世界一周、出発の朝
朝5時のアラームは鳴らなかった
なんでもiPhoneおやすみモードとやらは、音が鳴らないような設定らしいからすごい。今日教えてくれたのがまたすごい。彼女がたまたま時間通りに起きてくれたおかげで助かった。
いつものように2人で仕度をする。今日はなんだか彼女の口数が少ないなと思った。そんな姿から、あー、世界一周かと、実感がわいた。
暗いうちに玄関を出ると、あいにくの雨だった。
空は、暗い。
はじまりは、福岡空港から
チェックインをしていると、受付のお姉さんが驚いていた。こんなチケットは初めて見たとのこと。
世界一周航空券は、すべてのルートを自分で組む。どこに行きたいか、行けるか、どう行くか。地球を一周分繋ぐとなると、長くもなる。
時間がかかったが、旅をなぞるように確認してくれたお姉さんは、なんだか楽しげな表情をしていた。
保安検査場へと向かうエスカレーターでは、彼女が「泣かない!」と涙目。検査を終えて流れてきた荷物は、ズッシリとした重さだった。必ず帰って来ないといけないなと、大きく手を振る彼女に、大きく手を振った。
乳酸菌と、飛行機
トイレで盛大に吐いた。朝飲んだR1が全部出てきた。乳酸菌、仕事できすぎ。
吐くときは大抵、心と身体がおかしくなってる時の拒否反応と思っているので、世界一周に少し、緊張しているのだと落ち着かせた。
JALの黒革のシートは快適だ。しかし、謎に3G回線になり、インターネット接続もなくなった。
成田空港もどうやら大雪らしく、到着が危ういらしいとのアナウンス。国際線の乗り継ぎができず、全部の予定が狂うかもしれない。これはまずい。
窓を見ると、水滴が横殴りにぶつかってきていた。
冒険の夜明け
激しいエンジンと、眼下に広がるもう見慣れてしまった街並みには、救急車のサイレンが瞬いていた。
猛スピードで機体は激しく揺れ、分厚く鈍色の雲を超える。
雲の上は、晴れがまぶしい。
今日僕は、世界一周に出発した。
✈︎
本日の彼女
さびしさ爆発してた
パッキングが得意というかスキです。