『箱』1201 第3部メモ
『箱』
メモ「手。自分の手が自分の手でよく動く、外界と自分、それから自分と自分ががこれほど遠くにないような気持ちっていつ以来かしら。妙な事言ってるかもしれないわね。以前も自分が遠いところにいるなんて思っていなかったの。ただ珈琲を飲みながらこうしていると、どんどん自分が自分に近づいていくようで不思議でたまらないの。
(※)これは生きてきた中で知らず知らずに心と目の間に積もった塵芥がわたしをわたしから遠ざけていたのかもしれないけどね、
生まれてから今のいままでこんな感覚知らなかったように思うの。
アラフォーにして初めての感覚。ここに来るまでは季節が変わるごとにこの身体を脱いで、ここから出たくてたまらなかったはずなのに、今ではそれは過去の記憶。まぁいいじゃない、面白い、干乾びたってこの身体でできることをしてみようかしら。こちらが枯れたってあたりを潤し咲かせる可能性はむしろ増しているのよ。ほら、対比よね、悲しみがあるから喜びがひとしお。苦しみが深いから楽しみが際立つ、それと似ていていて枯れを知るから花がよりよく見える、なんて考えているのだから。わたしは変わった。本当、珈琲のおかげじゃないのって思うくらいよ.ちりあくたが流れたみたい」
*******モラハラ人の在り方*******
「莉奈ちゃんの話を聞いたら、長年悩んだことが小さく思えてきたわ」
翔子は黒々とした珈琲を飲んだ。珈琲は黒さゆえに万事を流す。
「それでもあれは地獄だったの。よどんだ空気が滞留する場所。あるときまではそこが密閉された場所だ気が付きもしていなかった。
ぬるま湯の蛙状態ね、おかれた状況にやっと気が付いて風穴を開けようとはしたのよ。だけどね、すぐに閉じられるし、こちらに体力が残っていなかった。運よくまるで曇り空から自ら閉じていたようなこともあったわ。光芒はわたしには眩しすぎるからって、値しないからって楔を脱ぐことをしなかった。まるで、のみ。あ、のみって言ったってわからないわよね」
「わかります。のみが天井を外された後もそれ以上高くは飛ぼうとしないというお話ですわね」
「そういうことね。見えない箱を与えられたのよ。そして内側から、外側から箱をコンクリートでかためていっていたのよ。表面には漆にも似た輝きを見せながら」
■シーシューポス(無力感のうえつけ)
「あと智慧なわけだけど、怒鳴ったりするのは支配するため、壊していいように作り変えて、コントロールするため、一言の度に否定、否定、否定。意見など言えるものではなかった、それは自信を失わせるため、自由な心を出そうというような試みも起こさせないため、脳を快の状態にさせないため、だってほら快の状態で脳が動きやすくなるって知っているからよ。
きっと怖かったのよね、怖いのよ。あ、わたしじゃないの、あの人がよ」
「えぇ、そうだと思いますわ。そうして閉じ込めているのですわ」
「可能性の芽が見えたらつぶしにかかる。芽はやわいうちにつぶす、自信というものは破壊する、だって可能性の芽はそこから育つってわけ。ほら、芽衣さんが教えてくれたじゃない?中国に捕虜にされたアメリカ人があっさりと親中になるっておはなし。あの洗脳技術を個人適用されてた気分よ。無能感の植えつけ、自己効力感のはく奪ってとこかしらね、コーチングが開花の方向に導くことしだとしたら逆を行く。ね、い」
自信もなかったし 今にいなかった。今にいることだといったって、その意味するところにたどり着けなかった。
過去の悲しみの中にいたって、未来の懸念の中にとっぷりといるといったってこれが今なのだから。
季節が訪れようが 太陽が巡ろうが
ピタゴラスが地動説を唱えようが
ひっくり返されるのよ わずかにあった自信のかけらも日々の無言のしじまのなかに消えていく
小さな箱のなかでかしましくこだまするのは
お前はだめなやつだ
そんなもの ただの言葉に過ぎないって知っているはずなのに
この世にどこにダメな人間がいるのかってそんなことを言う人妙なのだってわかっているのに
わたしは阿僧祇回朝から夕にそんな言葉を刷り込まれてきたのだから、
もうだめな組成しか残っていなくて
あぁ ごめんなさい わたしが迷惑ね ごめんなさい 何もしなくても
そうすれば帰ってくる返事は
『そうだ お前が悪いのだ』
ご自身には悪いところはありませんか?そんなものは虚しいだけで 響かぬどころか声にもならず 凍り付いて地面にポトリとポトリと落ちている」
「
自分にできたことがあったかしら?
英語?法律の知識?大学を卒業したこと?それが何になるかしら?こんな状況を脱せもしないで 言葉ができるなんて言えるかしら?法律の知識がわたしを油が塗られた壺の中から出させてはくれなかったわ。
あぁ本当に 何も見つからない 存在理由
かわいい子供たちのためにといったって
この子たちだって何かもっとまともだと強く自負する心のある人と
一緒にいた方がよいのかもしれない
なにかしらね、
ここにくるまで誰も言ってはくれなかった
わたしがわたしに語ったはずが
まるで実のない言葉だった
『存在だけで価値があるんだよ』
かすかに誰かが言っていたようなきがするがわたしには遠い世界の事だった。
』
■無価値観の植えつけ
「もうひとつ、植えつけられてきたのは無価値観ね。お前には価値がない。なんて存在否定のような言葉を真に受けて、かれこれ10年かけて転がり落ちた。
お結び山に行ったら良かったのだけど、気がついたときにはもう息も絶え絶え
■人身操作術
カバートアグレッション
■おそろしいほど知り尽くしていた・・・
「ね、彼ってね、おそろしいほど知り尽くしていたと思うの」
「何がでしょうか?」
「人のコントロールを。人の操作をよ」
「マスターもそうかもしれませんわ」
「それはいえてる」二人は笑った。
「あたたかいわ」
わたしは愚かだったのね
そうね
』
■噂流し
■囲い込み
「エンクロージャーが起こったのよ。
イーロンマスクはお父様のことを人を精神的に虐げる方法を知っていた、って言ってたわね。本当にうなずけるわ。誰が教えたわけでもないはずなのに、そういうことに長けている人っているわね。莉奈ちゃんも言っていたわね。本当にうなずける。
恋愛上手がいたり、勉強上手がいたり、なぜか人に好かれるのが上手だったり、そんな気はないのに嫌われたり、人を傷つける人がいる。
■楽しんでいる!罪の意識なし!
