知床観光船の水難事故 行政・規則について
◾️海での労災率の高さ
今回のように、建物火災だけでなく、水に関わる災害も非常に多数の死者を引き起こす。
例えば、漁業もその他の業種に比べて労災保険料率は非常に高い。保険料が高いということは、それだけ危険だということだ。
◾️安全管理規定
そのため観光船には「安全管理規定」というものを届け出を行い、認可をもらわなければならない。
そこには、波の高さがどれくらいあれば、欠航するかという具体的数値を定めている。
そもそもこの規定自体が、業界内で有名無実化しているのか。それとも規定の抜け道があったのだろうか。
例えば、今回の様に午後から波浪注意報などが出されていたが、出航時に波風が低ければ、出航してよく規定違反にならないのだろうか。
◾️連絡手段
海上では携帯がつながらないことが多い。
通常は無線機を使って連絡を取るが、会社のアンテナが折れて無くなっていたため、無線機でやり取りできない状況だった。
まず、他の船会社と該当の事故船とが無線機でやり取りを行い、海上保安庁へ連絡が入ったようだ。
また、観光会社側とは「衛生携帯」にて12時台より連絡を取り合っていたとのニュースがあった。
会社側の指示のあり方のミスや、事故の直接原因はどこにあったのか、これらのやりとりをした当事者、通信履歴などから、詳細が明らかになるかが、重要となってくる。
また、事故の3日前に海上保安庁からの船体・エンジン・救命設備の確認などが行われていた。
船の場所を特定できるGPSプロッター機器を取り付けられていなかった。これを取り付けているか今月27日に改めて点検を行う予定だったとのことだ。
◾️国交省と海上保安庁と運輸局の関係
まず、国土交通省の傘下に地域別の運輸局があり、特に海上関係については、同じく傘下に海上保安庁があるという関係になっている。
昨年、座礁事故を起こした際は、北海道運輸局からの指導
が入り、改善計画を提出するように通達があった。
この座礁事故により、業務上過失往来危険罪が課されていたとのことだ。
また今回の事故により、「業務上過失致死罪」の立件を視野に海上保安庁が捜査しているとのことだ。
つまり単なる行政執行機関としてだけでなく、検察と同じく刑事責任を問える強い権限が、海上保安庁に与えられているのだろう。
◾️今後の責任追求
今後、運行停止や免許取消しや過料など行政罰、
続いて、懲役や罰金などの刑事責任、
最後に、被害者の方々への慰謝料や逸失利益(生涯賃金)の支払いなど民事責任、
これらの責任か問われることとなると考えられる。
船長判断に誤りがあったのか、経営者の管理不足や強制など事故につながる指導はなかったのか、はたまた行政機関のチェックは見落としはなかったのか、などが議論されていくだろう。