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【携帯電話で5題】声が聞きたくて

レンとは最近あまり連絡を取れていない。
向こうの世界でのお祭りがあって忙しいらしい。メールの返信も遅くなっている。
(でもこれじゃあいつ会えるか分からないな)

オレ達は異世界の人間だけど、離れていても繋がっている。それは分かっているんだ。
でもやっぱり一週間程、音沙汰がないのはさみしくなってしまう。
だからこそオレは意を決して電話をかけた。
実を言えばレンの携帯についてはよく知らない。というかちゃんと見たことがない。
電話番号は登録されているはずなんだけど…場合によっては出ないかもしれない。
この携帯電話は魔力を使うもので、かなりシンプルなものだと開発者は言っていた。実際の携帯電話はもっと複雑なんだと。

鳴らす電話の音。すごく緊張するなあ、と思ったらすぐに出てくれた。
『もしもし、テオか?』
「あ、レン!?あ~良かった!生きてたんだな!」
溜めていた感情が出てしまう。
『おお、おい!多忙だったけど俺は生きてるぜ!』
驚いている様子だ。対してこちらはそのおかげで落ち着けた。
「うん、安心した。で、元気にしてた?」
『ああ、元気にしてたよ。テオも元気そうで良かった。いつ電話するか迷ってたら時間が経ってしまったな』
たわいもない会話が数十分も続いた。終わる時は寂しかったけど、声が聞けてとても嬉しかった。
今度はお互い暇なときに会おうな、串間。

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