■凌辱欲
「正直いって、それ凌辱欲系に動機がありますね。欲望が満たされる動機があるから動くんです。欲は基本肯定的にうけとめてしかるべきものでしょうが、全部ではありませんね。」
■高いサイコパス度なあなたはソシオパス顔パスコンパスパスパスパス
季節は変わって行ったわ。
秋になるとあたりが渇いてきて、肌が人恋しさを呼ぶ
それでね、その季節の度に凍ったものだわ。
■モラハラ人のシステム1
「わたくしもはまっていた人ですの。抱え込んで、だれにも相談できずに、相談することも迷惑になると考えていましたし、
心の中は申し訳ない、そんな気持ちと自分がだめだからだ、消してしまいたい、そんなきもちでいっぱいでしたわ」
「わかったらよくないのかもしれないけれど、それわかるわ」
「ふふふ、ゆるく、だれでもそうやって思うことがあるもので、わたくしばかりに焦点をあてて訴求追及してくることは、上司に課題があったのだと思いますけれど、そのときはいたたまれない気持ちでいっぱいでした。
上司はだれかをスケープゴートにすることで、過失もなんでも人に押し付けてご自身はクリーンなものとして訴えていたのですわ。ここに来てから遠くから俯瞰できるようになってわかったことは、
のちにきいたところによれば、わたくしの大学が少し上だったからという理由があったのですって」
■そのうちの一人
た良心はない
「この人には良心が存在しない、驚きの瞬間があったわ。
そうよね、良心は罪悪感の裏返し。罪悪感なんてもっていていいものではないわ。お得なしろものではないのよ。
少なくともわたしは彼の中にそれを見出さなかったし、あるふりをしていることを見てきた。
悪いことをしている気など微塵もないわけだから、
みんなに言うの。
『何かわるいことをしたか?』
とね、真を迫る勢いでそうやっていうの。だれが見抜けるかしら。何かを行ったとしてもね、つつっと日頃数え上げつくりあげても押し付け的てもいきたわたしの至らなさを大げさにあげつらってならべていくのよ。
何もできやしない。わたしはわたしで、なんてわたしはだめなんだろうって思ったわ」
「思うつぼですわ」
芽衣は悲しみを浮かべた。
「す、そういうわけね。
こういうことを話せるのって、弁護士か身内なわけで弁護士はお金がいるし、身内なんて世間が煮詰まったものだからさらに地獄を見るだけのはなし。それでも風穴になればって、できる限りの行動だったわけ。相手ときたら根回し上手、動きを察知するや贈り物やらなにやらかにやら実家に送るし、そんなことについて何かいうのも邪推だ、なんて言われるわけで何も言えない。心のこもったおくりものというよりも政治的な贈り物だ、なんていう方が嫌な気持ちでしょう?だから口を閉ざす。こういった理不尽がわかる人なんていそうにもない。ごめんなさい、芽衣さん。暗い話よね」
「大丈夫ですわ。珈琲の色と混ざればそれはまた深みのあるお話。そんな笹井な夫婦間のいざこざは、拡大すれば世界のことであったりするのですもの。大も小もそんな大差はございません。ほら、ロマネスクですわ」
「ブロッコリーね、マトリョーシカね」
「うふふ。それに、その理不尽を理解する人がいないなんておっしゃっていますけれど、きっとわたくしはそのうちの数少ない一人ですわ」
彼女は、人差し指を立てた。
「ここにもいましてよ」
芽衣はほほ笑んだが、同時に深部から湧き上がるような悲しみ交じりやさしさがにじみ出た。
■
「平和な表、開いても平和。それでもときにほころびがあるものですわ。そのほころびにつまずいたのですわ、翔子さんもそしてわたくしも」
翔子はうなづいて聞いていた。
「
ですけれど、ご破算、もっとも肩を持ってくれるべき人が、わたしがつらいときにわたしを悪く、そう悪く言ったのですわ。美しくない話ですわ、どうとりつくろったって、どんな演出家が創意をこらしたって美談にしがたいことですわ。ですから、口にもされず闇夜の中で苦い境をいったりきたりする方のどれだけ多いことか。
■本当に癒されるべき人
「
「毒親連鎖を断つわ。
「
■これぞ積んだというわけです
「小雨が降っていたわね、
それから凍てついた心が痛んでいて深呼吸の度にいたんだわ。あぁ、わたし積んだ、そう思った。このまま不幸でいよ、そんな箱の中で生きるのか、それとも・・・・。
そんなことばかり考える日もあったわ。
■はかれないことをいいことに
「
無断閲覧などの不快について、だれがわかるでしょうか?きっと幾人の想像力と配慮がある方ならわかるかしらね?そして、測れないことをいいことに
■自殺は他殺
「自殺は他殺だって言うでしょう?本当だと思ったわ。慰められるところを責める、そして追いこむ。
楽しそうにしていたら、気に食わないらしいの。
それで、、落ち込んでいる姿が嬉しい。
『お前ほどダメな人間はこの世におらん』
とやり、
『なぜなら』とはじめる
『お前はなにやっとんの』
とはじめて、自分は棚にあげておいて、至らないところをだけをかぞえあげて、こちらと、それから周囲につきつける。
その時の様子ほど勝ち誇ったような正義感に浸ってる様子はなかったわ。つまり、かれは正義感でもってそういうことをしているし、本人は自分がまちがっている、という思考をはなむこともないぐらいの確信ではなす。つまり、すごい説得力なわけ」
「正義感ってきもちいいものですわ。ですから、わたくしは気を付けていますよ。正義感がよくないとはいいませんが、しばしば正義の名のもとに国家レベルでは戦争が行われてきましたし、個人において正義感で人をおいやってきた歴史は多くありますわ」
「莉奈ちゃんも言っていたわね。本当にそうなの。大人になっていると、余計にたちがわるいものね。影響力を駆使してやってくるのだから。
私の場合は、母親とのはさみうち。はさみうちよ?」
「えぇ」
芽衣は、つらそうにうなづいた。
「ごめんなさい、こんな闇なお話」
「わたくしもモラルハラスメントの経験がありますの。そしてここにやってきたのですけれど、ここでマスターのお手伝いをさせていただいているのは、わたしと同じ苦しみを味わっている人を少しでもqueン期づけたいkらですの。マスターがそうしているみたいに人を救い出せる、なんてまではどうしても思えないのですけれど、ここで何かできるはず、と思ったときwたしもまんざらではないかもしれない、そう思えたのですわ。つまり、翔子さん、わたしはとても個人的な動機に基づいて翔子さんのおはなしに耳をかたむけているのですわ。ですから、お気になさらずに。」
「内発的動機っていうものってこと?」
「うふふ、翔子さんもすっかり学術系のお言葉になじんでいらっしゃる」
「そうみたいね。少し気がらくになったわ」
■愛着性障害の非HSP型
「
こうやって人を地獄に誘い込む人がいるわ。それが愛着障害の非HSP型だとわたしは考えるのよ」
正義感ってきもちいものね。お代官様の気分でいるのよ。そして、きりぬいて、あの人の口から語られる内容と、わるびれるどころか、自信たっぷり正義感にひたった様子を人がみたら、
『そうなんだ、そんなにひどいんだ、翔子さん』
ってなるわけ。
こうやって道真公は左遷されたのだと思ったわ。
おそらく遺伝的な性質をしらべたとしたら、欲望に弱いタイプなのかもしれないわ。
