2023若武者賞 レース分析と考察
未だ暑さ厳しい今日この頃。秋の気配を感じつつも、もう少々暑さとの戦いは続きそうです。
さて、そのような中、明日は川崎競馬場にて、新設重賞である2歳重賞「若武者賞」が行われます。
本日は、このレースを分析してまいりたいと思います。
【若武者賞 川崎ダート1500メートル】
若武者賞は、川崎競馬場の1500メートルで行われます。
もともと鎌倉記念のトライアルとして行われていたこのレースですが、ダート競馬のレース体系改編により、重賞に昇格し、その重要度が増してまいりました。
新設重賞とはいうものの、レース自体はオープンクラスとして昨年までも行われており、ここでは昨年までのデータを基に分析を進めていきたいと思います。
まずは近3カ年のラップタイムから見てみましょう
2022年
5.9 - 11.4 - 12.8 - 13.6 - 12.0 - 12.9 - 13.2 - 13.1
2021年
5.2 - 12.0 - 12.8 - 14.4 - 12.5 - 13.0 - 13.0 - 13.7
2020年
6.0 - 10.6 - 12.3 - 13.6 - 12.6 - 13.2 - 13.7 - 13.8
いずれの年も、ラスト3ハロンは、ほぼ13秒台で推移し、昨年こそラスト1ハロンが0.1秒加速しているものの、残り400メートルをほぼ一定のスピードで走り切るようなペース、2021年、2020年は、完全な減速ラップと、終いの持久力がことさらに要求される質のレースであることが見てとれます。
それを踏まえた上で、次に、近3カ年で馬券に絡んだ血統を見ていきます。
2022年
1着 ヒーローコール(父ホッコータルマエ 母父ティンバーカントリー)
【欧州キングマンボ系×米国ミスタープロスペクター系】
2着 ウインドフレイバー(父マクフィ 母父シンボリクリスエス)
【欧州ミスタープロスペクター系×欧州ロベルト系】
3着 ディーエスフランク(父ホッコータルマエ 母父エンパイアメーカー)
【欧州キングマンボ系×米国ミスタープロスペクター系】
2021年
1着 ノブレスノア(父トーセンブライト 母父ネオユニヴァース)
【欧州ロベルト系×日本サンデーサイレンス系】
2着 タツノエクスプレス(父アジアエクスプレス 母父コマンダーインチーフ)
【米国ノーザンダンサー系×欧州ノーザンダンサー系】
3着 メンタイマヨ(父シニスターミニスター 母父シンボリクリスエス)
【米国エーピーインディ系×欧州ロベルト系】
2020年
1着 ピースフラッグ(父アーネストリー 母父マンハッタンカフェ)
【欧州ロベルト系×日本サンデーサイレンス系】
2着 ヴァヴィロフ(父トゥザワールド 母父フォーティナイナー)
【欧州キングマンボ系×米国フォーティナイナー系】
3着 トーセンブライアン(父トーセンブライト 母父フジキセキ)
【欧州ロベルト系×日本サンデーサイレンス系】
まず目につくのは、欧州血統の優位性、そして、個別ではロベルト系の優位性です
若武者賞は1500メートルという中途半端な距離であり、いわゆる非根幹距離
基本、競走馬は400メートルを一つのまとまりと感じると言われていますが、この若武者賞は、全体を400で割りきることのできない距離であり、馬にとってはリズムが取りにくい距離構成であると言えます。
そのような非根幹距離で、馬がリズムを取りにくい距離のレースで力を発揮するのがロベルト系
ロベルト系は、もともとヨーロッパの起伏の激しいコースで、且つ距離も中途半端な距離で行われる競馬で生き残ってきた血統
加えて、体力の完成が速く、2歳戦でも、特にパワーが要求されるレースで強さを発揮する特徴も併せ持ちます。
体力の完成度がことさらに問われることに加え、リズムの取りにくいという若駒にとっては難しいレースである若武者賞において優位性を見せるのも納得できる傾向です。
そのロベルト系とともに相性の良さを見せているのが、ミスタープロスペクター系
キングマンボ系、フォーティナイナー系は、共に遡っていくとミスタープロスペクターに行きつきますので、その2系統を大きくミスタープロスペクター系と括ると、昨年は上位3頭がいずれもミスタープロスペクター系の産駒となります。
ミスタープロスペクター系は、中距離のスピード持続力に長けており、2歳馬にとっては長い距離となる1500メートルの舞台では、むしろバリバリのアメリカ血統よりもその優位性が増し、好走可能性が高まるということができます。
以上を踏まえ、今回の注目馬を挙げたいと思います
【注目馬① ホークマン】
父は新種牡馬のホークビル
ホークビル自身はノーザンダンサー系ですが、このレースの重要血統であるロベルト、そして、ミスタープロスペクターどちらのクロスも持っており、血統構成としては、このレースの傾向に合致しています。
戦ってきた相手を見ても、デビュー戦、そして前走でしのぎを削ったのが、先月のルーキーズサマーカップで3着と好走したポッドマーフィー
一貫して逃げさせずに、差す競馬に徹していることも、陣営の期待値の表れと見られ、血統構成と相まって、有力候補の1頭と見ることができます。
【注目馬② パンセ】
もう1頭挙げたいのがパンセ
父はロベルト系のゴールドアクターで、このレースの傾向に合致しています。
デビュー戦を快勝した後は、なかなか勝ち切れずに惜敗が続いていますが、これは安易に逃げさせずに、差す競馬に徹しているが故のこと
ホークマンの部分でも書きましたが、安易に逃げさせずに差す競馬を徹底して覚えさせるというのは、陣営の期待値の高さの表れであることが往々にしてあります。
というのも、クラスが上がれば上がるほど、流れは厳しくなり、差す競馬ができることの重要性が増してくるからです。
今回は重賞ということもあり、各馬がこぞって勝ちに来ることが予想され、勝負どころのペースも厳しくなることでしょう。
そうなると、ここまで磨いてきた差し脚が活きる可能性も高いのではないかと考えます。
以上、若武者賞は、上記の2頭に注目してレースを楽しみたいと思います。
予想はウマニティにて公開いたします。
こちらもご覧いただけますと幸いです。