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生活の建築知識.9

おはようございます。

仕事をする上で日頃から多くのクライアントと接することがあり、そのやり取りの中でInstagramやPinterestを見せてもらい、こんな感じにしたいという方がここ数年増えました。
このやりとりをする時、美容師さんってこんな感じなんだろうか?と毎回思ってしまいます。
ほんの10年前まではこんなやり取りはほとんどありませんでした。
大量の情報がまさに民主化した成果なのだと思いますし、そのおかげでカジュアルに建築にアクセス出来るようになったことはとても良いことだと感じています。

これまで建築の情報は建築家・ハウスメーカー・不動産屋から提供される情報くらいでした。
近年ではリノベーションに特化した企業もあり、そちらからの情報もありましたが、それでも詳細な情報は少なく、詳細な情報であってもわかりづらかったように思えます。
まだまだファッションやグルメなどと比べると情報は少なく、コスト面でも気軽さはないかもしれませんが、これからさらに開かれた市場になっていくことを期待しています。

そんな中YouTubeなどの動画を参考にしてDIYをされる方も増え、それを動画にしている方もいます。
ホームセンターやネット販売でも工具や材料を手軽に買える環境が整ったことも理由だと思います。
しかしDIY動画を見ていると、たまに怖いなと感じる瞬間があります。
仕事柄、安全にはどうしても目を配ってしまうことや、実際に怪我をしたという話はよく耳にします。
幸い私の周りでは大きな怪我人を出したことはありませんが、危険が多い建築現場では常に注意が必要です。

今回はDIYなどをするときに、危険性が高いと感じる内容を紹介し、いざDIYを行う方は参考にしてもらえればと思います。

解体

古い家屋などを解体することから始める動画をよく目にします。
しかし解体作業は非常に危険が多く、実際の解体業者の人たちは怪我をすることも少なくありません。
解体を進めると釘やバスが露わになる瞬間があります。
この状態はやはり危険で、それらに肌が擦ってしまうだけで切れてしまいます。
なるべく肌を出さない格好をすることが建築現場でも推奨されています。
また、設備配管は見えない部分に施されています。
排水管ならまだ良いですが、給水管は損傷させると水が吹き出します。
水道メーターの近くに止水用のバルブが必ずありますので、これを閉めてから始めなくてはいけません。
配管ではガス管にも要注意で、こちらも損傷させるとガスが放出します。
当然吸い込みすぎは人体に影響がありますし、火器があると爆発のおそれがあります。
これもガスメーター付近にバルブがありますが、最寄りのガス業者(ライフバルなど)に閉まっているか確認してもらうことが確実です。
さらに、解体箇所にアスベストが施されている可能性があります。
古い物件ほどその可能性は高く、断熱材・浴室・キッチンなどに多く存在します。
これに関しては絶対に手を出してはいけませんが、厄介なのは見た目に判断することが難しいことです。
浴室などの部材の裏側にはアスベストを利用したマークが記されていたり、年代を調べてアスベストを利用していた期間が建材メーカーから発表されています。
それでもわからない部分は多く、プロは見た目で危ない可能性があると判断したら、もう触らないか、工期を変更してでも適切な処理を行うようにします。
実際には他にヒ素入り石膏ボードなど危険な建材が過去には使われていました。
見た目にわかりづらく、すぐに人体に影響が出るわけではなく、後から甚大な問題になる可能性があります。
壊しやすそうに見える古い物件こそ、解体はプロに任せた方が安全です。

造作

造作をするにはどうしても鋭利な工具を利用しなければいけません。
電動工具の丸鋸を利用する際には要注意です。
丸鋸は安全カバーが付いているので、ちゃんと使えば基本的には怪我しませんが、怪我をしてしまった時は大怪我に繋がります。
丸鋸を使う時は多くが木材の裁断になるでしょう。
裁断する木材はしっかり固定しなければまっすぐ切ることが出来ませんが、手でしっかり押さえていると非常に危険です。
誤って指を怪我してしまいますので、クランプなどを利用して固定し、手の安全を確認して行いましょう。
またアルミなどの硬い材質でも丸鋸の刃を交換すれば切れますが、その時は破片が飛び散ることがあり、目に入ると大変危険なので確実にゴーグルをかけて実施してください。
破片を避けるように目を逸らしながら切るのはもっと危ないのでやめてください。

仕上げ

これは仕上げに限りませんが、脚立を利用して高所の作業をすることがあります。
実は脚立からの転倒での怪我は非常に多く、床面に危険なものがあると落ちた高さが高くなくても怪我に繋がります。
脚立の足をかける面積は小さく、とても不安的な状態で作業をすることになります。
無理な体勢は絶対に避けて、面倒でも脚立の位置を細かくずらしながら作業してください。

その他

実際の建築工事でもカッターをよく利用するのですが、それも怪我の原因として非常に多く聞きます。
最近ではカッターで部材を切り、組み立てることが出来る建材も多いですが、どこまでいっても建材は硬く、力任せに切ろうとすると指を怪我したり、足に刃が当たってしまいます。
カッターで切る時は一度で切ろうとせず、何度もなぞるように刃を入れてください。


実際にはまだまだ紹介しきれないくらい危険な作業はありますが、なによりせっかくDIYをされているので、怪我だけはせずに楽しく終えてもらえることが一番良いと思います。
そんなことで怪我するのかとご意見ある方もいるかと思いますが、なんてことない作業こそ多くの怪我の原因となっています。
また没頭しすぎると、つい周りが見えなくなってしまうものです。
ましてや慣れない作業であれば尚更なので、落ち着いた環境で、正確な情報を得てから確実に行なってもらえることをお願いします。

これからも少しずつですが情報を発信していますので、参考にしてみてください。

では、また。

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