と責め悩み、外部での評価を下げる、そんなことにまさかだけどね、喜びを感じる人がいるのよ。これも信じられないわよね、だって、そんなことを言えば大抵の人が『まさか、そんな人いないわよ』って答える。わたしも心底そう思ってたわ。心底よ。お互いを幸せにするために人はいると思ってたの。それがどっこい、まず、自分の幸せのためだけに、わたしがいるとおもっているどころか、わたしの感情の”か”さえも尊重することもない、それどころか、お前ごときが幸せな様子みせるな、不幸でいろ、そうすれば自分は幸せであることを確認できる、そんな様子なのよ。そして、それはシステム1の無意識だし、本人は本にのことをすごくいい人間と心底信じていて、そうやって人を追い詰めたり、責めたりしているときは彼はオキシトシン系の、すまりは正義感でやっているのだから、自分は善だと疑うことなんてない。
それでね、そういう人は人を疑うのよ、代わりに人をいちから10うたがっているの。まぁ恐ろしいぐらいの不信。わたしもよ、
■あれでもある過去の傷
「ここに来る人は、悲しいですがある共通点がありますな。それは幼いk路に十分な愛を受け取っていないということですよ。だれかが悪いというわけではなりません。親でさえも愛が不足した迷い子であって、それを自覚していないことがあるのですから。こうして負の連鎖が続いていく」
「愛が不足したものどおしがひきあって、足らぬ足らぬと奪う人、渇望する人もいれば、
わたしなど受け取るに値しないと地獄にとどまる人もいる。
■風穴をとおしてくれたのは一杯の珈琲
「逃げ場はなかったってわけね、風の通り道もなかった。
最近の建物みたいね、密閉状態。
部屋の中で過ごす人は、肺病が多いっていうわね、それはおひさまの光が少ない空間にいるからかもしれないけれど、空気あよどんでいるからってことが大きいように思うわ。そんな密閉された箱にいたわけで、
絶望なんて、小説やドラマの中の人がするものだと思っていたのがとっぷりその中にいたってわけ。
そしてね、風穴を通してくれたのはね、そうこの一杯の珈琲よ。お石わね。本当にしみいる」
「ありがとうございます、翔子さん」
「翔子さん、か。嬉しいな、わたしのことをそうやって呼んでくれる人がいるってこと。ね、名前って大切よね、声かけがいつも優しい人は自然好意がわいてくるわ。なぜって、おまえ、だのおい、だの、そんな猫でももっとやさしくよんでくれそうなものよね。マスター、そういえばお名前聞いていなかったわ」
「おや、それがどうも忘れてしまいましてな、自分の名前を忘れたら元の世界に戻れなかった千尋ちゃんのようなものですよ。ははは。実に不思議なもので、わたしが私の名前を思い出したら、わたしはこの場所から消えてしまうんじゃないかと思うこともあるのですよ」
「マスターったら、妙な事をいうのね」
「うふふ、すべてが幻。もしかしたらそういうこともあるのかもしれませんわ」
「ということで、名無しなのですよ。名前っていうのは、生まれる前から決まっているのだ、そんな話をする人もいますし、名前とは自分の手足や皮膚のようにおいそれと離れられるものではありませんから、自然影響を受けていきますな」
■喜びへの許可
「彼らは報酬を常に得ているわけ。つまりモラハラの人々はね」
「だれよりも飢えて枯れた心を内側にもっているのですわ。それもたどりつくことはないし、自らのここを見ないことがご本人の防衛となってもいるのですわ」
「そうね、ほら慈悲の心があれば人的な災害からは自由になれるっていうじゃない?
地獄はね、慈悲の心のような人が活きる心根を根から腐らせてから入る場所なのよ。
ほら、芽衣さんのいう脳科学でいうなら、思いやりの脳みそパーツに電気刺激が入らないようになっていたわ。脳はまるで生きた道、通らないければ途端そこには雑草がはびこって道ではなくなってしまうのね。
心に栄養をくれるような思いやりというものが見えない聞こえないあたまかも存在しない、そんな世界にいたのよ。
そして、残されたのは、悲しいかな、
理不尽さへの嘆きと、
どうにかして不公平をわかってもらおうともがく心。これはTHE承認欲求,でしょう?
協調性オフの遺伝子の人がうらやましくもあるわ。ほら、他者に思惑やら期待、そんな声が小さくて自分の心の声に従ってうごきやすいわけでしょう?」
「うふふ、その点は、本当にそうですわね。どのみち一長一短なのですけれど、見習いたいぐらいですわ」
「ね。現代社会の生きやすさという点でいえば断然協調性遺伝子オフの人たちだと思うわ。
聖徳太子さんはかつて『和をもって尊し』そうやっておっしゃって建国が始まった。それで繁栄をしてきたのが日本。今聖徳太子さんが生まれたのならは『個を立てて尊し』そういいそうね。
協調性の調整ができればそれにこしたことはないわね。
今はオンしてOK、今は周囲にまきこまれたらいいよういかないからオフ、って」
「うふふ、それなりに努めましたら今よりは前進するように思いますわ」
「で、やっぱり遺伝子は遺伝子、完全に見習えることなんてないと思うの。彼らは『周りなんてきにしなくていいんです』というわ、本当にそのとおりなのかもしれないけどね、
『周囲を気にしないでください』これはわたしにとっては
夏の強い日差しの
下にいてもひやけしないでください、っていわれているようなもの、と言われたって日に当たったら日焼けするのと同じよ。だから、なるだけ強い光には当たらない方がいい」
「うふふ」
「それでも当たってしまう環境にいて、ただでさえ日光によわいところにさらされて炎症がひどいわけ。
強力サンスクリーンでもあればまだましかもしれない」
「今時サンスクリーンは必須ですわね」
「あ」
「どうなさったの?」
「そうね、強力サンスクリーンがあればできないこともないんだわ」
『箱メモ』「日に当たったら日焼けする。それは自然なことね。人によっては赤くなってからまた白く戻る人もいればこんがりいい色になる人もいる。わたしなんて紫外線で皮膚は赤くただれて、それからボクシングでもしたあとみたいに顔がふくれあがるわ。内部で炎症をおこしているのかしらね。これだけ違う。身体のことなら、『保護しましょう』となるのに、メンタルに限っては強くなるためには刺激にさらす、そんな基軸があるみたいに考えているように思うわ。わたしだけじゃなくて、多くの人が、よ。
それで、人はいうのよ。『お前が弱すぎる』『弱いのがわるい、強くなれ』『みんなやってるじゃないか』ってね。
わたしもわたしで『それもそうだ』って、紫外線を浴びる。
