交換日記⑩ おざわ
はい。おざわです。
今回のバケツのテーマに関わる作品を見てみようということで(こじつけ)(ただ見たかっただけ)「うみべの女の子」を見ました。最近めな恋愛ものに分類される作品かと思いますが,まあ,しんどかったです。
【作品概要】
原作は浅野いにお先生の「うみべの女の子」。
2009年の作品が,今年の8月に映画化されました。
監督はウエダアツシ。
音楽はWorld’s end girlfriend。
主演は石川瑠華と青木柚。
自分は音楽を担当されたWEGのファンなので,そちらから興味を持って劇場に足を運びました。しかもGirlが一番好きな楽曲だったので,それが劇場の音響で聞けると思うと想像するだけでぶち上げでしたが鑑賞中もしっかり興奮しました。(公開後数週間は,上映後Girlと共に演者さんが撮ったオフショのスライドショーを観られました。今はどうなんだろう)劇中の音楽も沁みました。シーンに合いすぎでは?
(おまけ:WEGは以前に「空気人形」や「おそいひと」という映画でも音楽を担当しています。そちらも是非見てくれよな)
浅野いにお先生の漫画は「おやすみプンプン」など数作品読んでいますが,しんどくなりながらもとっても好きだったので,本作は未読だったもののとても楽しみにしていました。もちろん期待通り刺さりました。
そしてしっかりR付きの作品です。性描写が苦手な方はここで引き返すのをおすすめします。
【あらすじ】
小梅と磯部は海辺の田舎町に住む中学2年生。
小梅は,素行の悪い田舎ヤンキー先輩のことが好きだったが,手酷く振られてしまう。
自暴自棄になった小梅は,中1の頃告白してきた磯部を呼び出し,初体験を済ませる。
その後もふたりは付き合うことなく体の関係を続けるのだった。
そうしていくうち,お互いの気持ちは少しずつ変化し,すれ違っていく。
みたいな感じです!以下原作未読 & 記憶まばらな感想になりますがよければお付き合いください。超ネタバレあります。
【感想】
とにかく主演2人のビジュアルが浅野いにお作品まんまですんごい。
小梅ちゃんとか特に鼻のとこ!目も!いや全部なんだけど,マジで作中にいる顔なんですよ。磯部くんも,顔はもちろんだけど,それ以上にまとう雰囲気が完全にそれでした。
実写化はビジュアルが原作とかけ離れちゃって残念ね~ってよくありますが,この作品は原作ファンでも違和感ないんだろうなと思います。何せ原作者様が推してますので。
セックスめっちゃするのにキスしないのやばない?
あらすじで書いた通り,2人の仲が深まるきっかけ・コミュニケーションの手段はセックスです。特に映画の前半は肌色シーンが多くてめっちゃえっちです。
小梅ちゃんが磯部くんの家に行くたびにどちらともなく服を脱ぎ,セックスを始めます。
身体を重ねた回数は数知れず。でもふたりのキスシーンは一度もありません。
ただし,キスしようとするシーンはあるのです。
1回目は小梅ちゃんが磯部くんにセックスしてほしいと初めてお願いする場面。磯部くんが「セックスするならキスしてもいいだろ」と顔を近づけます。が,小梅ちゃんは拒否。「磯部のこと好きじゃない」からだそうです。
2回目はかなり身体を重ねてお互いの想いが変化した頃,磯部くんの部屋で寝ながら話をする場面。小梅ちゃんは磯部くんが何か抱えていることに気づき,何でも聞いてあげるし支えてあげる的なことを言います。それを聞いた磯部くんは,寝ている小梅ちゃんにキスしようとしますが,途中でやめてしまいます。
3回目は終盤,超重要シーンです。小梅ちゃんが磯部くんに付き合ってほしいと告白するも,磯部くんは断ります。小梅ちゃんは食い下がって「1回でいいからキスしてくれたらこれまでのこと全部忘れる」と言うので,磯部くんはそれに応じようとします。が,「やっぱやめるわ」と去って行ってしまいます。
このキスしようとするけどしないシーンも,比較するとしんどいですね!
最初は磯部くんからの好きが一方通行でしたが,その好きの波が引いたころ,小梅ちゃんから好きの気持ちが向けられてくると……。
しかも,3回目のシーンが終わった後,磯部くんは一人の帰り道で涙があふれてくる描写があります。どんな思いで彼女の懇願を断ったんでしょうね?彼の好きは,本当に薄れていたのでしょうか?
