いーさん裏返り旅行記 vol.3 〜ブラジル・イグアスの滝編〜
「泉さん、これまだ前菜ですから」
スマホで写真をばんばんとっている横から奥くんの声。
なぁーにぃー!これが前菜?もうすでに圧倒されてるんですけど。
受付で入場チケットを買って2階立てバスに乗り、10分ぐらい乗った後、バス停で降りて山道をどんどん降りていった。滝の音がゴーと聞こえてきたら一気に視界が開けた。出た!これがイグアスの滝!と写真をとりまくっていたところに、「前菜ですから」の声。
滝のオンパレード。そこかしこに虹がかかっている。目の前にこんな大きな虹がくっきり出ているのは初めてみたわ。ナイアガラはドドーン!デカ!だったが、イグアスはドバーバーバー、どこまで続くのって感じ。このまま、進んでみよ。
川沿いにそって山道が続き、上流に近づくに連れさらに爆音が聞こえてきた。再び目の前が開けてわかった。「なるほど、さっきのが前菜ね」と思う暇もなく圧巻。一面、霧。水しぶきが半端ない。ワクワクしながらその爆音と霧の中につっこんでいった。ミストシャワーを気持ちよく浴びながら、昨日買ったビーサンの足元も爽やかに濡れた。目の前には飲み込まれたらひとたまりもない恐ろしき大自然なのに、この包まれている安堵感。父なる厳しさと母なる安心感。しばらく濡れ濡れになりながら、すっかりイグアスの滝を満喫した。もうお腹いっぱいやわ。
いやちょとまて、リアルジャングルツアーがあった。すでに1万円も払った・・まあ行くか。思い出になるし。
一駅戻って、トレッキング用のオープンバスに乗り、山道をどんどん進む。どこぞのジャングルツアーとは次元が違う。ジャングルのワイルドな美しさとバスの乗り心地の良さ。ガイドのお兄さんはポルトガル語、スペイン語、英語の3ヶ国語でフレンドリーに解説をしてくれる。バスに同乗したのは、世界中から集まった人たち。バスを降りて、今度は小さい四駆に乗り換え、グネグネカーブが続く急斜面を降りていった。
その車を降りたところが中継基地のごとくロッカーとトイレと売店があった。周りを見ると、水着姿の人たちがいる。そこまで濡れるんやろか・・と思いながら、今度はゴンドラのようなものに乗りかえて川岸まで降りて行く。その先に20人用ぐらいのゴムボートが着岸していて、これに乗るのね・・。
救命胴衣をつけて船に乗り込み、出発。川の上流に向かってどんどん進む。60キロぐらいは出ているのか、時折浴びる水しぶきが気持ちいい。対向の船が通ると、波がくるので、その波をうまくかわしながら、さらに進んでいく。
滝が見えてきた。このあたりで水しぶきを浴びるのねとレインコート万全にしてスタンバイ。ああ気持ちいいねと水しぶきを浴びていたら、ボートが止まらない。滝に突っ込んでいくではないか。えええ、これいくのん?ああ、ドドドドと頭を打ちつける滝。「滝行?」まったく頭が上にあがらず、船底をじっと眺めるのみ。
しばらくして、滝から離れて、ああここに突っ込んだのね。そりゃ打ち付けられて頭も上がらんわ、この水流やと。と客観的に見ていたら、またボートがつっこんでいくではないか。今度は頭を上げてみようとチャレンジするも、まったく頭があがらず。
何度滝に突っ込んだのか、覚えておらず、気づいたらずぶ濡れになっていて、もう何も怖いものがなくなっていた。他の乗客たちもネジがとんだように奇声を発していた。
レインコートは全く関係なかったね。中継基地に戻り、ズボンがビチャビチャだったので、自然乾燥も気持ち悪いので、売店で短パンを買った。スペイン人の若者はトランクスいっちょうで歩いていたが。あっ、この短パンもお土産にしよ。
イグアスの滝は大自然の中でアホにしてくれる、滝行だった。
(Vol.3へ続く)