
生活の建築知識.49
おはようございます。
建築の仕事をしていますと、図面を読めなくてはなりません。
内容にもよりますが、図面の記載情報は契約内容にも当然関係があるため、細かく記載がなされます。
また図面には縮尺があり、その縮尺によって描ける内容も異なってきます。
それゆえに図面の枚数は時に膨大になるため、全てを読み込むことはそれなりの労力が必要となります。
それと合わせて、図面を描く能力も必要となります。
契約内容を反映させながら、各業者にしっかり伝わるものでなくてはなりません。
図面の描き方には、ある程度決まった形式がありますが、実際には伝わることが最優先でありルールはありません。
誤解を与えず、瞬時に内容が伝わる図面が良い図面です。
口で言うのは簡単ですが、実際にはかなり難易度が高い作業だと思います。
今回はそんな図面に関して説明をしていきます。
先にも述べましたが、図面は契約に関わる大切な資料です。
そして各業者とのコミュニケーションツールでもあります。
さらに最終的にはクライアントにプレゼンを行うための資料にもなります。
クライアントにとって図面を読み込むことはかなり大変な作業だと思います。
図面にどこまでの内容が記載されているのか、どこに何の情報が記載されているのか、図面が何を表しているかを判断するのは、おそらく説明がないと無理だと思います。
そんな複雑極まりない図面を作業段階で分類していこうと思います。
まず物件に対して一番最初に出てくる図面が、計画図面です。
計画図面は、設計者が物件の計画をするにあたって製作する図面であり、この作業を計画設計と言います。
計画図面の段階では、必ずしも詳細に関して全ての記載をする必要はありません。
物件のボリューム感や全体の構成、構造的な整合性や周辺との関係を検証することが主な役割となります。
もちろん必要に応じて、設備関係の必要性も計画図面をもとに検証していきます。
この検証が進むと、今度は実施図面が製作されます。
この段階も設計者が中心に進めることになり、この作業を実施設計と言います。
実施設計ではすでに検証した概要を反映させると同時に、詳細に関しても検証がされていきます。
使用する仕上げ部材や設置する設備品番、それらの能力に関しても検証をすることになります。
それらの検証が終わり、とうとう最終の実施図面が完成され契約となります。
この段階で、おそらく構造図や各設備図も揃うことになります。
配置図・平面図・立面図・断面図(矩計図含む)・展開図・仕上げ表などと各構造図・電気設備図・弱電設備図・衛生設備図・空調設備図・ガス設備図を含みます。
※設備に関しては統合することもあります。
平面図・展開図などはフロアが多かったり、壁が多ければかなり大量の資料となります。
さらに図面はこれだけでは終わりません。
ここから工事がスタートすることになれば各施工図面が製作されます。
施工図は設計者が描くこともありますし、多くは各施工業者が製作します。
あくまで、各業者間の指示資料であればクライアントは目にすることがないかもしれませんが、家具・建具・詳細な造作などであれば、おそらくクライアントにも渡す資料となりますので、かなりの詳細さで記載がされます。
ここまで出揃うと概ね網羅していると思います
ちなみに設計図は1/10〜1/1000程度の縮尺で多くは製作され、施工図は1/1〜1/10程度の縮尺で製作されることが多いと思います。
図面はCADというシステムのソフトを利用してパソコンで製作されるのですが、その熟練度ははっきり言ってマチマチです。
会社や個人によって大きな差があり、思いっきりその実力は図面に反映されます。
極論、最終成果物は建築物であって、図面を理解・伝達する能力の方がよっぽど大切です。
とは言え、ただでさえクライアントにとってはわかりづらい現状を踏まえると改善されるべき事柄ではあります。
実際に図面作成は難しいので、CADオペと言われる図面作成の専門職もあるほどです。
最近では、そういった専門家にアウトソーシングもしやすくなったので、良い時代になりました。
上手く描けなくても見やすい図面をクライアントに提出出来ることが何よりも大切です。
初見では理解することも難しい面がありますが、綺麗な図面は丁寧な仕事に確実に繋がります。
図面が綺麗かどうか、見やすいかどうかを業者選定に活かせればより良い住まいが獲得出来るかもしれませんので、参考にしてみてください。
では、また。