キスというものが,2人の想いを測るメーターになっているようで印象的でした。
小梅,ずるい女
小梅ちゃんという子はまあずるくあざとい人だと感じました。
そもそも,自分のこと好きな人間にセックスしてくれと頼む時点でずるいですよね。
悪い言い方すれば,自分は好きじゃないけど,相手は自分のこと好きだから。自分は相手の好意を利用して優位に立つわけで。かぐや様じゃないけど実際好き,好かれの上下関係ってありますよ。
2回目のキスしないシーンでも,小梅ちゃんは磯部くんの話を聞いて「あげる」し支えて「あげる」と言います。聞かせて「ほしい」ではないのです。どこかで自分のことを上に見ている傲慢さがあるのではないかと思います。
さらに彼女は抜けたところがあり(誤解を恐れずに言うとちょっとおバカなところがあり),それがあざとさに繋がります。
ヤンキー先輩にほいほい付いて行ったり,指摘されて痛いところはわかんないよ,で済ませたり。自分が傷つかないようにおバカさを有効活用してるんだと思います。上手に逆境から逃げてる。人間としては正常ですけどね。
そんな彼女に対して磯部くんは,自分とのことなんか忘れてすぐに別の彼氏を作って,初めてのことのようにそいつとセックスするんだ,と言ってますがほんとその通りなんでしょうね。
小梅ちゃんは高校進学後,ばっちり彼氏がいます。
その彼には自分から自然にキスしちゃうんですよ……
どう思います???中学の頃あんだけこだわってた「好きな相手とする」キスを,高校のかれぴにはスッとあげちゃうんですよ!
やだも~~この子ずるいんだからさ~~~~好きだけど~~~~~~!!
磯部,悟ってるけどやっぱり子ども
磯部くんは抱えている過去もあって,同級生よりも数段大人っぽいところ,悟っているところがあります。だけど同時に子どもっぽいところもあるんです。
それを感じたのは磯部くんが怒ってるシーンです。
磯部くんは小梅ちゃんと鹿島くん(小梅’s幼馴染野球部男子)にそれぞれ怒りをぶつける(同時に煽る)シーンがありますが,完全にわざと相手を傷つけてるんですよね。
それは,相手の弱いところを敏感に感じることができる繊細さと感受性の強さゆえだと思います。自分自身もつらい体験をしているからこそ,相手の痛みも分かるのでしょう。
だけど,相手の痛みを感じてもそれを攻撃の手段として使うんですねこの子。
ガキだね~~!!そこがいいんですけどね。中学生のバランスってこういうとこなんでしょうね。
不機嫌な時の態度もかなり露骨です。本人は意識していないかもしれないですが,不機嫌ですアピしてるように感じました。
ちなみに,小梅ちゃんは無意識で磯部くんを傷つけている描写が多々入ります。この辺の対比も刺さりますね。
気づかない小梅,気づく磯部。
登場人物の描写がどこまでも生々しく,さらに中学生ゆえの,どストレート感情表現のおかげで無事心がぐちゃぐちゃになりました。
上映後のスライドショーのおかげでギリ救われましたが,あれがなかったら確実に死んでました。
では最後につらかった台詞を紹介して感想は終わりにしますね。
ねえ磯部,してもしても何か足りない気がするのはなんでだと思う?
作中の小梅ちゃんの台詞です。そういうとこは気づいちゃうんだよね~~~^^
しかもそれ聞いちゃうんだよね~~^^
聞かれてない視聴者もつらくなっちゃったよ~~^^
きついですね。愛のあるセックスってあるんですかね。
結局人の心を満たすのはセックスではないんですかね。
磯部くんがこのとき小梅ちゃんを抱きしめてあげれば何か変わったんでしょうか。
佐藤のことは嫌いだけど自分のことはもっと嫌い
磯部くんの自己嫌悪爆発シーンです。
セックスするたびに次はもうしない,と思うけどやっちゃう自分に嫌気がさすとか,本当は自分にセックスする資格なんてないとか言い出すのですが,その時に小梅ちゃんのことは嫌いだけど自分のことはもっと嫌いだと言います。
自分を取り巻く世界すべてが嫌になって,でも本当に嫌なのは世界を拒絶している自分自身なんですよね。きついですね~~~!
そういう時って,世界を拒絶するほど余裕がないくせに,自分には世界を拒絶する権利なんてないとか考えて負のスパイラルになりがちですよね。中学生と同じ気持ちです,ほんと,嫌になっちゃいますね。
さらに嫌になっちゃうのは,小梅ちゃんが磯部くんに告白するシーンで,すっきり気持ちを切り替えた(風の)磯部くんが「佐藤のこと嫌いじゃなかったよ(好きだったよ,かもしれん)」って言うことです。
どっちが本当なんですかね!?
思ったより長くなっちゃいました。
【質問】
では,質問に答えます!
「好きなもの(推し)について語ってください。」
さっきまでの作品紹介(?)がすでにそれなんですが,他にも少しだけ。
今週,我が家の犬が誕生日を迎えました。おめでとう!10歳です!
小学4年生だね!と思いきや,人間に換算すると56歳くらいになるそうです。
犬は大型・中型・小型それぞれで寿命が違うのでそれぞれの年齢換算も少し違うみたいですね。
ああ,もう人生後半なんだね,うちのおじさん犬は……
推しが成長して衰えていく姿を見るのはなかなか色んな感情が沸いてきます。
まあとりあえず誕プレにお菓子を貢ぎましたのでわんぱくにかぶりついている犬を眺める仕事をしようかな。
こんなところにします。では次の方へ質問です~
「人生で一番古い記憶ってなんですか?」
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