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付き合うとか別れるとか
付き合いましょう
はい
別れましょう
はい
この儀式がないとダメらしい
カズ君に告白されたのは2回
1回目は笑顔で考えておいてね、と
首を縦に振った
綿菓子みたいな形の甘酸っぱい香り
2回目は震えてた、返事は次会う時にして!と
断ろうと思ったら勢いよくそう言った
一緒に住もうか?犬を飼ったんでしょ?
犬可の物件にしないと。
実家に近い方がいいよね?
息をつく間もなくいらい多弁だった
私は黙って聞いていた
その『次の時』
考えてくれた?
一緒に住む話?
違うよ!
俺の彼女になる話だよ!
おもむろに顔を上げて返事をしようとした
息を吸った
お願いだからウンって言って!
急に抱き寄せられて顔が見えないけれど
泣きそうな声だった
ソーダが弾けてシュワっと消える泡のような気分
カズ君は人が変わったようになって
2度目なんて続かないと決めつけていた私は驚いた
誕生日
百貨店で指輪を買ってくれた
小さなダイヤがついていた
嬉しかった
世界で1番幸せなのは私だと思った
必死に私に合わせてくれていたんだね
ありがとう
別れたのも2回
1度目に泣いたのは私
2度目に泣いたのはカズ君でした
涙はいつだって尊い
どれも大切な思い出です
ずっと忘れない
貴方が今、幸せでありますように