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【2024年版】詐欺で爆損しないように振り返り(暗号資産編)

こんにちは、日本爆損防止委員会です。

当会は、ここ数年でにわかに盛り上がりを見せる株・暗号資産・FX等の金融取引により、取り返しのつかない爆損をしてしまう人を無くすことを目的とし、発信活動をしています。

昨今、詐欺があまりにも日常に溶け込んでいます。このアカウントとしてはX(旧Twitter)を有していませんが、筆者TLにもDMにも詐欺と思しきものが溢れています。InstagramやTikTokもそうでしょう。

詐欺に遭うと、築き上げてきた金融資産が一気に無に帰するのみならず、まんまと他人の悪意の犠牲になった自分に対し、ひどい悔しさや憤りを覚えます。それで自殺してしまう人もいます。お金だけでなく命も無くしてしまう…これ以上の爆損はありません。

本稿では特に去年(2023年)に起きた大きな詐欺を振り返り、今年、詐欺に合わず安定した人生を送るための準備をしたいと思います。

特に本稿では、暗号資産詐欺に焦点を当てます。


暗号資産詐欺

FTX


FTX

騒動自体は2022年ですが、暗号資産取引所FTXの創業者であるSBF (Sam Bankman-Fried) が詐欺罪で逮捕されたのが2023年の11月ですので、有名だとは思いますが一応振り返っておきます。

イメージ作り中のSam Bankman-Fried

SBFは米国の名門大学であるMITを卒業後、インターン経験のあったトレーディングファーム、JaneStreetに就職。2017年に辞めてからは、米国と日本のBitcoinの価格差を利用した取引で大金を稼ぎ、2018年に暗号資産取引所FTXを創業しました。

当時は暗号資産バブルであり、FTXは世界有数の暗号資産取引所として世界中のユーザーに使われていました。SBF自身はForbes 30の表紙を飾るなど、「MIT卒の天才オタク、世界一利他的な金持ち」などとしてメディアにも愛されました。

実際は、FTXがロビー活動や著名人を使ったプロモーションを積極的に行っていたように、その対外的なイメージは作られたものでした。FTXの運営は透明度が高くルールを遵守していると謳っていながら、実際は、SBFや親しかったCaroline Ellison、そして彼の大学仲間が顧客の資金を好き放題できるようになっていたようです。

顧客のお金を自分たちの個人的出費に充てたり、リスクの高いトレードに使ったりしていました。なお、Carolineらが顧客のお金を吹き飛ばしながらも、SBFは素知らぬ顔でメディアに出続け、FTXの宣伝を続けていました。

2022年11月、FTXの資産のほとんどが無から作られた流動性の低い暗号資産であることが発覚。顧客はパニックになりお金を引き出そうとやっきになりましたが、ないものは引き出せません。SBFは「顧客資金には手をつけていない。全ての引き出し要請には対応できる」などと嘘をついて時間を稼いでいましたが、ほどなくFTXは崩壊しました。

嘘をつくSBF

逮捕後の調査により、SBFは100億ドルもの顧客資金を私的に流用したと言われています。

SafeMoon


SafeMoon


SafeMoonは2021年、暗号資産バブル時に生まれた「To the moon(月まで痛達するような大幅な価格上昇)が確約された」プロジェクト ("Safely to the Moon")でした。FTXに比べれば無名ですが、こちらもChapter 7の破産宣言をし、創業者の逮捕 (23年12月)という結末は一緒です。

創業者はBraden John Karonyという、2015年から2021年まで米国防衛省で分析官を務めていた人間でした。SafeMoonを設立後、自分たちのトークンを西アフリカのガンビアの法定通貨にしようとしたり、SafeMoonトークンで買い物ができるデビットカード(ただし手数料が2.5%かかる謎仕様)を作ろうとしたり、暗号資産取引所を作ろうとしたりしました。

SafeMoon team

SafeMoonのトークン (SFM)自体には当初(あらゆる暗号資産がそうですが)何もユーティリティがありませんでした。Transaction feeを10%徴収し、その半分をユーザに還元、残りをBNBチェーンの「ロックされた」流動性プール (liquidity pool)に入れるという設計で、一時は著名人を使ったプロモーションの効果もありトークン価格はなんと2万倍以上にもなりました。

一転、2023年はSafeMoonにとっては受難の年となります。3月にハッキングをくらい、900億ドルがハッカーに盗まれ、トークン価格が暴落しました。11月、SEC(米国証券取引委員会)は創業者のBraden John Karonyら3人を詐欺とマネーロンダリングの罪で起訴しました。12月にはSafeMoonは破産、解散となりました。起訴された3人のうち1人は未だ逃亡中です。

何が罪に問われたのでしょうか?

