ワインの街で、桃がぶどうになった話
アルゼンチンに入った。
メンドーサという、ワイン(マルベックが美味しい)が有名な、街路樹が美しい街だ。ワイナリー巡りも考えていたが、予想だにしないイベントに巻き込まれることになったから、旅はたのしいなと。
ストリートは街路樹が続き、故郷仙台が浮かぶ
年に一度のワインの収穫祭
もうバスは疲れたので、歩こうと思い街に出ると、メインストリートからどんちゃん騒ぎが聞こえる。カーニバルのような雰囲気だ。
メンドーサ中の人がいたと思う。道を挟んでたくさんの人が並び、真ん中をいろんな団体が思い思いのダンスや、音楽を楽しそうに奏でていく。
色とりどりの衣装に、馬子にも衣装が可愛すぎる。
メンドーサではこのワイン収穫祭はとても重要で、ベンディミアという大きなお祭だ。メンドーサを構成する18の地区が一緒になって、この日をお祝いする。市内の特設ステージからはタンゴやラテンの音楽が激しく聴こえて来る。
こんなワインの収穫祭があるだなんて知らなかったので、ワイナリーツアーとかに行かずにぶらぶらする選択をしてよかった。現地の人に混ざって、一緒に楽しむことにした。
街はお祭り騒ぎ。しゃぼんだまも祭りを彩る。
街の子どもたちにとって大切に意気込んでいるのは、メインストリートを通るバスから投げられるお菓子や、フルーツなどをキャッチすることだ。日本でいう、餅まきのようなイメージ。
たくさんの子どもたちが、棒にバケツを装着させた武器を構え、バスが来たら近くへとその手を伸ばしこのバケツに入れてもらう。このバケツ以外には、綺麗なお姉さんたちがこれでもかとたくさんのフルーツをバスの上から投げまくる。
こんな感じのバスが、50台くらい来る
桃が、ぶどうに変わった
パレードを見ていると、どうも道の向かいのちいさな女の子たちがこっちを意識している。カメラを向けるとポーズを取るので、日本人が多分珍しいのだろう。
癒されながらパレードは続き、ついに自分もフルーツをゲットした。
外野手さながらのキャッチだったと思う
彼女たちのモデル代にしてあげようと、この桃をプレゼントすることにした。「ありがとう」と言って渡すと、「ありがとう?ありがとう!」と繰り返していた。初めて聞いた日本語だったかも。
嬉しそうな子どもたち
左に睨んでる子どもは、また後で登場する
すると、今度は恥ずかしそうに桃をあげた女の子がやってきた。そして、「ありがとう」といい、ぶどうのキーホルダーをプレゼントしてくれたのだ。
これは宝物だとすぐにカメラにつけると、女の子たちも飛び上がって喜んでいた。こんなことが、なにより嬉しいし、楽しい。
桃が、世界でいちばん嬉しいぶどうに変わったのだ。
パレードを支える人たち
そしてパレードはまだまだ続いた。知り合いが来ると手を振って喜んだり、写真を撮ったり。みんなこの日のためにたくさん準備をして、◯時ごろ出番だよ!って連絡があったり、あ!来た来た!って声を掛け合ったりしてるドラマを考えるだけで、いいなぁこの街はと、メンドーサが大好きになった。
きっとこの女の子も、馬に憧れたに違いない
こんなおじさんになりたい
収穫祭に参加しだして3時間が経過したころ、ようやく終わったのかみんなが引き上げていく。その姿を見送っていると、また最後の団体が来た。
清掃員たちだ。
たくさんの人数の人たちが役割を持ち、馬糞や落ちたぶどう、ゴミなどを丁寧に清掃していく。どんなイベントも、こんな人たちのおかげで成り立っているんだと思う。どんな世界でも、なにかを支える人たちのことを忘れてはいけないなと思った。みんなの仕事で、世界は回っている。
おれたちも撮れ!と、清掃マン
本当にたまたまだっただったけれど、このワイン収穫祭に参加できて本当によかった。現地の人たちの幸せを感じることはなかなかない経験だったので、自分の旅運が嬉しくなった。
そういえば、あの桃をあげた時に睨んでいた悪ガキそうな子どもにも、あの後フルーツのぶどうをゲットしたのでプレゼントした。はしゃいで大喜びだった。可愛いやつめ。
急遽、サッカー観戦
パレードも落ち着き街を散策していると、なんだかユニフォームのようなものを着ている人がいた。
調べるとどうやら、今日はアルゼンチンリーグ1部の試合がここメンドーサであるらしい。ホームゲームで、しかも徒歩圏内にスタジアムがあるとのこと。これは行くしかない!
ものすごい紆余曲折あって、
・チケット売り場が便所のようで気付かない
・チケットが買えない
・パスポートチェック、荷物検査
・レシートないと入れないよ?
・どこ座ればいいかわからない
を乗り越え、ようやく着席。地元のリーグで、サポーターもまばらな感じがいい。しかし応援はガチ。楽しくなってきた。
しかし、アウエーサポーターがいないのが気になった。なんでだろう、遠いから?なんだか別の理由がありそう。
今日の試合は、ホームメンドーサの、ゴドイ・クルス14位 vs ロサリオ・セントラル18位の大一番!(うん、微妙)
多くのオフサイドにより得点は0-0の、勝ち点痛み分けとなった。まあ得点シーンらしいのは見れたのでよし。サッカーの雰囲気も感じれたのでよし。試合後はサポーターが乱入しないように警備員が配置された仰々しさが珍しかった。
サッカーのレベル的には、我がベガルタ仙台も十分通用するのではと思った。川崎とか鹿島とかならボコボコにやっつけそうなレベル感に感じた。
こんな感じで、収穫祭とホームゲーム観戦という、地元の人の特別な休日を一緒に参加できたことは、この旅でもとても印象に残ることになった。
なにがあるかわからない予定不調和な旅が好きで、よかった。
✈︎
本日の彼女
ついに彼女が出発した。福岡空港を出て、上海、ロサンゼルスを経由し、今はメキシコのカンクンのラウンジにいる。もーすぐ会える!
パッキングが得意というかスキです。