組合の確認が必要だと思います。)ことやインナーサッシ、より性能の良い防音サッシを取り付けること、カーテンを遮音に有利なものとするなどが挙げられます。
基本的には窓の交換は難しく、何かを加えて遮音する方法が実施するのに現実的かと思います。
天井の遮音
躯体現しでは施せるものはありませんが、造作天井があれば天井裏にグラスウールを入れて吸音したり、天井を作る際に防音シートを施すことで対策が可能です。
各所での一般的な遮音対策を説明しましたが、やはり通常のマンションですと少なからず音は伝わってしまうものです。
音への対策はやりすぎくらいやっても完全に遮断されるレベルになることはありません。
もちろんレコーディングスタジオのような特殊な防音室であれば話は別ですが。
小さいお子さんがいればどうしても音が出やすくもなりますし、わざとでなくても大きい音を出してしまうこともあるかと思います。
古いマンションなどの場合、説明した内容を実施すれば緩和することも可能ですが、共同住宅に住む以上ある程度許容する心で、あまり神経質にならないことの方が過ごしやすくなるかもしれません。
音を気にしすぎてストレスを感じるより、共同住宅のメリット(眺望・設備・メンテナンス・セキュリティなど)を得られていることも事実です。
ただし、もし近隣で明らかに騒音を発生させている方がいたらご自身で解決しようとせず、管理組合に相談して注意をしてもらいましょう。
それもまた共同住宅のメリットです。
共同住宅の特性を理解し上手く使いこなしていくことで、快適な環境を整えてもらえればと思います。
では、また。