65日目 もやもや日記「闇の温度」
今日も一日お天気が良かった。
同居人の小さなクモは窓際に移動していた。
晴れていても、もやもやする日というのはあって、今日は何だかそんな日だった。
もやもやする日は頑張っていない日かというとそうでもない。どちらかというとよく頑張ったのにイメージするところまで届かなかったことに早々に気づいてしまい傷ついているような日だ。
もやもやついでに人の闇を思う。
インターネットを使っているとふいに知らない誰かの闇が漂流物のように流れ着き、コツンと自分の肩をかすめてまたどこかに流れ去っていくような、冷やっとする瞬間がある。
私は人の闇そのものは怖くない。なんとも思ってないせいか、むしろよく闇を開示される。
さっきまで仲良く飲んでた人がふいに思いがけない顔を見せたり、初めて会った人に実は、と打ち明けられたり。
闇はその人の一部だからそんなに怖くない。かわいこちゃんの眩しい笑顔を発見した時と同じ程度にはドキッとするけど、ああ、こんな一面を持った人なんだな、とすぐその人のイメージに統合されてゆく。
本人が自覚していて、普段は他者には意図的に隠していて、たまたま気が向いたから開示してくれた、という種類の闇はほとんどねじれがない。
ネット上でふいに接してしまう闇はその逆だから怖い。
本人からは見えないように隠されていて、それでいて他者からは丸見えなので、強烈な違和感を覚える。
自分の価値を他者にあけ渡して、ネット上のカウンターでそれを計ろうとするほどにねじれは大きくなっていく気がする。でも、今、同じような(悪)夢を見ている人が大勢いるから、意外とファンが憑いたりなんかして。
虚しさの手触りから逃げない人が、居酒屋でぽろっとこぼしてくれるような、練られた体温のある闇の方が私は好きだ。
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