大多数の人は、わたしみたいに腫れ上がったりしないのだから、民主主義の適用か、説得力があるのよ。それで、わたしもわたしで『やっぱりわたしは弱いからだめだ』『強くならなきゃ』って、紫外線を浴び続ける。結果肌はもう収拾がつかなくなって心身ともに疲れ果て『やっぱりわたしってだめなのね』って認識を深めてしまう。これが負のスパイラル。「人って2つの足で走って歩いて、チンパンジーと比べたら森での生存能力は低い。この程度には似ていてもみながみなちがいますわね。それと、やはり、自分には容易なことが他者にも容易だと思うこともあるのですわ」「わたしは、お肌弱いから防衛が必要です。そうやってはっきりと言えたらよかったのね。お肌が弱いことを知っているように、心も鋭敏に外界刺激に反応してしまうって知っていればよかったのね。人の心をえぐることで喜びを得るような人間がいるってことを知っていればよかったのね。そういう人はいつも餌食を探しているって、知ってればよかったんだわ。何より、自分がそんな弱いタイプだって、知っていればよかったんだわ。『わたしはメンタルが強い』なんて思っていたりもしていたのよ。ちょっと我慢強かったりしたから、そう思っていたのね。やっと少しは賢くなったように思う」翔子は珈琲を口に運んで一息をついた。「だからって、特別とかじゃないのよね」「特別でいいのだと思いますわ。みなさま特別ですわ」「マスター流ね」「うふふ、ときに特別感は強さをもたらしてくれますわ」「あ、それね、わたしもかつて虐げられたユダヤの人たちは”特別感”をもってして耐えようとした。本当に、特別だ、といいたかったわけではなくて、ユダヤの人たちに困難を超えるための強さを引き出してもらおうとしてのことだった。特別感が強い人っていやなものだけれど、これでさえも使いようってことね。『わたしたちは特別だ』、なんてチームを強くしそうだし。メンタル弱いからって防衛一点張りではなくて、今より強くなりたいっておもってるから、特別感もっていみょうかしら。でも、そういうのって自分がすぐにいやになるの。だから、自分と同じぐらい、他の人も特別なんだって思うようにするわ」「うふふ。誰もが特別な存在ですわ」
■自分の悪口
「自分はだめだ、なんて自分の悪口だよね。謙虚と悪口は違うわね。内省も違う。ほんと、まったくわたしはだめね・・・、じゃない、っと」「うふふ」「何をもってだめなのか、感情部分をろかするなり電気泳動するなりで分離して、検討すべき批判対象として理性的に扱う、これが強くなるシークレット!シークレットでもなんでもないわね」「何を言われても傷つかない、そんなことを求めるのは、いつも甲冑か新素材の宇宙服をきて生活しましょうっていているようなものかもしれませんわね。無菌を求めることは、実験室なら必要ですけれど。
言葉はときに刃となり剣よりも深く人を刺すとは聞いていますけど、言葉の威力を無力化していくこともできるのですわ、その技こそメンタルが強くなるということかもしれませんわね。
走ったり、筋トレしたり、瞑想習慣を取り入れたり、なるだけ他者に貢献できるようなご自身の存在をお認めになれる活動や、祈り、朝散歩、朝の活動のルーティン化
を続けることも変わらずおすすめしますわ」「人が入ったり出たり、珈琲を飲みながら本当によく聞いたけど、実践ありきよね」「うふふ、どれかひとつずつでもお試しになってくださいな。この世は実験ありきですもの」
■最弱にして最強に至れるわけ
行動の軸があの人になっていたってわけ。無意識レベルでね。
愚かよねぇ、自分でこういうことをいっちゃいけないって今では思うけれどね、あの状態が愚鈍というのよ」
「そんな、仕方がありませんわ。そんな無意識の世界は幼い頃につくりあげられているのですもの」
「そうよね、そうそう、
でね、
なんていっちゃいけないのよね。そういったならば、
そうだ、お前は愚かだ、の槍どころか毒針が何本も飛んでくるのだから」
「翔子さんったら」
■
****呼応したこと****
■気付きに蓋
■わたしも気が付いていなかった
「
気づいてからも地獄は続いたものだわ。地獄なんてものは、セロトニン不足エンドルフィン欠如、オキシトシン欠落、そんな風に説明する方が令和っぽいかしら?古来からの言い方をすれば、地獄よ。内面の声はこんなところかしら
信念を変えるところをなぜわかってくれないの、なぜどうしてそんな矛盾を平気でするの?なぜそれ不公平だよね、不公平をわかってくれないの?なぜ、助あいではなくて命令搾取前提なの?
こんな思考ね。
結局は、わたしも自分自身の内側の信念体系を見る扉が固く閉じられていたの。
ね、ある日ね、軽蔑に満ち満ちた目でわたしに言ったわ
『お前なんかにいわれる筋合いはないわ』
ってね。あの軽蔑に満ちた顔が忘れられないわ。あぁこの人は、根っから自分を上等なものだと信じ込んで、他人を軽蔑しているんだわって。
だけど、わたしもね、おもえばこの人を軽蔑していたと思う。軽蔑
心でそう思ってた。この人は人の心に配慮もない、人としてもみない、自分の快に資することが正義、罪悪感もない、
■+極と極
「わたしは尽くした 相手は奪った それが当然だし 足らないと伝えることでわたしを縛ったし地獄を見せた
私の根底にあったのは、たぶん認められたい欲求
『離婚してください』
これに応じなかったのはシンプルに扱いやすかったから、
益することころがあったから
相手にとって、わたしの苦など関係ないのだから」
「翔子さんの場合、お相手との関係性がモラハラ関係だけではなくて、サドのそれ、サイコパシー度の高い人の縄でもあったのね」
「支配に対する服従か反抗か そんな関係性以外の構築が見いだせないようなものね。
ふぅ、こうしてね、珈琲を頂いている間に今は支配的な人、近づいたらいけない人のみ分け方、
■自殺は他✖!?
「でね、ほかならぬわたしも気づいていなかったのよ。まず、彼がわたしを鬱においやっているということ。自殺は他殺ってあるなんて📚があるけれど、私納得するわ。
気付いた居ないことがはまっていた潮流から脱する方法だけじゃないわ。潮流の中にいたことさえも気づいていなかったの。
どうしたって、幸せでいてほしいと思ってくれてると思ったし、どうしたって、わたしが悪い、こちらが改めるべきだ、ずっと悩んで落ち込んでがんばって、もがいてた」
「モラハラ潮流ですわね」
「そうね。渦といってもよかったわ」
「
■母親の代わり
「
「ほら、よく配偶者がとの関係は幼い頃の親との関係性だなんていうわよね。幼い頃の統計学習が無意識のうちに人とどうやって関係しあうのかを決定するって。
彼は、母親を恨んでた。十分に愛を注がなかったからよ。少なくとも十分に愛を与えてくれたと感じることができなかった。そこで、彼は無意識で恨んでいたのよ。
そして、結婚。わたしに復讐を始めた。
システム1がとらせる行動であり、言動はわたしをきずつけるため、痛めつけるため、いたぶるため。
街に言っては妻があーだお、こーだといい、それからわたしを精神的にいたぶり喜ぶ。そう、喜んでいたのよ。でね、それがいちがいにサド気質とは言えないの。
*******わたしに何ができたのか*******
■これは後ろ向きとは違うこと
「わたしもですわ、認めることなどない世界で、わたしはにめられようと克己復礼の名のもとどこまでも際限も果てもなく動いていたわ。やめればいい、それができないでいたのですわ。今思えば不思議なはなしですわね。あの地獄はなにだったのかしら。
ふふふ、お若い方々は職を変える。それで、転職採用のときには転職数が少ないか、否かでふるいにかけることがあるとか。芭蕉さんでもなければだれでもかれでもるる点々というわけにはいかないですけれど、職場事情はきっとど益々かわっていきますわね」
「ほんとね。再就職が天空の城にのぼるようにおもえたものだったわ」
「翔子さんったら。そのように思うのも無理もないはなしかと、思いますわ」
■決着
「喧嘩両成敗、なんてものがあるけれどそれってご都合主義だわ。ほら『正義より平和を』なんて適用したら、うまく機能しないことだってたくさんある。
搾取され続けて抗議を行ったら、こらこら喧嘩しない、喧嘩しない、喧嘩両成敗、
なんて言われたら搾取された側は、マイナス地点からスタートしなければならないし、搾取したがわは得をしてラッキー、そんな状況になるわけでしょう?
