アメリカの銀行口座開設ボーナス、その魅力と大いなる落とし穴!!!
米国には銀行口座開設ボーナスという金の成る木がある。陸マイラーの方にはクレジットカードの入会ボーナス(数百ドルや千ドル以上の価値があるマイルやポイントをくれる)が有名だが、実は同様に銀行口座を開設すると数百ドルの現金(キャッシュ)をくれるという夢のような話がある。
今日はその夢のような話と、夢破れた者が落ちていく落とし穴について。
新規顧客向けの魅力的なオファー
米国では新しい顧客を引き付けるための「口座開設ボーナス」という銀行の広告を時折見かける。見かけるというか、これを提示してない銀行はないんじゃないかというレベル。これは、新しく口座を開設すると、銀行さんから数百ドル~数千ドルの現金ボーナスがもらえるというもの。
例えばこういう広告 (日本円換算で7万円以上!)
どこからそんなお金が?
ボーナスは通常、銀行のマーケティング予算から支出され、この予算は顧客獲得コストの一部として計上され、長期的な顧客関係から得られる利益を見込んでいる。
たとえば、ある銀行の普通口座(Checking)には最低預金金額と月額手数料というシステムが設定されている。最低1500ドルの預金が必要で、残高がこれを下回るとメンテナンスフィーと呼ばれる月額6.25ドルの手数料を徴収される。当然、6.25ドルを毎月ドブに捨てるのは癪なので、顧客は1500ドル以上の預金をしている。すると銀行は顧客の預金を投資に回して収益を上げるのだ。特に金利が高い今では、1500ドルを年利5%の国債に投資するだけで、銀行は年間75ドルの利益を確保できてしまう。月額に割ってみるとあらま6.25ドル。どっちに転んでも銀行は年75ドルは確保できるという仕組み。顧客が一生涯その銀行を使い続けてくれれば数千ドルになるよね。
これがいわゆる金の成る木の正体か。
当然これ以外にもATM利用料や振込手数料やら、ローンの利子、その他のサービスから徐々に収益を得ている。
なお、上記のウェールズファーゴ銀行の広告でうたわれている$525の入会ボーナスは、最低預金額はたったの300ドルなのだが、開設後の90日間は最低25,000ドルの預金残高が入金が条件となっている。90日間で2.1%の利息。全然アリだよね。
投資としての顧客獲得
そんな訳で、口座開設ボーナスは銀行にとっては顧客を獲得し、継続的な収益を得るための投資なのである。銀行口座なんてそうそうに解約しないものだから、顧客が長期間にわたって銀行と関係を持ち続けることで銀行は潤うのだ。
だから、現金ボーナスは詐欺でもなんでもない。
貰えるものは貰った方がよいのだ。
じゃあ、たくさん貰いたいよね?
新規口座を開設しまくってみた!
わたしは昨年、US BankとChase Bankで新規口座を開設して500ドルを入会ボーナスとしてゲット(預金残高に銀行が入金してくれます)。そして、先日新たに200ドルの入会ボーナスをオファーしているオンラインバンクを開設。これは90日後にもらえる予定。
ふぉっふぉっふぉっ
株や信託より少し手間はかかるがリスクゼロじゃん。
さらに、一昨日Bank of Americaが300ドルの入会ボーナスを提供しているのを見つけ、4つ目となる銀行口座の開設を試みた。
あ、そうだ、その前にもうほとんど使うことがなくなってしまったUS Bankの口座を解約して、そこに入れっぱなしにしてある1500ドル(最低預金額)を下しておこう。これがBank of Americaの口座開設に使いまわせるからね。
解約手続きを調べたところ、支店に行くか電話で申し込むか、レターを送るかの3択だった。とりあえず、電話した。
ドキドキ・・・
解約理由聞かれたり、引き止められたり、説得されたり、ラジバンダリするのかな・・・
あれ?本人確認だけであっさり解約が完了した。理由は聞かれないし、なんてことはない。余裕である。
これで1500ドルが帰ってきたのでバンカメで開設してさらに300ドルを貰うのだ。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
しかーし!なんと新規開設の申込みが断られてしまった!
えええー!お断りなんてされんのかよっ!
新規口座申込の裏側(落とし穴!)
これは納得がいかない。なんでだろう。
理由を調べたところ、過去1年間に新規口座申込をした回数や、口座開設していた最長期間、口座解約した数などが影響していることがわかった。米国では「預金口座スコア」という、クレジットカードスコアに似たシステムが存在する。入会ボーナス目当てで短期間に口座開設と解約を繰り返すと、新規開設が難しくなる仕組みがあったのだ・・・。
なんたる落とし穴・・・ブラックリストやんか。
解約しなくとも、一定期間内に開設可能な銀行口座の数も決められているのかもしれない。
しかも、米国の銀行口座は一定期間(2年間)お金が動かないと(1,500ドルのまま何もしないと)、どうやら凍結される模様。3年で州に預金が移管されてしまうらしい・・・
まとめ
米国の銀行は、新規顧客獲得のための入会ボーナスをエサに、最低預金額と月額手数料、そして賢い投資戦略を使って収益を上げている。しかし、ボーナスを目当てに短期間での頻繁な口座開設と解約は、新規開設の機会を失うリスクがあることも覚えておきましょう。
アメリカの銀行システム、興味深し!