買い方・売り方
こんにちは。
普段の買い物の仕方は、ここ10年ほどで大きく変化したことを誰もが実感しているのではないでしょうか。
私も漏れなくスマホでポチッと買い物することが多くなりました。
しかも欲しいものはSNSで見つけたら、その場でポチりです。
決済方法も現金やクレジットだけでなく、電子決済が当たり前になり、未だに現金だけで生活しているのは不都合が多いように思えます。
今後、以前の買い物の仕方に戻ることはなく、むしろより利便性の高い方法が次々に登場するのは想像に難くありません。
ファッションにおけるビッグシルエットの流行について、まだまだ終わらないという話を拝見しました。
理由としては、あまりにも現代の買い方とマッチしているからだということです。
タイトシルエットであれば、サイズ感をしっかり合わせないとスタイルとして成り立たなくなることもあり得ますが、ビッグシルエットであれば多少サイズ感の不一致があったところで、それほど気にすることでもないということです。
ファッションの流行については、無知なのでそれほど分かりませんが、買い方とのマッチに関しては非常に合点がいきました。
あらゆる分野でネット購入が主流になりつつあり、実店舗を必ずしも設ける必要は無くなってくるでしょう。
また、仕事ですら外に出る機会が減ったことを考えれば、外での買い物をしてもらう機会も当然減ることが考えられます。
わざわざ実店舗に来て買い物をしてもらうことはハードルも高く、単独の理由だけではなく複数の理由を用意することが必要になってしまうかもしれません。
商品自体がウェブサービスや物質でなければ、実店舗であるは必要性はないかもしれません。
先ほどのファッションであっても、種類や場合によってはウェブ上で完結出来るという可能性は多いにあり得ます。
一方で建築は物質でありながら店舗での販売にあまり意味がありません。
展示会のようにハウスメーカーが実物を仮に建ててしまう場合もありますが、それをそのまま実施するわけではありません。
また、マンションであれば内覧が可能になりますが、それは実質不動産業であるため、建築とは別となります。
建築物を購入するとなると、図面を基本としたパースや模型を元に契約に至ります。
実物が完成してから売ることはほとんどなく、実物がない以上店舗を設ける理由もあまり感じられません。
実際、建築の場合では店舗ではなく事務所です。
そして多くの販売がハウスメーカーか不動産を介してとなります。
しかし、クライアントに直接販売することも決して少なくありません。
そうであるにも関わらず、買い物の仕方に変化が生まれ、プレゼンのための技術も進化していますが、パースの一枚でもあればまだマシというのが建築の売り方なのは、かなり不思議と言わざるを得ないでしょう。
これは私の肌感ではありますが、クライアントがそれなりの建築に対する教養を持ち合わせていないと、購入は非常に難しいのが昔からの建築商品の売られ方だと感じます。
はっきり言えば、高額な商品となるため買う側だけでなく、売る側にも大きなリスクが伴います。
そのための予防線という側面もあるように思いますが、原材料の高騰や人手不足は、建築分野においてまさに死活問題であり、産業自体の力が小さくなりかねない事情となり得ます。
そもそも売ることが難しいのはしょうがないとしても、時代の変化により多くのサポートが可能にはなりました。
もちろんそれを活用・発展させる動きはありますが、まだまだ他産業と比べると微々たる動向と思えます。
これほどクライアントに合意を得やすい環境がこれまではありませんでした。
しかし、それを活用しないため今でも合意は得にくい実情があります。
潜在的なクライアントの要望を引き出すことこそが建築家の美学でもありましたが、積極的に選択肢を提示することもこれからは必要であり、その際に何を考えながら行動するのかを探りながら売る努力が現代では大切だと思います。
新しいとまではもはや言えませんが、今の時代にマッチした売り買いが実現することを願うと同時に、自身もそのことに注力していきたいと思います。
では、また。