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FLOATING HEARTS

ロヒンギャという民族をご存知だろうか。
もともとはミャンマー西部のバングラデシュとの国境付近に住んでいたムスリムの民族だそうだ。
僕がこの民族のことを知ったのは、恥ずかしながらつい先日のことだ。
マレーシア北部で彼らの集団墓地が発見されたというニュースは、衝撃的だった。
彼らは長年にわたりミャンマーの仏教徒から迫害を受け、ミャンマー政府からも隣国バングラデシュからの不法移民として非国民として扱われている。
そんな状況から逃れるために彼らは他国への亡命をしようともするが、周辺各国も彼らを「経済移民」として受け止め、「難民」としては扱わないため国がない彼らは入国ができずにいる。
行き場のないロヒンギャの人々につけ込んだのが「密航業者」である。
彼らを小さな船に乗せ、タイやマレーシアの企業などに売るとブローカーには一人あたり3万円ほどの利益が出るとのことだ。
ロヒンギャの人々にとっても、迫害と貧困から逃れ他国で働けると希望をもって危険な賭けにでて、密航業者に身を委ねるわけだが、近年のマレーシアやタイでの「不法移民」取り締まり強化の影響もあり、彼らは結局上陸できぬままボートピープルとなって海上を漂うはめに陥っている。
漂流生活も、はじめの頃はブローカーらが、食事を提供してくれてはいたが、そのうちに姿を現さなることもあるという。
そのうちに体調を崩し死んでいく人々もいれば、虐待などで殺されてしまう人もいるそうだ。
マレーシアで大量に見つかったロヒンギャの墓は、そうした人々の墓らしい。
今、このときもボートで漂うロヒンギャは、5千とも6千人ともいわれている。
なんとも、これは現実かと目を疑う状況だ。
宗教迫害も人身売買も、日本に住んでいると映画や大昔の出来事のように思えてしまう。 しかし、これは21世紀の高度に発達した地球人社会の出来事なのだ。
各国政府もロヒンギャ問題に対しては話し合いを行っているらしいが、当事国のミャンマーは、人身売買は行為はタイや周辺国のブローカーが行っていることとして、自国に責任ないと主張している。
仏教とイスラム教。
宗教が違うというだけで、こんなにも悲惨な状況が生み出されるというのは、何ともしがたい憤りを感じる。 何の慈悲もなく、ただ無意味に人々を苦しめる宗教なら、それはどんな聖職者であろうと悪魔という衣を纏っているに違いないと思うのだが。

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