SafeMoonではTransaction feeの半分をユーザに還元、残りを「ロックされた」流動性プールに入れるという話でしたが、実態としては、流動性プールはロックされておらず創業者らのポケットに入っていました。やはり、高級車を買ったりリスクの高いトレードするのに使われたそうです。

暗号資産詐欺からの学び

おそらく暗号資産詐欺は小さいものも含めればもっとたくさんあったのだろうと思いますが、2023年に米国のヘッドラインを飾った2つを今回紹介しました。特に、FTXは巻き込まれた人も多かったのではないでしょうか。

紹介した2例はいずれも運営団体が破産し、創業者一味が逮捕されています。ユーザは大金を失い、プロモーションで起用されたインフルエンサーは一斉に訴えられています。結果的に、関わった人は全員爆損です。

どうしたら我々はこういった暗号資産詐欺とは無縁に生きていけるのでしょうか。

一番安全なのは、当たり前ですが暗号資産に触らないことです。暗号資産と関わらなければ面倒なことに巻き込まれません。オウムや統一教会の行いを見て、新興宗教には入らないと心に決めている方も多いでしょう。それと一緒です。

一方で、暗号資産関連市場は株式市場などと比べるとまだ歴史が浅く未熟です。市場が未熟だと参加者も未熟になってしまうのか、「落ちてるお金は拾う主義w」「(エアドロ期待で)お触り案件w」「養分w」「お猿さんw」などとちょっと品性を疑う言動がバブルのときは散見されました。そのように一部のおじさんの脳が溶けるくらいはボラティリティが高かったので、短期トレーダーにとっては魅力的な市場ではあるのでしょう。板取引ですし、相手も機関投資家ではなく個人であることが多く、データ取得や発注APIも整備されているので、ある意味既存の市場よりも個人参加者にフェアです。

ただ、暗号資産取引をするということは、基本的には

  • ヨクワカラナイ暗号資産取引所に日本円か暗号資産にした資産を預けている

  • ヨクワカラナイチェーンに暗号資産にした資産を置いている

  • ヨクワカラナイwalletに暗号資産にした資産を入れている

ということかと思うので、FTXやSafeMoonを本当に教訓にするなら、メルカリでちょっとBitcoinを買うくらいにしておいた方がいいのかもしれませんね。詐欺で奪われた我々の資産がミサイルになって返ってくるようでは、本当に目も当てられません。ゲームに参加するならそのルールを完全に理解してから、そして、自分のお金は人に預けず自分で管理しましょう。

もう1つは、Get-rich-quick schemesを疑うことですFTXもSafeMoonも、あの手この手でなるべく多くの利用者からなるべく多くのお金を自分たちのところに集めようと必死でした。
そこで利用されたのが、Easy moneyだと匂わせる、つまり自分たちにお金を入れればすぐ金持ちになれるぜというGet-rich-quick schemeのプロモーションです(SafeMoonはプロジェクトの名前そのまんまですが…)。
このget-rich-quick schemeには5つの特徴があります。

  • リスクが(ほとんど)ないのに短期間でお金が儲かると謳っている

  • 勧誘が激しい(リファラルリンク、プロモコード、押しかけ、など)

  • スキームの詳細は教えてくれないのに、とにかくすぐ参加するように求められる

  • 省庁などの権威ある公の機関から認定を受けていない

  • 実際にお金を儲けている一部の参加者の証言をプロモーションに多用

暗号資産に限らず、このどれかに引っ掛かっている勧誘を受けたら、「ん?」と思ってください。

今回取り上げた暗号資産詐欺だけでなく、詐欺は爆損の元です。企業詐欺、公金詐欺についても次回以降、取り上げたいと思います。

2024年、今年は貴方が暗号資産で爆損しないことを願って、筆を置かせていただきます。ここまで読んでいただきましてありがとうございました。

出典

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