生活の建築知識.78
おはようございます。
ホームセンターで多くの建材が納入しやすくなる一方、どうしても扱いにくいものとして金属があると思います。
木材とは異なり、加工が難しく使用用途もわかりづらいこともあると思います。
加工の難しさはプロにとっても同じで、現場での加工も出来なくはありませんが、やはり精度が落ちることや適した工具も少ないため、基本的には工場で加工をするようにしています。
ただ、建築の現場において金属は性能として優秀であり、木材一辺倒の仕上がりに対しても程よくアクセントとして利用出来ることから重宝されることがあります。
重宝するため、その金属自体の仕上げ方などにもこだわりを持つ設計事務所もあり、面積的には小さい金属であっても非常に意匠的な計画をすることも可能です。
今回は気にすることはほぼないでしょうが、金属の仕上げ方について説明していきます。
鉄
前回の記事でも少し触れましたが、鉄は非常に酸化しやすく、素地のまま使用するということはほぼありません。
何かしらのコーティングを施すのですが、クリア塗装をすると鉄の表情を出しながら仕上げることが可能です。
特に近年は黒皮という酸化被膜に覆われた鉄が採用されることが増えました。
黒皮はただ黒いだけでなく、少し灰色(アッシュ)っぽさもあり、さらにその濃度にムラがあるため無骨な印象もあります。
アルミ
アルミというと水にも強く外部などでも利用できる金属と思われる方がいるかと思います。
外部で利用できるに関してはその通りですが、実はまだアルミは非常に酸化しやすい金属です。
空気に触れたらすぐに酸化をすることで、表面に膜を形成し、その膜によって守られることから外部においても利用できる性質があります。
ですので私たちが目にするアルミは、実は酸化アルミ(アルミナ)です。
アルミナを削ったりすれば、アルミが出てくるわけですが、すぐに酸化してしまいます。
このため、アルミはあまり仕上げにパターンがない材料と言えます。
アルミは多くの場合、塗装で仕上げることが多いと言えるでしょう。
※アルミへの塗装は適切な処理を施さないとすぐに剥がれてしまいますので、安易に実施しないよう注意してください。
ステンレス
ステンレスもアルミ同様、水に強く外部利用も可能な金属です。
アルミと決定的に違うことは、酸化しづらいことです。
比重も大きく、強度もあるため加工するのは大変ではありますが、性質だけを考えればスレンレスは多くの仕上げ方が可能な金属と言えます。
ステンレスで最も一般的な仕上げ方はヘアライン仕上げです。
ヘアライン仕上げとは、一方方向にのみ表面を研磨して、細い筋を付ける仕上げ方です。
研磨跡を残す方法としては、バイブレーション仕上げもあります。
こちらは、円弧をランダムに描きながら表面に研磨跡をつけていきます。
最初からランダムに模様があることから、ちょっとした傷なんかでは目立ちにくいのが特徴ですが、バイブレーション仕上げはクライアントより設計者に好まれる傾向があります。
ステンレスという金属でありながら、筋が多いことで、艶感が抑えられ落ち着いた印象があることや独特のムラ感が意匠的にも好まれます。
その他仕上げとして、ポリッシュや鏡面といった筋を残さないで艶を出すことも可能です。
その艶の度合いによって呼び方が変わります。
もちろん塗装で仕上げることも可能で、バリエーションを選べるところがステンレスの良いところでしょう。
デメリットとしては、やはり高額なことでしょう。
材料自体が高いことに加えて、バイブレーション仕上げなどは仕上げに手間を掛かるため、高額な製品となります。
あまり容易に選定出来るものではありませんが、システムキッチンの天板などでも選べるシリーズも出てきているため、グレードを上げて使ってみたいとお考えの方はこちらをおすすめします。
真鍮や銅板であってもそれぞれ仕上げ方があり、ここにこだわると非常に、玄人感も出てきて他の人と差を出したいと思うわれる方は、是非金属の仕上げに目を向けて頂ければと思います。
あまり面積的には大きくなることも少ないですが、ちょっとした印象で空間に締まりが出たりします。
気になる方は店舗などで金属がどのように使われているか見てみたらいかがでしょうか。
では、また。