搾取された側は、
それでも命があってよかった、だの、ごみをあさってもそれは宝の山だ、なんて神様にでもならない限り、なかなか失われたものの喪失感から立ち直りがたいわ。
でね、わたしにできることが少しでもあるかしらって思うようになったの。少しでも貢献できる何かがあるかしらって」
「翔子さんでしたら色々なことがおできになりますわ。あら、ごめんなさい。いろいろ、なんてそんな具体的ではないことを。あの、マスターではありませんけれど、可能性は無限大と・・、お伝えしたいのであって・・」
「ふふ、ありがとう。わたしね、法律、学びなおそうかと思って。『学ぶ人は変えていく人だ』なんて、こどもの問題集のしおりにあったわ」
「うふふ」
「学んだことを世の中に還元していくことが次のステップね」
「喧嘩両成敗、正義よりも平和を、そんな標語は活用できるし乱用もできる。そこを法でかえていきたいの。用意はできているわよ、弱者保護は逆差別だ、女性を弱者と決めつけるのは差別だ、
とかね、こういう声を発する人はたいていは奪って持ち逃げしたいずるい人か、標語やら字面にとらわれて全体を見失っている人ね」
「翔子さんならきっとご活躍なさるわ」
「ありがとう。ほんと言うと不安なんてスーパーのあられを集めてもたらないぐらいだわ」
「翔子さんったら」
「くじけるのは予想済み、壁が現れるのも想定してる、罠に次ぐ罠も覚悟。歳はいいわけにしないわ」
「うふふ、それは存じておりますわ」
狭い箱で朽ちるか
閉じ込められた箱について愚痴るか、これは老害コースね。それもきっと人生なのかもしれないけど、小さくなった箱をわたしは出るわ」
「物質、精神、両方のはなしかしら?」
「えぇ、そうよ。それでね、わたしは珈琲のおかげかしらね、通常の人たちがこんな安全な気持ちで日々を過ごしているってことを知って驚愕しているの。
珈琲、かしら?マスターや芽衣さん、それから俯いてばかりいた時期も口うるさく語っていた時期もここで出会った人たちのおかでかもしれないわね、ありがとう、わたしもそろそろ立ち上がるわ」
「
『箱メモ』「日に当たったら日焼けする。それは自然なことね。人によっては赤くなってからまた白く戻る人もいればこんがりいい色になる人もいる。わたしなんて紫外線で皮膚は赤くただれて、それからボクシングでもしたあとみたいに顔がふくれあがるわ。内部で炎症をおこしているのかしらね。これだけ違う。身体のことなら、『保護しましょう』となるのに、メンタルに限っては強くなるためには刺激にさらす、そんな基軸があるみたいに考えているように思うわ。わたしだけじゃなくて、多くの人が、よ。
それで、人はいうのよ。『お前が弱すぎる』『弱いのがわるい、強くなれ』『みんなやってるじゃないか』ってね。
わたしもわたしで『それもそうだ』って、紫外線を浴びる。
大多数の人は、わたしみたいに腫れ上がったりしないのだから、民主主義の適用か、説得力があるのよ。それで、わたしもわたしで『やっぱりわたしは弱いからだめだ』『強くならなきゃ』って、紫外線を浴び続ける。結果肌はもう収拾がつかなくなって心身ともに疲れ果て『やっぱりわたしってだめなのね』って認識を深めてしまう。これが負のスパイラル。「人って2つの足で走って歩いて、チンパンジーと比べたら森での生存能力は低い。この程度には似ていてもみながみなちがいますわね。それと、やはり、自分には容易なことが他者にも容易だと思うこともあるのですわ」「わたしは、お肌弱いから防衛が必要です。そうやってはっきりと言えたらよかったのね。お肌が弱いことを知っているように、心も鋭敏に外界刺激に反応してしまうって知っていればよかったのね。人の心をえぐることで喜びを得るような人間がいるってことを知っていればよかったのね。そういう人はいつも餌食を探しているって、知ってればよかったんだわ。何より、自分がそんな弱いタイプだって、知っていればよかったんだわ。『わたしはメンタルが強い』なんて思っていたりもしていたのよ。ちょっと我慢強かったりしたから、そう思っていたのね。やっと少しは賢くなったように思う」翔子は珈琲を口に運んで一息をついた。「だからって、特別とかじゃないのよね」「特別でいいのだと思いますわ。みなさま特別ですわ」「マスター流ね」「うふふ、ときに特別感は強さをもたらしてくれますわ」「あ、それね、わたしもかつて虐げられたユダヤの人たちは”特別感”をもってして耐えようとした。本当に、特別だ、といいたかったわけではなくて、ユダヤの人たちに困難を超えるための強さを引き出してもらおうとしてのことだった。特別感が強い人っていやなものだけれど、これでさえも使いようってことね。『わたしたちは特別だ』、なんてチームを強くしそうだし。メンタル弱いからって防衛一点張りではなくて、今より強くなりたいっておもってるから、特別感もっていみょうかしら。でも、そういうのって自分がすぐにいやになるの。だから、自分と同じぐらい、他の人も特別なんだって思うようにするわ」「うふふ。誰もが特別な存在ですわ」
■自分の悪口
「自分はだめだ、なんて自分の悪口だよね。謙虚と悪口は違うわね。内省も違う。ほんと、まったくわたしはだめね・・・、じゃない、っと」「うふふ」「何をもってだめなのか、感情部分をろかするなり電気泳動するなりで分離して、検討すべき批判対象として理性的に扱う、これが強くなるシークレット!シークレットでもなんでもないわね」「何を言われても傷つかない、そんなことを求めるのは、いつも甲冑か新素材の宇宙服をきて生活しましょうっていているようなものかもしれませんわね。無菌を求めることは、実験室なら必要ですけれど。
言葉はときに刃となり剣よりも深く人を刺すとは聞いていますけど、言葉の威力を無力化していくこともできるのですわ、その技こそメンタルが強くなるということかもしれませんわね。
走ったり、筋トレしたり、瞑想習慣を取り入れたり、なるだけ他者に貢献できるようなご自身の存在をお認めになれる活動や、祈り、朝散歩、朝の活動のルーティン化
を続けることも変わらずおすすめしますわ」「人が入ったり出たり、珈琲を飲みながら本当によく聞いたけど、実践ありきよね」「うふふ、どれかひとつずつでもお試しになってくださいな。この世は実験ありきですもの」
■最弱にして最強に至れるわけ
