選手が紙切れになった瞬間
昔、ゆうほど昔じゃないけれど、オーナーズリーグと呼ばれる野球ゲームがあった。
コンビニとかでパックがよく売られていたので、名前だけ知っている人もそこそこいるかもしれない。
パックの中にはプロ野球選手のカードが入っており、そのカードの裏に書いてあるシリアルコードをオーナーズリーグのサイトに登録すればその選手をチームに組み込むことができる。
このゲームの重要な点は、プレイヤーができるのはスタメンを組むことだけで、試合はオートマチックに進むことだ。
このシステムが個人的に楽で心地よく、試合終了後に選手達の成績を眺めるのがただただ楽しかった。
選手達の成績をエクセルにまとめ、選手の通算成績表なんてものも作ったりした。
ただ、このゲームはコスパが非常に悪かった。
カードは1パック300円、そしてそのパックに入ってるカードはたったの3枚。
これだけ払って良い選手が入ってなかった時の喪失感ときたら。
怖いからちゃんと計算してないけど、10万円以上はこのゲームに費やしたと思う。
でも、それでもオーナーズリーグをやり続けた、これまで払ってきた分が無駄になるのを恐れて。
しかしオーナーズリーグは、突如サービス終了が宣言された。
このゲームはWEBサイト上が運営しないなら、プレイヤーはどうあがいてもプレイできない。
あの瞬間、1枚100円だったカード達が全部紙切れになったのだ。
そしてその知らせに添えられていたのが、「これまで集めたカードは、"観賞用" としてお楽しみください。」という一文だ。
ふざけるなと思った。
いくらなんでも無責任すぎる。
誰が観賞用として1枚100円のカードを買い集めるんだよ!
あれから約5年、
あんなに怒っていたこの俺が、今になって1枚200円の観賞しかできないアイドルの生写真を買おうとしているのはなんでだろう。