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廃墟人間

このGW中、廃墟に友人数人と何か所か行った。
ある友人が最近車を買い替えたから、ドライブしたくて仕方がないんだってよ。かわいいよな。
心霊スポットじゃなくて、あくまで廃墟。
某ホテルとか、某料亭、某民家とか。

この間は昼間に某ホテルに行った。
夜行ったら大分怖いだろうけど、昼間はどこか神秘的だった。
剝き出しのコンクリート。
それに張り付くコケ。
朽ちた天井の隙間から侵入した雨水によって、か細くも高く成長した一本の木。
かなりラピュタみがあった。
ただ、床はところどころ抜け落ちてて、ちょっと危なかったけど。
行く人は気を付けてね。

何か所か巡って思ったけど、本当にラクガキは害悪だな。
景観損ねすぎ。

らく‐がき【落書(き)/楽書(き)】
[名](スル)《「らくしょ(落書)」から》書くべきでないところに文字や絵などをいたずら書きすること。また、その書いたもの。「塀に—する」

その通りすぎる。
多かったのが「20XX年X月X日 〇〇(多分ラクガキ主の名)参上!」。
くだらねぇ消えろよザコがよ。
てめえの名前なんぞ知らねえし、てめえがいつ参上したかはもっと知らねえわハゲ。
有名になって出直せ。出直したとてラクガキはすんじゃねぇガキがよ。

ふと友人の買い換えたばかりの車中でさ、廃墟について考えてたのよ。
この車も廃墟だよなあって。
買った当初はチヤホヤされて、大人数乗せてさ。
月日が経つにつれ誰も乗らなくなって、残るのは所有者のみ。

この某ホテルがある地域もさ、人気がある街ならどうにかするでしょ?
でもさ、別にそこで新しい事業をスタートすることもなく、放っといてんだよな。
このホテルが稼働してた頃は栄えてたのかもな。
地域自体が廃墟だよ。
廃墟ホテルを探検する地元(廃墟)の人間もいるんだろうな。
おめーが住んでる町も廃墟ですよ。

そんなこと考えたらさ、日本も廃墟だよな。
高度成長期はよかったけどさ、もう廃れる一方だもんね。

でもさ、廃墟として訪れてくれる人がいるだけで、まだマシなのかもな。
誰も近寄らない廃墟って、廃墟の廃墟だもん。心霊スポットにもなれないんだから。
皆の記憶から遠く忘れ去られてさ。地域の資料館とか行ったら情報はあるかもしれないけど、わざわざ探しに行く人もいないし、もう過去にも現在にも未来にも存在しないのと一緒だよね。

俺が死んだらさ、廃墟の廃墟人間でいいよ。
墓参りとか、なんか申し訳ないし。戒名とかどうでもいいし。色々高いし。
死んだら存在したことすら抹消されたいよ。

でもさ、ラクガキする自己顕示欲の塊ガキ畜生はさ、墓参り来てほしいんだろうなあ。年に数回線香も焚いてほしいんだろうなあ。花も取り替えてほしいんだろうなあ。坊主に念仏唱えてほしいんだろうなあ。

生まれ変わったら廃墟の廃墟になれよ。
そこで誰にも見られないラクガキしてさ。「20XX年X月X日○○(戒名)参上!」ってさ、喜ぶんだよ。寂しいよな。

手始めにてめえの仏壇にでもラクガキしとけ。

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