「大人のいじめって陰湿だし、やまないのよ。子供は自覚していないわね、大人もよ。快感だからやってるの。たまらなく楽しいのよ。あの人なんて、いちから100negative発言。冤罪、なすりつけ。なすりつけってね、自分がみたくないものを他者にあてこすってくるの。それを何度も何度も何度も何度もする。事実になるまでするの。お前はく狂ってるくるってるお前はくるってる、そうやって朝から晩まで怒鳴られたら、人間おかしくなるわよ?そういうことをずっとしてきたわ。あぁこれが地獄ってことねって今更ながら思うわ。大した体験をしたものね。『スルーすればいいだけのはなし』なんて、簡単に言ってのけてしまう人がいたら、腹立たしいわよね。わたしも違う分野でそんなことを言っていたかもしれないと思うと、反省のいたりだけどね。
ほら人間って自分が簡単だと思うものを他人も簡単に違いないと思うようなバイアスがあるっていうけど、本当にそのとおりよね。
スルーなんて簡単にできるものではないわ。人間だから。人間だからよ。人間は、社会性を育んできたことによって生き延びてきた生物だからよ。他者からの非難やいじわるな言葉はことに響くものよ。お前は00みたいだ、って小さいころに言われた言葉がずっと長い間響いてたなんてことは、ざらにきくけど、わたしは、毎日朝いちそれで晩までそれ。だったら、離婚してくれたらいいのに、したくないっておかしくって」「だって快ですもの。快を手放すなんてことしたくないのですわ」「依存してきているってことね」
*******わたしに何ができるのか*******
弱虫こむしちいさなむしそのこはときに顔をだして、にったり笑って僕をひきずる。そいつを操る術をさ、僕らはみつけていくんだよ。そしたら、弱虫こむし臆病なかげは、僕らを守る魔神となり、こむしは自分がやっと好きになる」
■翔子のシステム1
「でね、わたしのシステム1もシステム1なわけ。呼応するものがあったから、わたしは地獄に行ったってものよね。
マイナス極から電子はでて、プラス極に移動するけれど、
ずっと考えていたわ。どうしてわたしだけこんな目にあうのか、どうしてこの人といしょにいなければいけないのか、こうまでされて、そんなディスってけなして、みくびって、下において、姿をなじって笑っていあんがら、どうして離婚をしてくれないのって。
ずっとおもってた。
それなら離婚します、って言ってくれるって思っていたのよ。
まぁそんなわけはないわ。だって、それで快を得ているのだから。
他者を否定することによって自己肯定の快を得る、他者をしたにおくことで上である悦を得る、
つまり彼にとっては至極合理的に簡単に幸せが手に入っていたというわけ。
こちらはそんな構造があり得るなんて信じられなかったわ。信じられなかったの。まずもって、大前提としてね、人はお互いの幸福を増しあうために夫婦になるものだって合意があるものだって疑うことがなかったの。
だから、ずっとわたしは自分がわるいって、満たせてあげていないって、がんばりにがんばったし、それに自分は至らないんだって悩み落ち込んでいたわ。
その至らなさに悩み、落ち込む姿こそが悦ポイントだったなんて思いもよらなかったのよ。
あるとき、気が付いたの。やっと気が付いたのよ。
この人、それで喜んでいるんだって!どれだけ長い年月をかけたのかしらね、わたしもわたしだわ。
人はお互いの幸福を増しあうために友となり夫婦となる、なんて理想があったりまえのよっかーピザヨッカーだったのよ」
「違った形で元だんなさまをお幸せにはしていたのですわ」
「そ、そうなのよ、そういうこと。で、真の意味ではないわよね?」
「なるほど」
マスターは珈琲を飲んだ。マスターが珈琲を飲む姿を見ることは翔子にとっては初めての事だった。
■期待
「ふぅ。元夫のそんなシステム1にやっと気が付いたとき、どうすればいいのかわからなかった。私のシステム1は、どうにかして変えようとおもっていたのかもしれないわ。
『それは間違っているのよ、人の成長や成功を応援したり喜んだり祝福することこそがいい悦よ』なんて道徳基盤がわたしには多分濃厚にあって、正論戦争みたいなことを無意識のうちにしていたのかもしれないわ。
『どうしてわかってくれないのって。どうしてそうなの?そこおかしいよね?』ってね。
いつかきっとわかってくれる、そんなこどもじみた希望があってその信念を変えたくなかったこともあるように思う。『いつかわかってくれる』はこういうケースは断捨離対象の思考よね。はぁ、つくづくね、この思考のおかげで満たしてあげようと認められようとがんばりにがんばったわけね」
「それ、わかりますわ。思いますのは、その思考そのものにも良しあしはないってことかもしれませんわ。きっと適用場所ですわ。オンオフの切り替えこそが大切なのかもしれませんわ。だって、だれだって認められたいものでしょう?だれだってということはありませんけれど、ほとんどの人が認められたいものですわ。承認欲求は捨てましょう、外部に動機を置くことはそれはほめられたものではありません、言うのは簡単ですけれど、子供が親に認められようとすることそこには命の連鎖の根源的な場所に動機があるようにおもいますもの。言い換えれば、それは遺伝であっていたしがたのないもの
」
「人が変わること、わかってくれることを期待することは、ときとして大変ですよ。時間と労力をかけても徒労を超えた望まない結果がやってくることもありますから。その場合もそこから学びを得ていく人がいるものですが、まずやめておいた方がいい」
「マスター、そうやっていうけど、驚きの変化よ?ここに来る人は悉く変わってる。コーチは人を変えるのよね。お医者さんもある意味人を変えることが仕事の人。マスターもよね。この目で見てきたわ。人は出会う人によって変わるわ」
マスターは珈琲カップをことりとおいた。
「それはわたしが期待しているからですよ。きっとよくなられる、と」
「矛盾してるようにきこえるわ」
「
それはここに来る人が柔軟性が高いからですよ」
「受難性?たしかに」
「おっと、柔軟性、柔らかさです。これは私見ですが、胎児期、それから誕生から幼少期にかけて愛着形成て未熟なままの人は変わりにくい、そう考えるのですよ。なぜってそれは彼らは変化を恐れるからです。自己の内面を見つめることにひどく恐怖するのでしょう。それで、内面をみているつもりで、愛されるべき人から愛されなかった、そんな悲しみや無価値観に鉄の蓋をつくって、無理やりこさえた自らの理想像に固執したり、鉄の蓋の奥で冷気は他人にあると信じ込んでいるのです」
■小さな箱から出ない人たち
「結局はわたしも愛着障害傾向が高かったってことよね」
「誰でも完全に愛に満たされている、そんなことはないかと思いますよ。ひとの一生においても満たされたり欠ける時期があったりするものかと。月のようだとはよく言ったものです」
