パタゴニアの憧れ、パイネのWルートを求めて
パタゴニア南部、湖のほとりの小さな町、プエルトナタレスにいる。道を歩いていると、大きなバックパックを背負った人ばかり。ここには世界中からハイカーが集まる。この街から120キロほど離れている、トーレス・デル・パイネ国立公園をトレッキングするためだ。もちろん自分も、そのハイカーたちの1人になる。
今回の世界一周、このトレッキングが一番の楽しみのひとつにある。準備に時間をかけ、日本を飛び出し、ようやくここまできた。
そしていよいよ明日から、4泊5日のパイネトレッキングがはじまる。
憧れのWルート
今回僕がチャレンジするのは、パイネ国立公園の見どころをWを描くように歩くWルートと呼ばれるコース(響きがかっこいい…)。全長70キロほどの道のりを4日間かけてじっくり歩くというもの。
このマップを見てもらえれば、なんとなく赤色のピンがWを描いているように見えると思う。これを僕は、西から東へと向かうように歩く。一般的には東から西へ向かうのだが、自分はこのトレッキングの象徴である3本の岩峰、トーレス・デル・パイネの朝焼けに燃える姿を最後に見たかったため、通常とは逆のルートをとることにした。
すべてのキャンプ地が予約必須
また別の機会にHow toをしっかり残したいと思うが、このパイネ国立公園には制約がある。それは、宿泊するキャンプ地、山小屋はすべて完全予約制だということ。何ヶ所かルート上の宿泊施設がある。しかし世界的に人気のこのトレッキングコースはこの全てがすぐに埋まってしまう。したがって日程が決まり次第予約をしなければ、この公園に入ることすらできない。ましてや今回でいうと4日分の行程の予約だけでなく、世界一周航空券の兼ね合いなどもろもろが重なり、予約にとても手こずった。(2月上旬に取れたのは、ミラクルであったと思っている。)
その苦労の甲斐あって、もうすぐはじまるこの機会に感情の昂りが抑えられない。ワクワクするとは、こういうことだ。
全員が自然を愛している
この街ですれ違うハイカーや、同じ宿の人もみんなが幸せそうに自分たちの行程について話している。全員がそれぞれの想いを持って、地球の果てといわれるパタゴニアまで来ている。聞こえてくる言葉も年齢もバラバラだが、共通しているのはきっと、自然を愛しているということに間違いはない。
この場所は年間を通して厳しい環境で、農耕よりも漁や狩猟を行ってきた。人類の歴史でいうなら、ホモ・サピエンスがアフリカにはじまり、世界を旅して、最後に訪れたのがこの地域とされている。そんな彼らの時代からきっと、この場所も自分たちもあまり変わっていないのではないかと思う。
山に入ればネットも繋がらなくなる。ワープできるはずもなく、自分の足で歩く。自分の荷物は、自分で持つ。ゆっくりでも、一歩一歩進むしかない。
デジタル化や都市化、情報化が急激に進歩した。しかし人類の歴史をもう一度紐解くなら、きっと我々の先祖たちから、その基本機能(二足歩行、手先が器用など)はあまり変わっていない。自然の中に身を置くことは、文字通りごく自然なことなのだと思う。少なくとも僕のDNAは訴えている、"自然に還れ"と。笑
プエルトナタレスの街はやけに静か
波打ち際には、錆びついた船が打ち上げられていた。
鳥たちは静かに魚を啄み、野良犬はじっとこちらを見つめている。サッカーボールを追う子どもたちの声が街に響くと、寒さに震えて真夏を疑った。パタゴニアは嵐の大地とも言われている。風が強い。桟橋は朽ち果て、人間への役割を終えていた。
スーパーでスペアリブを買った。ワインやジャムなどに漬け込んでいる。思う存分、大自然の中でかじってやる。
憧れのパイネのWルートを求めて、ここまで来たのだから、楽しんでやり遂げたい。帰ってきてまた、noteを更新するのがとても楽しみ
パッキングが得意というかスキです。