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チャイニーズホラーの金字塔『霊幻道士』

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1986年 香港制作
監督:リッキー・ラウ
出演:ラム・チェンイン/リッキー・ホイ/チン・シュウホウ/ムーン・リー
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香港ホラーの牽引役

その昔、香港映画ブームというのがありましてな。

火付け役はブルース・リーのカンフー映画。そして次の世代のジャッキー・チェンユン・ピョウサモ・ハン・キンポーから本格化し、ジャッキー主演作品が大手映画館でバンバン上映していた黄金時代。

そのブームの最中『香港ホラー』という新ジャンルが登場したんですな。幽霊やサイキックなどを取り入れつつ、日本や欧米のホラーとはまた趣の違う雰囲気が魅力だったんだが、ここで登場したキョンシーというキャラクターが受けて一つの流れを作ったわけです。

今でもゲームや漫画キャラでちょいちょい出てくるキョンシー

今の子って知ってんのかね?キョンシーは吸血鬼とゾンビを合わせたようなクリーチャー。

基本は死んだ人間ってことでゾンビの類なんだけど、吸血鬼のように牙と爪が生え人を襲う。噛まれた人間も毒が回り最終的にキョンシーになる。

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これだけだと、まあ誰にでも思いつく仕様だが、キョンシーをキョンシーたらしめるのが独特の動作。

死後硬直によって肘膝の関節が固まっているので、両手を伸ばし、飛び跳ねながら移動するという独特の設定。まあこれ真似してみるとわかるけど、肘膝以前に足首の柔軟性ないとできないんよね、この動き。死後硬直っていったい…… まあそういうのは置いといて。

そして面白いのが、道士という職業の人がお札を使ってキョンシーを使役できるところ。

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元々は死体を効率よく運搬するために死体に動いてもらうという原理らしいんだが、お札が取れれば暴走して人を襲い出すいうリスキー過ぎる商売なわけで。

お札次第で敵にも味方にもなる。

この駆け引きのドタバタとカンフーが合わさったテンポの良さが他のホラー作品になく、新しかったんよ。

香港エンターテイメントの満漢全席

キョンシー自体はホラーだが、ジャンル的にはホラーコメディになる。

子どもが初見で見るにはなかなかの怖さなんだけど、当時の香港映画は大筋以外のところにコメディ、お色気、アクションと目いっぱい詰め込むエンタメの満漢全席といった味付けなので万人受けのマイルドな作品になるよ。

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加えて、多少の設定は現場の雰囲気に任せるというおおらかな制作で、キョンシーもいつの間にか普通に歩いたりと自由度が高い(爆)

このゆるさと人命軽視のアクションを是非堪能していただきたい。

いまでもちょいちょい新作が出てる同シリーズ。いまだブームの火は消えていない。


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