「そうよね、きっと。苦しんだもの、苦しませたもの、そんな構造はあっても結局パズルのピース状態ではまっているからぬけられない。もがけばもがくほど食い込む茨に体を縛られ、血みどろになってどうしようもない、だけど縛っているものが何なのか見えない。覗こうとしても底の深い沼を覗くようでどこに見つけたいものが沈んでいるのかもわからない。
それが澄んだのよ。それがとっても澄んだの。清い水よ。沼の水が澄んだ湖畔の水に変わったの。人ってそういう風に変わることってあるのかしらね。
珈琲は濾過しても黒い液体。不思議ね、沼の濁りが珈琲に吸収でもされたみたいに澄んでるの。 そして見えたものは底にあるものだけじゃなかった。わたしがどんな箱
『ロマンにはじまり ロマンに明け暮れる
夢のタイムラインをわたしは選ぶわ』
■プレ人生。人生ははじまらない、子供のままの大人
■影は忍び寄るもの
「影ってね、忍び寄るものよね。『やぁおれさまは陰さ、ぬっとあらわれたのは取り繕くためさ、お前に憑りついて光の届かぬ井戸よりも暗くて湿った場所へお前を連れていくからな さぁこの道をまっすぐにいけ』
そんな風にはいってくれないのよ。
地獄の門だってどこぞやの美術館に飾られているように、ゴージャスな白い門にはできちゃいないわ。
茨の道です、そんな標識もない。なだらかに続く草原なのよ。一見ね。
一見小鳥さえさえずっていそうで、一見花も咲いていそうで、一見泉もある、そんな道なのよ。
それがどっこい、なんだか暗いわ、いいえ気のせい、わたしがつかれているせいね、
なんだかだるいわ、いいえただ休み足らないだけね、
なんだか寒いは、冷え性が昂進したかしら。
それが気が付けば、あー、どっぷん あわぶくあわぶく・・・・
沈みゆきはぁ息も絶え絶え、
ここはもうどこかしら
もう息苦しくて
出たいの
だけど出口なんてありはしないわ
あ少しあかりがみえる、
と思えば勢い翳があたりを覆う、
誰か光を遮るのを見えた気がするけれどだれかしら
だれかしら
それは、可能性を塞ぎにかかってくる人、
天気予報もありはしない、
鳥瞰できる地図もなければ羽根もない
羽根がないどころか 視力がたらない
予防注意報はでていたかもしれないけれど、
よもやわたしが
まさかわたしが
いつだって火事は対岸で、
それから戦争も死もお隣さんとの問題もどこか別の場所で起こっていて
それは生き残りが大変などこかの新聞の記事かネットのニュース映像か
どこかのもの
そんな風に思っていたのよ。
思っていたの」
「えぇ」
芽衣はだまってうなづいた。翔子は珈琲を口運んだ。珈琲カップは000の00。かねがね彼女は00の花が好きだと言っていて、今日この日に珈琲カップが届いたのだ。
マスターはこうしてお客さんが好きな花、お客さんを見て発想する花の珈琲カップを集めるのだ。
「ほんと、これ素敵よね?ねぇ、視覚情報がわたしたちの認識に大きく影響を与えるってここで聞いてきたわ。それに実感した」
翔子はXを想っていた。
「ふぅ、格ってあるわよね。人は平等なんかに生まれていない。平等は幻想だわ。
ルックスもIQ遺伝も金持ち遺伝子も愛に満ちた親に生まれるかも。幸福へのアクセスのしやすさもそれから心の内側へのやさしさも」
珈琲店に沈黙とまあたらしい珈琲の香りが対流した。芽衣は少し悲し気に見え、またマスターは心を無にする時間を意図的に作るかのように、珈琲をいれていた。
※
「今日はお客さん少ないわね、莉奈ちゃんもいってしまったわ。ここってこんなにひろかったかしら。人がいない珈琲店ははじめてかもしれない。連日結構いたから。正直、さびしいわ。遠くにいるから、心の中で思ったときにはつながってるってことだから、いろいろね」
「そうですな。」
「『心配は送るな、信頼をおくれ、エールをおくれ、あなたならきっとできる、乗り越えられる、つらいなかにもいくつもの解決策を試みてたどり着く、あなたならできる』莉奈ちゃんならできる」
「そうですな」
芽衣もかすかに微笑んだ。
「ふぅ、ほんと静かね。」
「そうですな」
「そうですなばっかりね」
「えぇ、これはありがたいことです。」
「ありがたい?お客さんが少なくてありがたいの?」
「あぁ、いやぁ、その、最近は忙しすぎてですな、その、わたしはどちらかというと少ない人の健康を長い間みまもっていく町医者みたいな性質がありまして、その、ですな、あまりにも人が多いと、こう・・・、疫病でもはやったような気がするのですよ。今はこうして翔子さんとやっとしっかりとお話ができる」
おはなしってたって、心に生じる言葉をそのまんま口にしているだけだけどねぇ、こうやって口から出る言葉と心の中で考えていること、そこには何万海里と隔たりがあったのよ?それが取っ払われた」
「それはよかった。冥利につきます。変化が嬉しい」
「マスターは大げさねぇ。今流は、ノータッチでただお客さんに『おいしい珈琲をお届けします』な時代じゃない?」
「それもそうですな」
「そこもそうですな、なのね」
「まぁ、そうですな、そのつもりでいるのですが、やはり珈琲を味わう舌はみなちがいますから」
「そうね。違うわ。同じ工場で出荷された同じモデルのPCだって、ドラえもんとどらみちゃんとまではいかなくてもちがっているんだから。ましてや部品が違う人間だからね」
店内にまた沈黙が流れた。芽衣は莉奈ちゃんが残したノートを手に取った。
「 光が滅多に届かないだけじゃないのよ、たまに届いたらものすごく眩しいの。じめっとしていていつも地面は不快感。そこから出られたわたしはね、ドラキュラじゃないのにお日様がまぶしいの。きっとドラキュラのつもになったなんて自覚もなしに、ドラキュラになっていたのかもしれないわ」
■
「きっと入れ子よね、わたしはそういう人にあたってしまった。だけど原因は自分にあった。莉奈ちゃんの言うシステム1ね。そこにあったの。
■
『マスター、わたし、わかったの。あの人も気が付いていないの。あの人も身体じゅうに悪魔がはびこってるって気が付いていないの。
だから、あの人もビクティム。ビクティム。
それとね、
きっとわたしのなかにも別の悪魔がいて、
その悪魔があの人の悪意の声を拡大していたんだ。
ねぇ、どうしたらいいかって考えたの。まずは考えてみてっていうからさ、考えてみたの。
きっと私の中にも悪魔がいて
人間の中にはだれもが若干の悪魔がいて
それはときに善行為をすすめることもあるし、
ヒトへの誹りに悦するようなこともあり
わたしにょうに自分にむけられた毒矢に治療薬を与えないってこともあるのね。
それで、大切なのは、きっと・・・
存在に気が付いて
飼いならして小さく小さく小さくしておくこと』
