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【感想】バトロワ好きが見たイカゲーム【ネタバレなし】

こんなこと言うのも少し恥ずかしいのですが、自分が今まで読んできた中で一番夢中になった小説が、高見広春先生の『バトル・ロワイアル(BR)』なんですよね。40名のクラスメイトが最後の一人になるまで殺し合う、というデスゲームものです。

この小説の面白いところは、章ごとに主人公となる生徒が変わるところです。様々な手段でゲームに立ち向かい、様々な思いで生き残ろうとする様子が細かく描かれており、それが戦闘という形でクロスしていくのが、中学生だった私の心をくすぐりました。

また、BRの世界では日本という国を『大東亜共和国』という独裁国家に変え、BR法という法律まで作るという、デスゲームが行われる理由もしっかり描いているのが好きなんです。

BRは映画も話題になり、そこからデスゲーム系作品は日本でも色々生まれました。しかし、デスゲームのゲーム部分ないし死亡シーンでインパクトを出そうとする作品が多く、心理描写や背景部分が少し物足りないことが多かったです。

そんな曖昧なデスゲームに嫌気がさしている中、Netflixで公開されている韓国ドラマ『イカゲーム』の予告をYoutubeで見ました。


『だるまさんがころんだ』という有名な遊びで命を賭けていて、
「『神さまの言うとおり』のパクリか?」
と思いましたが、主人公イ・ジョンジェ氏の笑顔がとてもチャーミングだったので、Netflixに加入して全話視聴しました。

前置きが長くなりましたが、ここからが感想です。




・・・面白いッ!!

これまで公開されたデスゲームドラマの中で、間違いなくトップです。


まずデスゲーム的な面白さについて。

ゲームの競技は、子供の頃にやったことのある単純な”遊び”ばかりです。なので競技の名前やルールを聞いたときは、ゲームの面白味が足りないのではないか、と感じるかもしれません。

しかし、参加者は様々な手段・攻略法で遊びに向き合い、視聴者の想像してない展開へと進んでいきます。シンプルすぎるがゆえに死の近さを感じ、参加者の緊張感を同時に味わうこともできます。ゲームのルールを聞いたときの残念な気持ちは、どこへやら、です。

次にデスゲーム以外の部分について。

このデスゲームの参加者は、カイジのようにほとんどが多重債務者です。なので、参加せざるをえなくて参加している人達です。作中では参加者達がゲームから死なずに抜け出せるチャンスは何度も訪れますが、それでもゲームは再開されます。

参加者達がデスゲームに参加する経緯もしっかり描かれています。なんなら、その部分を見せるためにデスゲーム部分がないエピソードもあります。デスゲーム好きには無駄に感じる部分かもしれませんが、参加者に参加せざるを得ない理由があるからこそ、デスゲームが冗長的な殺し合いにはならないのです。

最後にデスゲームの背景部分について。

よく語られているのがセットのクオリティですが、これは本当に素晴らしいです。変にCGに頼らず、しっかりセットを組んで”遊び”の舞台を作り上げています。この金のかかりっぷり、さすがネットフリックス。

個人的にすごいと思ったのが、負けた後の死体の処理です。イカゲームはこの部分をちゃんと描いてます。血がついた後はしっかり洗浄し、死体は棺桶に入れられ焼却炉に連れて行かれるシーンが丁寧に描かれています。この描写ひとつで、デスゲームのゲーム部分を楽しもうと思って見ていた視聴者をグッと落とし込みます。


最後にまとめますと、イカゲームはデスゲームの競技部分の面白さもありつつ、それ以外の心理描写や背景も丁寧に描かれた、近代最高のデスゲーム作品です。私が初めてバトル・ロワイアルを見て以降、他の作品で得られなかった満足感を与えてくれた作品だと思います。内容が内容なので万人にオススメできる作品ではありませんが、予告を見て少しでも面白そうだと思ったら、ぜひ見てほしいです。

以上、イカゲームの感想ノートでしーた。

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チャーシュー食べるタイミング / じゃが山りこ
いつもキレイに使っていただき、ありがとうございます。