生殺与奪の権の移行
※今回の記事は「鬼滅の刃」のネタバレを含みます。
「生殺与奪の権を他人に握らせるな‼」
アニメ「鬼滅の刃」の1話で出てくる、この台詞。
台詞の癖がスゴイッ‼
鬼滅隊の富岡義勇が命乞いをする竈門炭治郎に放った台詞ですが、これに衝撃を受けました。加えて、アニメの背景の綺麗さ、1話目から読者を置き去りにするような残虐さなどに惹かれました。
この権を権利としていた場合、リズム感が悪くなり、台詞の破壊力がここまでなかったのでは・・・とか余計な事を考えたり。
全ストーリーを読み終わった今感じるのは、この漫画は
生殺与奪の権で始まり、生殺与奪の権で終わるということ。
ラスボスの鬼舞辻 無惨は肉体的に倒された後、炭治郎の心の中に入り込み、
精神面での戦いが始まる場面。
ここを読んだときにそう感じました。
ストーリー冒頭では、主人公の炭治郎は力や技がなく、生殺与奪の権を富岡義勇に委ねている形になっています。つまり、炭治郎から見ると外側の人間に権利があるということ。
それが最終面、炭治郎の心の中に無惨が入りこみ、炭治郎が完全に鬼にされるか、打ち勝って人間に戻るかの最終局面では、自分の生死、無惨の生死の二重の生殺与奪の権を自ら握っている状態。
生殺与奪の権が炭治郎の外部から己の内部に移行しています。
鬼と戦うことで、肉体的にも精神的にも成長した炭治郎が、この生殺与奪の権を自らに取り戻すことでストーリーが終わるという綺麗な終わり方。
それ以外にも、仏教とか、蛇とか色々と思うことがあったので、それはまた次回に。