「莉奈ちゃん、大人ねぇ、本当にそうだと思うわ。気が付いていないのよねぇ。わたしはね、さらに気が付いていないことにあったわ、
⓵自分が鬱状態に入っていたこと
②追いやっていたのは身内だったということ
そして、⓷かれらがその言動や行為を無意識で行っているということ。
わたしは地獄を見たわ。地獄をみたから見させた方が悪い、ってそうでなくっちゃいけない道理みたいなものがわたしたちには
「ちっさな積み重ねよね、目的は自己評価下げ。例えばわたしが辰年だったとして、辰が出てくるたびにディスるの。いわゆるカバートアグレッションだけど、それってなにも言えないでしょう?被害妄想だ、とすればいいだけだから。わたしに付随することをディスり続けるのよ。でね、わかりながらやるの、そしていやな気持ちでいるのを楽しんでいるのよ」
「ご本人は楽しんでいらっしゃるから、悪いなんて思っていないのですわ。本人にとって楽しいことはいいこと、ただそれだけなのですわ」
「これってね、なかなか共有できないことだったの。まさかわかってくださるなんて思わずにいたわ」
「今の精神科医やら心の専門家たちはそのあたりはよく知っていますよ。カバートアグレッションをするタイプの人ですな」
「小さめの目、それから太くなった手足、テレビで体の大きな芸人さんが出てくるとお前がいるとばかりな言い方でディスりを繰り返すの。うわぁ、でぶ、こいつでぶすぎちゃう?うわぁ、目ちっさ、人相わる、悪い顔ってね。言い方はこちらにむけていながら、悦の様子。わたしの人格やら尊厳やら気持ちやら自尊心やらを傷つけることに快を得ているのよね。
私のこと言ってるの?とも言えない、言ったって、お前頭おかしいんちゃうか?テレビやろ、ってね、また傷つくような言葉を言われるのがおちよ」
■行為を行った人はすすぐにわ
行為を行った人は早く忘れるものよ。
わたしもかつては、こんなアドバイスをしたことがあったわ。
『そんな辛いことは忘れてさ、相手が理不尽であってもそのことについてわだかまっていたら先にすすめないのは、相手じゃやなくてあなたなんだから。ね、ここは難しいのを承知で忘れるか、その悔しさをばねにするの。それが開いてへの一番お見返しになるから】
なんてのたまったものだわ。
そんな簡単じゃないわよね。ちいっとも。
合理主義が極まった時、富を得るには奪うのが効率がいいとばかりん、植民地支配の旗をかかげて世界に船が漕ぎ出でた。奪いに奪って、殺戮もあって、それはもうやめましたから、なんて言う。かたや繁栄をもたらして、ごちそう様でした。どっかーんと世界中が炎の中。傷跡は長く侵略の土地に苦々しい汗と涙を流したわね。
愛する人を理不尽に奪われたのなら、自らを焼きながら増悪の焔を燃やす人だっているわ。
どんな原因であれ、増悪の焔は同じ色。
いじめて得られる快感も
努力の末に得られる喜びも
差があると見れるのは人間の理性なわけで身体反応としてはかわりはしないのだわ。
■赦し
それでもいるのよね、舌をきられてもまだ歌う雀が。
羽ばたけなくなって、滑空の想いでから物語を作る人が。
聞こえなくなった耳で天上の音を奏でる人が。
見えなくなった目で、美しい空の色を思い描く人が。
いるのよね。いるんだわ。それも人。
わたし、そうなれるような気がするの。
だって、わたしだって人だから」
■これからすること
「ねぇ、マスターにお伝えしてくれる?珈琲ごちそうさまって。わたし行くわ」
「翔子さん」
「ね、ちょっと大げさあんこといって恥ずかしくなったわ。でね、これから何をしようかって思っているかというと親であろうとするの。もうちょっといい母親であろうってしにいくの。フランス女性にはなれなさそうだわ」
「翔子さん、マスターが悲しがりますわ。申し越しお待ちになってくださいな」
「また、ここで珈琲をいただいてしまいそうだから、今行くわ。やりたいことたっくさんだだし
「翔子さんなら、きっと充実のうちに実りある活動に携わりますわ」
「ありがとう。
四方八方塞がりのママ救出、シングル子育て支援体制充実、法改正、もう枚挙にいとまがないわ。
なんてね、まっさきにすることは子供を抱きしめること。対話すること目と目を合わせて愛情ビームを注ぐこと。
もっと子供と話していっしょにる時間を作って、ママがどれだけ子供を大切に思っているってこと、お互いに不完全体で道中ってこと、私の子供に生まれてきてくれてありがとうってこと、
これは嫌なほど伝えてきたつもりでいるけど、もう一度ちゃんと伝えるの。それからママは人生の闇にいて、マリファナ海峡に沈んでいたけどそこで珈琲をつくる人魚村に来て、
王様ときれいな人魚さんにあってきたって言うわ。
そこで、あかりをもらってきたの。これからこの光を灯し続けるわっ伝えるわ」
「翔子さん」
「それからね、お決まりよね、ぎゅっと抱きしめるの。それだけ」
「素敵な母親ですわ」
「ありがとう、これからよ。
わたしは女というよりなの母親かしら。春めいたきもちになりはじめているの、女としてのどきどき。これは母親として矛盾しないかしら、おっと、それはまたいつかおはなししましょ。それこそ華やかな女子トークね。箱から出た後のお話」
終わり
■
「ねぇ、本当におしゃべりよね、わたし。信じられないくらいよ。無口だったのよ。コミュ障かな、とも思ってた。きっとこの珈琲のおかげね。ほら、話したら離す、これって前前から聴いてきたけど、そもそも話せていなかったのかもしれない。わたしの奥にある心の声」
「翔子さんはとてもおやさしい音がしますわ」
「よわっちいってことかしらね。最弱のこいキングね」
「何ですか?それは」
「ポケモンですな」
「マスター知っていらっしゃるの?」
「老子も最弱にして最強ですぞ」
「これでも息子に母親の顔できるかしら」
「ほこりにおもってくれますわ」
翔子は俯いてから珈琲カップをゆっくりと口に運んだ。少し冷めた珈琲は、苦みが強く感じられたが、翔子にはちょうどよかった。
「はぁ、自信のかけらの寄せ集めるたびに踏みにじられていたの。わつぃ、よくがんばった、っていってもいいかしら?」
「勿論ですわ」
「
彼らがお願いをきくとおもってはいけないわ
いつだっていじって笑うことのずるい快のことがいっぱいなのです
ずるいことはよくないこと、そんな判断基準は存在しないの。
だから、伝えたいな、どうかそのことで悲しまないでって。
彼らがあなたの心にはいよするんなど期待してはいけないわ
彼らの判断基準は、己におって快かいなか。
ずるく快を得られるなら、それにこしたことがないのよ。
俺の方
彼らの理解を求めることは期待してはいけないわ